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太郎君と一緒

私はどうやら不幸な生まれ……いや、かわいそうな境遇にあるらしい


父親は男色に走り、母親は叔父さんとできているらしいし、お姉ちゃんには彼氏を寝取られしかも家には夜な夜な遊びに行っているためめったに会わないし、お兄さんには家を出てからそれっきりだし、家はもう借金まみれだし、父方の祖父母はすでに他界してるし、母方の祖父母は縁切ったらしい……お友達はなんかいつの間にか仲悪くなってバラバラ……先生はきっと私のこと忘れてると思う、だって私にだけプリント回ってこない……。


っていうか、家はもう崩壊しています。

私が周りを不幸にしているのだろうか?いやぁ~ココまで来ると笑っちゃうね


「私は、何のために生まれてるんだろう」


生まれたから


「私はどうするべきかね」


知らない


「私は、死ぬべきかなぁ?」


できるならね


「……はぁ」


自問自答でこんな自分に対して冷たい反応しかできないのだろうか。自分なんだからやさしくてもいいのに……


「自分が嫌いなのかな」


真っ暗な(電気を止められた)部屋の中でテレビもつかない、そんなかで彼女

若葉 雪衣ユイはぼう~っとしていた。

この家に居るのは彼女しか居ない。みんな消えてった。


「あ~、可哀想かわいそう可哀想かわいそう川獺カワウソ……なんつって」


むなっ


「寂しいから太郎君一緒に寝ようか~」


太郎君、ゴミ捨て場に新品の状態で捨ててあった、やけに不細工な顔した謎の生物だ。

とんとん、と階段を軽やかに上がりベットにダイビングした。

ごす


飛びすぎてベットから落ちた……うぅ


「あ~夜って暇だなぁ~開放感あるけど……朝はな~んかおもいんだよね~。」


部屋の机の上に飾ってあった写真を見る。今はもう放置しすぎてほこりかぶっている。


「幸福だったときの記憶が小3って終わるの早すぎでしょうよ~~」


小3のときの最後の家族旅行でどっかの遺跡行ったときの写真しかもう残っていない。っていうか小さい子連れて行く旅行先が遺跡ってマニアかよ


「んん~?確かあたしこん時どっかいったんだよな~」


色鮮やかな町並みがそろい、綺麗に芸術のように並べ造られた石畳の床、橋の下は海で噴水がところどころ鮮やかに吹いていて……どっかの国旗みたいな旗が風に揺れて……坂道を上がっていったらとても立派でおっきな白い花の咲く木があって、そこでアタシは出会った……


「誰だったかな、そのこ……男の子ってのは覚えてるんだよな」


初恋だったから


「今は太郎君好きよ~寝取られないでね」


幼馴染だった隣の幼馴染と中三のとき付き合い始めたが、二歳年上の姉にまんまと寝取られた。

特にそんなにショックでもなかったから、結局その程度だったんだろうなぁ

私って、好きとか嫌いとかに疎いから。


「……図太いってことかな太郎く~ん!」


……いや、寂しい子なだけな気がしてきたぞ


「そのときのお土産……何処おいたっけ?」


太郎君をベットの上に放置して起き上がる。とりあえず手当たりしだいひっくり返していく……ごん、あ、また頭打った。


「馬鹿になったらどうするんだよ~あ、あった」


とっても綺麗な淡い翡翠色のビー玉みたいな奴

親に見せたとき何処で盗んできたんだっておこられたっけ、今思えば叱られるって愛があるからだったのね……今は怒られるなんてもんじゃなく、会話云々姿すらみないぜ


「もう一度……行きたいな……」


ベットに投げ捨てたままの太郎君を回収する……太郎君良く見るとかめだったんだね……


「もう一度、実感したい生きてるって」


そう、もう一度……生きたい、生きてるって……思いたいよ

これじゃあ、死んでるのと……おんなじだよ

あの世界は、優しかった……



ぱああああああ


「わ!?」



いきなり持っていたタマが光った。

突如光りだした光は部屋全体を包み込むようにしてまばゆく光り輝き、雪衣の姿をたやすく見えないものにした。

太郎君を強く握り締める。



そうして光が完全に消えるころには、そこに雪衣の姿はすでに無かった……。



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