私と君の逃避行
あなたは今、何を抱えて生きていますか?
何を思って何を抱えてますか。
私は少しでもあなたの神様になれますか
なれた、でしょうか。
もうこんな世界なんて要らない
だったら二人で逃げ出しちゃえばいい。
これはそんな私と君の世界を敵に回した話だ。
「おはよう、月奈(笑)もう学校なんか来んなよ」
そう言われて私は朝を迎える。
目の前には落書きされた机と置かれた花瓶。
下らないと思いつつ少し悲しんでる自分がいるのが悲しい事実だ。
何も言わず机を片付けていると千里は気に入らなかったようで。
「やっぱあんた生きてるシカバネだわ(笑)
まじきもいから早く死んでね」と言ってどこかへ行った。
これはいつもの私の生活の一部だ。
朝学校へ行くと必ず千里に絡まれる。
何も見ていない振りをして机を片付けると気に入らないのか暴言を吐いてくる。
虐めかと聞かれたら虐めかもしれない。
だけど海外では被害者ではなく加害者が精神的に異常があるのだ。
あくまで私は被害者。何も悪くない
そんな事を考えていると一限を伝えるチャイムが鳴った
授業中は息を殺すようにしてただ座っている。
元から勉強は出来ない方だし発言する事もない
当てられたら「分かりません」というか無視をする。
こんな場所で勉強をする意味が私には分からない
曲を聴きながら寝ていたら今日の授業が終わっていた。
「一緒に帰ろう」なんて誘ってくれる友達もいないから、
早く帰る事にした。
家に帰ると誰もいなかった。
うちは片親でお父さんは違う女のとこに行った。
お母さんは仕事と言ってどこかの地方にいるけど、
一年以上帰ってきてないと思う。
一人暮らしみたいなものだ。
お金は毎月送ってくれるから私はそれで自炊をしたりしている。
「月奈、いつも迷惑掛けてごめんね。」
何十回、何百回と見てきたこの文章。
あんたに私の何が分かるんだよ、と問いかけたい。
何も分かる訳がないんだ。
私の辛いも苦しいも全部私だけのものだ。
友達なんていないし大切な人なんて出来る訳がない。
学校にでさえ話す人がいないこんな私なのだから。
嫌な事考えちゃった。
そう思って今日の夕飯を買いに行く事にした。
駅前のスーパーまで歩いているといつも通っている橋が
ある。
「ここから飛び降りたら死ねるかな」
初めてだった、こんな感情を持ったのは。
でもきっと私はずっと前から死にたかった。
両手を広げて飛び立ってしまおうとした。この下は川。
割と高いこの橋から飛び降りたら確実に一発あうと。
でももういいかなって諦めてる自分もいた。
この先生きてもいい事なんて何も無いと思うし。
千里に虐められて高校生も狂ったようなもの。
だから、もういいかなって、思った。
空を飛ぼうとした瞬間私は宙を舞って何かに抱き締められていた。
まさか死ねないとは。
私を抱き締めている少女は私よりも背が高くて可愛かった
「どうして私の自殺を止めたの?」
そう聞くと「私より先に死んで欲しくなかった」と。
こんな出会い方をしたものだから二人とも何も話せなかった。
この子は一条日向と言うらしい。なんて綺麗な名前。
そんな事ないよ、月奈も綺麗だよって。
私は自分の名前が嫌い。今宵月奈、16歳。
日向も同い年の16歳と言っていた。
「どうせ死ぬぐらいなら私に付き合ってよ」
そう言われ日向に着いてくことにした。
「親は?」
「出張で今家にいない」
「じゃあ、海でも行こうか。」
そんな軽い会話をして私達は気付くと海にいた。
電車に揺られて一時間。色んな事を話した。
学校で虐められていると言ったら日向も目を輝かせて
私も同じだと言ってくれた。
夜が明けるまで海の近くのベンチに座って二人で話した。
今まで出会った誰よりも優しくて可愛い日向。
こんな優しい子を守ってあげたくなった。
夜が明ける前に日向は私に一つ提案をした。
「私はこの世界から逃げちゃうけど月奈はどうする?」
海を見て言った。
だから、私も笑顔で答えた。
「一緒に逃げちゃおうか。」
孤独だった私に取って日向は初めて出会った太陽みたいな存在だった。
人見知りの私がこんなに人と打ち解け合う事は少ないし
何より一緒にいる時間が楽しかった。
深夜三時。人々はもう寝ている時間。
この時間に入る海は綺麗なものだった。
初めて人を大切って思ってしまった。
でも、大切はいつか壊れてしまう。
それなら、まだ壊れていない大切を残したいと思った。
日向は私の手を掴んで言った。
「来世では普通に出会って友達として出会おうね。」
「うん、約束。」
私の意識はそこで途切れてしまった。
人間死ぬ時ってこんななんだななんて思いながら。
私達は海の底まで歩いていった。
今宵、あなたとこの世界を逃げ出します。
私はあなたの神様になれたでしょうか。