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太郎君と訊問


眠るクナの腕の中で何かが光っていた。


「んー?……なに?」


目をこすりながらクナは起き上がり、光っている物体を見た。


「太郎君?」


それは光を強く放つと、そこから消え去った……。


「……太郎君?」


クナはもう一度ソレの名を言ったが、それはもう何処にもなかった……。




。。。




音の無い感覚、浮遊感、死の気配

アタシは、誰?

ココはどこ?


そこで震えているのは誰?


もう押さえきれないだろう様子だが、必至に何かを抑えていた。背中しか見えない、そもそも、それは≪人≫なのだろうか?白い塊?金色の塊?何色?形すらもおぼつかない。



「なぁ、人は死んだら何処に行くと思う?」


え?


そこにいるのは誰?

振り返ればよく分からない人形があった。人形……?見た覚えがあるきがする


「なぁ、人は死んだら何処に行くと思う?」


さっきと同じことをもう一度繰り返した。アルトの声が耳に心地よく感じた。

そして、それはいつかどこか聞いたことのある声だ。


……天国?


「それはなんだ?どこにある?」


どこ?なに?わからない知らない


「ではもう一度最初の質問をしよう」


_?


「神は死んだら何処に行くと思う?」



神が?

あなたは誰?なんでこんな質問をするの?


「そう来るか、じゃあお前は誰だ?」


アタシ……?アタシは……




「そうだ、アタシは、アタシはユイだ。若草雪衣!」


思い出した!


とたんに視界が変わった。混沌とした世界がまとまるのが分かった。そしてその同時に≪誰か≫が見えなくなった。

周りは何も無い草原が広がっていた。動き一つ無い空に月と太陽が二つあった。


「何?ココ……」

「夢であり、現実、深層世界だ」


目の前の人形だけは変わらずにそこに存在した。


「た、太郎君が喋ってるぅうううううううううううううううううううう!!!??」


ユイはハッキリした意識の中で叫んだ

キモさ倍増!しかも声が野太いオッサン声じゃなくて女性と男性の中性的なアルトなのがもっと不思議


「あっはっはっは!太郎君じゃないぞ?体を借りてるけどな」

「つ、つまり太郎君に憑依してるってこと?誰なの?きみ」


まるで上から糸で吊るされているように太郎君は一定にそこに浮いている。


「そこは、シークレットということで」


えぇ!?


「ようするに必要ないということ。はい、話戻すぞ」


戻された。


「人は死んだら何処に行くと思う?」


え?そこから?


「天国」

「以外で答えよ」

「えぇ!?」


太郎君厳しいのね


「あの世」

「しばくぞ」


しかも凶暴の上に短気!?


「え?」


それまで不変だった景色が雨フル一歩手前のような色に変わった。


「えぇ、なに?」

「いっただろ精神世界だって」


え?聞いてませんけど?


「時間押してるんだ、こっちは手っ取り早く終わらせたいんだ。思った以上に阿呆だな」

「ヒドい、質問内容が全く意味分からないのに」

「神は死んだら消える。神には肉体が無いからな、いや正しくは≪肉体≫という呼称する固体が無いだけだが―――あいやいや、そんなこともどうでもいい」


いよいよ時間でも押しているのか太郎君が揺れている。


「人は死んだら魂となり、記憶を清浄し再び新たな肉体に宿る」

「そうなんだ」

「うわ、殴りたっ」

「なんで!?」


相づちうっただけなのに!

太郎君がずずいっと目の前に寄ってきた。


「わ」

「つまり神は人とは根本的に異なるが、全て万物における共通したものは持っている。ソレが分かれば万事ことは上手く行く」

「ソレって何?」

「それは……自分で考えろ阿呆」


アホアホ酷い……


「これが無ければ≪生きている≫とは言いにくいかも知れんな。なくとも生きてる奴はいるが本当の意味では……ああもう、つい話すぎるな」


太郎君のチャックが開くと中から金色の林檎が飛び出てきてユイの顔にぶつかった。

物凄く硬い上に痛い


「いたぁい~」

「答えが分かったら、どうにかなるかもしれんし、ならないかもしれない」


どっち?


「それはお前の腕のよりどころだな」

「結局、何なの?どうしたらいいの?」

退嬰的たいえいてきだな薄志弱行はくしじゃっこうなのも大概にしろ」


近い、近いです太郎君、ゴメンナサイ許してそれから離れてください。(汗)


「くっくっく、お前の選択次第でこの世界は滅びるが、ま一栄一落のことわりだ気にするな」

「気にする……」

「モタモタしてていいのか?早くしないと、手遅れになるぞ?じゃぁな」


それだけ好き放題言うと太郎君はいきなり重力に負けたように大地に落ちてツーバウンドした。


「えーいきなり?!まだ聞きたいことあるのに~!!太郎君!!」


太郎君の肩を器用につかんでニ・三度ほど揺らしたが意味は無かった。

全く反応なし、仕方ないので右手に持っていた黄金の林檎をもちあげ、唇に近づける。


「……お願い、もう一度、アタシに戦う勇気をちょうだい」


そう、もう一度

もう、逃げないから……


進んだり、進まなかったりの主人公

もうすぐラストスパートが近いかもしれません

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