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太郎くんと草笛

酷い話もあったもんじゃない。


「……草笛ってこんなにも変な音が出るんだ」

『違うわ!お前がヘタなだけだ』


事実だけどそんな必至になるほど拒絶しなくたっていいんじゃないんですか?


「えっと、ドラちゃん」

『ルートでいい、つうかそれ以外の呼び名やめろ』


相変わらずキラキラキラキラキラキラ……うぜ


「いたぁぁあぃ!?」


このドラゴン……飛んできた!?


『この……根暗がぁあああああああああ!!』


渾身の力で叫ぶ悪口


「うわヒド!!なんでそんな悪口雑言あっこうぞうごん言われなきゃなんないの!?たかが金色のトカゲのクセに!」


いつもは表情を一転も変えない子どもが、このときだけ鼻で短く笑った。


『笑うな!アマル=タイア』

「もう無表情だけどね」


もう一度飛び蹴りされた。短い足だからある意味体当たりかな


「おーい、話が見えないんだが」


トリューがやっと正気に戻り話しかけてきたおかげで口論は殴り合いには発展しなかった。にしても仮にも長が女の子に噛み付くなんてありえないよね~


「ね、太郎君」


……が居ない


「太郎君が居ないぃぃ!?」

「叫ぶんじゃないよ、そんぐらいで」

「おばさんは分かってないなぁ、大事なんだよアレ!?太郎君!!……はっ!!」


恐ろしのマリミア降臨


「このまま黙らされるのと黙るンどっちがいい?」

「黙ります、はい」


でも目では太郎君を探す、最近太郎君攫われる率高くない?大事なものだから?あたしの大事なものってどうして消えていくの?どうしてアタシの手は空っぽなの?


「ユイ」


トリューが腕をつかんだ


「動くな、ホラ」


太郎君が出てきた


「どこにあったの?!」

「お前の髪の毛に絡まってたぞ……重くなかったのか?」


まったく分かりませんでした。


「太郎君」


抱きつく、温もりは無い、力強く抱きしめても、その抱擁が帰ってくることはない。

それでもいい、君が居ればあたしはまだ


『で、なんか用か?』


コイツも空気読めないな


「……ストネットにつかまったマルクムとムイトを助けたいんだけど、なんか方法ないかな」

『突っ込んでこいよ』


ドラゴンの頭にアンブロシアの机をたたきつけた。浮上していたルートにもろヒットして大地にひれ伏した。というか落とした。


「アタシ真剣に悩んでいるんだけど?捕まったら殺されるし約束は守らないとだし」

『サァヤか……アレも不憫だな、仲間の心配よりもまず優先すべきものがある』

「優先?」

『お前も人間にかまう前に優先すべきものがあるだろう』


首をかしげる。


「太郎君?」

『が、どうした』


違うのか


「どうゆう意味?」

『お前はただコノセカイに来て、ただチカラを手に入れ、ただ忌み嫌われるだけに来たのか?』

「それはユイが選ばれたのに、意味があるってことが」


トリューの言葉にルートは頷いた。あたしが来れた理由?


『お前は、神を殺すためにココに来たのだ』


はい?


『この世の創造主であり、基礎であり、支配者であり、敬愛すべき神から生まれた我々に、神を殺すことは不可能、故に他所ヨソから連れてくるしかった。それが『漆黒』と呼ばれるものの勤め、神の血は『漆黒』らしいぞ』


頭が機能停止して、ルートが何言ってるのか、何を言いたいのか、さっぱり分からない。頭が、脳みそが働かない。あ、なんかお花畑が見えてきたぁ~あ、ちょうちょ~まって~あはは~


「ちょいと、ユイ!現実逃避しない」


マリミアに頬を三発叩かれて覚醒した。


「なんでアタシが神を殺すの!?」

『お前が選ばれた理由も、誰が選んだかも知らん』


なんて無知なんだ、あぅ、蹴られた


「なぁ、あんた……神を殺すって穏やかじゃねぇが、神に『何か』あるのか」

『どっかの馬鹿と違ってお前は話が早いな、その通り。この世界は千年に一度絶滅を果たしそのあとまた再生が始まる、それは何処の予言の書にも書かれていることだ』

「はぁ、それが?」


『つまり、千年に一度、神が狂い全てを破壊し、正気に戻ってまた人々を産む』


ははぁ~?つまり……無限循環ムゲンループ

神が千年に一度魔王に変わるってことか~?


「それで~……アタシが殺さなきゃいけない理由は分かったけど……神様殺しちゃったらなんか大変なんじゃないのかな?」


神さまでこの世界成り立ってるのなら、神消滅とともにこの世界も死ぬんじゃないかなぁ?


「それは誰にも分からんことじゃよ、なぜなら千年前の漆黒の者は神を殺しそこねて、元の世界に逃げ帰ったそうじゃからな」

「アタシも帰っていい?」

「「『はぁ?』」」


みんなでそんな呆れた声と顔しなくてもいいのに……トリューだけ何か考えているようで、参加しなかったけど……


「……っ!」


何かが弾けた……最近良く感じる……この感じ、何かがゆっくりと確実に『消えていく』……


「大丈夫か?ほら、また太郎落としたぞ」


異変に気がついたトリューはユイを支えた。

なんだろう、悲しい


「ねぇ、ルート」

『ん?』

「アタシは……どうしたらいいの?」


無理なアタシには、どうしたら良いかなんて分からない。何をしたらいいのかさえも分からない。でも、なんだか


「分からないよ」


混乱してる、どこかで冷静に自分を分析しているアタシがいた……。

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