木乃伊取りが木乃伊
「マヤ族に聞いたら分かるんじゃないかしら」
「確かにマナの言う通りだが、向こうさんは今この国の敵なんだぜ。無理だな」
トリューはそういったが、ユイにはあてがあった。
「……ねぇねぇ、ル二ソーラ」
「ん?」
「今なら教会に入り込めるんじゃない?」
導師ストネットは指導者として戦争の最前線にいるとしたら……
「油断している今がチャンスだよ!マルクムとムイト助けだせるんじゃないかな!」
「導師が最前線にいるわけ無いだろ?」
「いや、じゃが巫女と対峙しているならありうる」
巫女の力は飾りではない。
「よっしゃ!じゃあ突入――――!!」
すぱん!
「痛」
地味になんか後ろから頭叩かれたんですけど……
「あの、痛いんですけど」
トリューは何故か持参しているハリセン片手にジト目で睨んできた。
「お前自分が狙われてるの覚えてるよな?」
あ~
「……いや、でも今アタシ死んだことになってると思うから」
「それは予言の書だけな」
「あぁ、……じゃあ、あのー今がチャンス?」
「何が?」
「えぇ?」
駄目だ、何を言っても無駄な気がする。
「でも、助けないと」
アタシが行かなきゃ駄目な気がする。そもそもあたしのせいであの二人は捕まってしまったのだし……贖罪ってわけじゃないけど、そうしないとアタシがアタシ自信が納得できない。
「ル二ソーラ」
「あいよ~」
おじいちゃん、こうゆう時だけ空気読んだ。
「あ!待てユイ!」
トリューが薄らいでいく
結局そうしてアタシは移動した。
「しめしめ、誰もいないみたい」
そして、ココがどこかも分からない。
「無鉄砲に来て、また怒られるんだろうな」
ソレも覚悟の上、ってことで移動
無駄に広い教会の廊下には、必ずカーペットが敷いてあった。金持ち~
「牢屋の王道は地下室だよね」
「そうじゃな」
とことことこ(ユイ)
のろのろのろ(ル二ソーラ)
「おじいちゃん、遅い!?」
「すまんのぉー」
手を繋いで引っ張るように歩く、でないと日が暮れる!
地下室と思って地下に続く階段を探し出すのはいいけど、そもそも階段すら見つからないんじゃ中々難しい。
「ふぅ~マップ無いかな~」
「あるわけ無いでしょ、ちなみにココ法力のセンスがない奴が入ったら無限ループするようになってるの、気づいてた?」
「マジで~?知らなかっ……」
ご無沙汰です?
「ぼいん!?」
「だから直球に胸だけの特徴を名前で言うのやめてくれない?」
聖女エイルがユイの後ろで仁王立ちしていた。
「何してんの?」
しかもなんだかフレンドリー
「とある人を助けに」
「ソレって、マルクムとムイトって奴?」
「そうだけど」
何で知ってるんだろう。油断ならない……ジリジリと後方に下がる
「なに身構えてんのよ、私も助けに行くところよその二人を」
「え?」
なんで?
「不思議そうな顔してるわね、私もともとヴィルエールフ北帝国生まれよ」
「知ってるけど」
「あら、意外。まぁそういうことだから向こうに帰るわけよ、その旨を向こうに知らせたらホラ今さ、マヤ族と手を組んでるでしょう?」
「うん」
「救出して来いって」
「へー」
なるほど~つまりここで襲われる心配はナイと
「てことは、ココ裏切るの?」
「まぁ、そうなるわね。私ココにいたの表向き聖女だけど裏向き人質だったし」
「はぁ?」
「戦争しないため、お互いがお互い国の重要役預けてたってわけ」
彼女はそういいながら歩き出した。
「ほら、案内してあげるわよ」
「あ、ありがとう」
わがままで暴力的で自己中心的な駄目駄目な聖女だと思ってたけど、じつわはいい人だったんだね!ユイはすっかり警戒心を解いてエイルについていった。
そして十分と経たない内に牢屋に着いた。
「二人とも!」
「ユイ?」
「アホ女!?」
あほおんな?
「誰がアホ女だ!?せっかく助けにきたのに」
「頼んでねぇし!」
エイルは牢屋の鍵を開けた。
「さ、さっさとずらかりましょうか」
あ、そういえば。とユイは思った。
こっちはこっちで二人の用はあるのだが、エイルは二人を連れ戻さないといけない。
これは困った
「ねぇエイルさ」
がし
……ウィ?
「さ、これで貴女のそのめんどくさい力使えなくなったわ」
あらホントー力の流れが分からなくなっちゃったよー
って……
あらあ!!!???
「え?あのーエイルさん?」
「まさか、このままノコノコ帰れると思った?」
はい
移動呪文でも発動しているのか、周りに光のシャボン玉が空へ浮かんでは消え浮かんでは消えていた。
ややあ、これは由々しき事態ですな。
とか思っても本当に状況はよくはならない。
移動しながら彼女は思った。
またみんなに怒られるなって……。