孤児のアタシ
幾多の神さま
それはそれは沢山いらし召された神さま。
小さな神さまから大きな神さまそれぞれの神さまがそこに在りそこに住みそこに鎮座していた。
しかし神さまといっても不老不死ではない。
万能とはいえ万物には必ず終わりがやってくる。
≪死≫
という終焉が
そこを守る神が死ねば代わりの神さまが死んだ神様を吸収し、新たな神としてそこに重鎮した。
ある場所でも神が死んで、別の神が吸収し新たな神がそこの守となった。
それを久遠のかぎり永久にずっとずっとずっと続いた。
そして幾多もの神がいたのに、いまでは数少なくなり、世界の均等が取れなくなった。
神は全知全能
しかし不老不死ではない
世の末路を愁い悩みどうしようもなく、神さまは狂った。
そしてその結果全てを滅ぼし全て一から作り直した。
すべてはコスモポリタンを目指して。
しかし何も変わらなかった。
「神は何度も、何度も、何度もソレを繰り返した。この悲しみお前たちに分かるのか!お前なんかに、分かるのか!?」
書は叫ぶ、真っ白の空間が灰色に黒いろに染まっていく。
ヤミがまるで呼んでいるようにうごめくのを虚ろな気持でユイは眺めた。
ずっと待って、堪えて、信じて、裏切られて、悲しんで、諦めて、望んで泣いて・・・・・・繰り返して
そうやってズット神さまはそうしていたのだろうか
「はなして!」
オーヴェンの力を使い、やっとフェアナの腕から解放された。
咳をして酸素を肺に送り込む。
「げほごほ、ごほ!……ねぇ、フェアナ……神さまは?その神さまは何処にいるの」
「お前には関係ないですよね~?それとも何ですか?神にでも会い許しでも請うのですか?」
書は怒ったように嗤った。
「もう一度いいます~大人しく帰れ」
彼女の手のひらに光や雷が迸る。
これはヤバイ、前回殺されそうになったときの攻撃に似ている。
殺す気だ
「死ね」
光の閃光がほとばしった、ユイは何とか能力を使って受け止める。
「あたしを殺したって変わらないじゃない!」
「神を殺すものは何にしたって許さない!神は消させない!お前は不吉!神の存在そのものを消す!」
消す?
「この世界の者には神には手を出せないようにDNAに刷り込まれている、でも他所から来たお前は違う、特に無心論者のお前はっ」
力が強くなる
何を言っているのかあいからわずさっぱりだった。
確かに神さまとかサンタクロースとか信じていない、でも無心論者とバッシングされるほど無心でもないし、無心論者の何が悪いのか分からない。
「お前は、神に見捨てられた孤児のクセに」
「!?」
気を緩んだ隙に猛襲に耐え切れずに吹き飛ばされた。感覚の無い浮遊空間でも攻撃は当たるし、痛い。現実をしらしめられる。
「きゃあああぁぁ!」
体が放電を帯びていて少しでも動くと激痛が走った。
「知らなかったんですか~お前は、お前の世界の神に見捨てられたのですよ~」
楽しそうにあざ笑う≪賢者の書≫
神に見捨てられたあたし?
「心の奥そこのどこかで、神を憎んでいるんじゃないですか?だから選ばれた。だから神を消すことができるんだ!そんなことはさせない」
もう一度攻撃が来るのか白い光や雷が集まっていく
「くっ……、!?」
手のひらをかざしてもう一度防御をしようとしたが、力が出なかった。
かざしたが何の反応のない空っぽ手のひらの先に微笑むフェアナが見えた。
「力が」
「終わりですね~」
予言の書は微笑んだ。
構えられていた攻撃が噴射された。
光が、ユイの体を隠すように包み込む。
本当アタシ、空っぽだね
音が遮断された。