書の叫び
太郎君が光った。
ビックリしたクロが椅子から落ちる。
「なにしてんだい?」
「カァカ!太郎が光った!」
ル二ソーラが長い自慢の白い顎髭をなでながらソレを眺めて、一言
「眩しいのぉ」
じゃあ見なきゃいいのに。
「……あれ?」
ユイは真っ白の空間に居ることに気がついた。
どこだろうここは?
≪なぜですか≫
声がした。
「わ!」
何も無い空間からフェアナが現れた『賢者の書』
「な、ななな!?」
「予言の書、または賢者の書……フェアナです~お久しぶりです」
にっこりと微笑んだ後彼女の手が伸びてユイの首を掴んだ。
苦しい、酸素がすえなくなる。
「殺したはずですよね~」
殊更微笑みながらいうからもっと恐ろしい。
「う、な、んで」
苦しい
「……もう一度だけチャンスあげます」
首を絞める力が少しだけ弱まった。気持だけだが
「この世界に一切関与せず黙って帰るか~、ここで~ほかの者と同時に死ぬか」
「・・・・・・」
「さぁ~」
「……ぁ、んで?」
「はい?」
彼女の腕をつかんで睨み、威圧を跳ね返すように叫んだ
「なんで死んで欲しいの!?」
恐ろしさよりも、不思議さのほうが勝った。
「人間がそんなに嫌いなら、なんで人間をもう一度産むの!?」
「!」
「ねぇ!?みんなみんな殺すほど嫌いなら、何故もう一度産むの!」
「……うるさい!黙れ!嫌い嫌い嫌い嫌い!何故産むのか?そんなの我輩だって知らない!」
首を掴む手がさらに強くなった。なんとかオーヴェンの力で自分を守っているが。苦しいものは苦しい。しかし、不可解
「なんで、そんなに」
見て分かるほどの憎しみ。
一体何が
「無神論者が!恥知らず、産んでもらったありがたみも持たず、偉いのは人間だとほざき、戦争抗争紛争と争いを起こし、血を流し大地を汚し森を破壊し」
こんなときにあれですが……戦争抗争紛争って全部意味同じじゃないですか?
あー、酸素が
「それと、なにが」
「お前たち人間が、神を殺していることに気がつきもしない!」
え?
「お前の、この国の役割を教えてあげましょうか~?」
忌々しい笑顔。
恐ろしい、何をココまで黒くさせたのか……
「狂った神を殺し、地獄に落とすことだよ」
人間だ。
アタシたち、人間だ……だから、アタシは……
漆黒なんだ。