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決意と太郎君

いきなり光り輝いた太郎君を胸に抱いたままクロは熱心に何かしているクナのところへといった。

声はかけない、怒られるから。


「……」


黙って覗き込めば必至にペンを走らせて紙に何かを書きつくしていた。


「なにしてるんだ?」


つい気になって声をかける。

がりがりがりと書かれていく紙の痛む音だけが響く。


(つまんないの、てか無視かよ)


お兄ちゃんは寂しいようだった。


「できた!」


がしゃんとペンが机の上をお転がり落ちていった。


「なにが?」

「クナ、あの本の最後全部思い出したよ!」


彼女は難儀なことに書かないと思い出せないタイプの子だった……。クロはとりあえず目の下にクマをつくっているクナに眠ることをお勧めした。


「これやるから」

「うん、ありがとう。おやすみ」


太郎君移動


「よし、遊びに行こう」


太郎君という呪縛から解放されクロは外に遊びに出ようとした。だが


「うわ」


沢山の人だかり

お祭りや行事などで集まっているわけではないということは一目瞭然だった。みんな、母国を捨て他国に亡命する気のようだった。


クロは頭を垂れて家の中に入った。

マリミアと飛鳥は掃除を切り上げている最中だった。


「かぁかー」

「なんだい?」


今まで安泰だったアンブロシアも今ではお客さんは一人もいないし、バイトの子も皆やめていってしまった。


「俺らは逃げないの?」

「なんで、にげんさぁ」

「戦争だろう?」

「平気よ」


掃除用具を片している母と真菜を見ながら、開いている席に座って母親を覗き込めば、マリミアの茶色い優しい髪の色のみつあみが肩に流れてクロはなんとなく嬉しい気持になった。


「時には戦い、時には見守ることも大事なんさ」


マリミアは温かい珈琲を用意するとクロの隣の椅子に腰掛けた。


「私らは待つの、それで、帰ってきたみんなをココで出迎えるんよ」

「そうですね、それが私達にできることですよね」


微笑んだ母に肯定するように二人の若人は同じように微笑を返した。


「そういえば、トリューさんやル二ソーラさんは一体何処に行ったんでしょうか」

「町の様子見と戦争の状況を聞きに行ったよ」

「ちぇ、こんなんじゃ遊びにいけないぜ」


お店の開くベルの音が響きそちらの方向に目を向ければ噂のトリューが帰ってきていた。


「ただいまーっと、中々状況は悪いぜ。マヤ族がこちらの内面に詳しかったからコッチが今圧倒的に不利だ。聖女も裏切ったって話で持ち切り出しな」

「あらぁ……聖騎士殿は?」

「ウォーレンってやつのことか、あの人は戦場駆け回ってそれどころじゃないらしい」


トリューは真菜の用意した珈琲を受け取りながら小さく溜息ついた。


「向こうの情報は何一つはいってきやしない」

「心配だね、ネーネ」


聖女に攫われて敵国にいるユイ……憂えずにはいられない。


「待ってろよユイ」


トリューは知らず知らず拳を強く握った


「必ず、助け出すからな!」







気持と現実のすれ違い(笑

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