小指のアタシ
光って 熱いものなんだね、知らなかった
「ユイー!」
予言の書は笑った、邪魔な存在を消し去ったから。
そこにいたはずの者は、もはやこの世から去った。これで危惧することは何も無い
「貴様ぁあああああああああ!!!」
トリューが剣を抜き予言の書に襲い掛かる。完璧なる殺意、急所を狙ってくる攻撃に予言の書は怯んだ。
「おやおや~?そんなに彼女が大事なら、盾になればよかったのに」
「ぬけぬけと!!」
予言の書は二歩三歩と後方へと下がると姿を消した。
―――オマエタチハソコデ オワリヲマツガイイ!!
剣が落ちた音だけが響く。
「嘘でしょ」
飛鳥が床に座り込んだ。目の前でついさっきまで話していた友達が、跡形も無く消えたのだ……信じろというほうが無駄だ
「ユイー!!」
『くそ、予言の書のやつめ……何のために』
おーい
「?」
クロクナが顔を上げた
おーい、みんな~
「ユイ!?何処に」
ここ、ここ~
『ん?アマル=タイア何もっているんだ』
永久に喋らないだろうと思われていた子どもが手のひらを開いた。そこには小指ほどのサイズしかないユイがいた。
「なんか気がついたらココにいたの」
まるで小指のお姫様の物語そっくりではないですか~、あの物語も主人公が苦労していたなぁ
「予言の書は一直線の攻撃しかできないの」
だから、とあまるは続けた
「隠すのは簡単だよ」
『そうかお前、星の子だったな』
「なにそれー」
『そんなことより、これでしばらくは安全だな』
まさか生きているとは思うまい
マリミアが倒れた机やイスを直して使えるようにした。
「さあ、安心したところで夕食にしようかね」
「え、アタシの心配終わり?」
「あ、手伝います」
「委員長まで?!腰抜かしてたのに!」
みんな酷くない?
「ネーねーいつまでちっこいの?」
「さぁ」
「手から降りたら良いよ」
ぽい、っとアマルに投げられた。
ごん
ウン、確かに元に戻ったけどさ、かなり強く頭打ったよ。
「ユイ!」
ぐい
「!」
温かいものに抱きしめられた。
「と、トリュー!?苦しいんだけど」
「馬鹿、アホ、ドジ!」
「めちゃ言われてますね、あたし」
「心配した……」
小さい声でそんな風に言われたら、アタシも困っちゃうよ
「ごめんなさい」
心配ばかりかけて、ゴメンナサイ
アタシもしんぱいかけたくないんだけど……ていうか痛い目も死に目もみたくないんだけどね本当は
「ユイ」
「ん?」
オレはお前が
それだけ言うと照れたように彼は歩いていった。
「俺はお前が……何?」
ルニソーラがはぁ~と首を横にふって消えていった。何やねん
と
同時に美味しそうな匂いが漂ってきた
「ユイ―クロクナ~おりといで~」
クロクナと手を繋いでユイは歩き出した。
「はーい」
アタシには今
皆がいる。
そう思うとにやけずにはいられなかった。
あ、太郎くん忘れてた