気位の高い彼女
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
一度だけ出た本音が的を得ていると思うのですよ。
――顔面がどれだけ醜くても、所作と口調、それから志だけは絶対に負けてはいけないのよ? 特に自分を下に見てくる相手とは。
物言いが謙虚で丁寧な人だった。人から褒められても『皆様が気遣って下さっただけですよ』と静かに笑うような人だった。
特段スタイルが言い訳でも、顔立ちが整っている訳でも無かった。ただ歩き方一つ、待ち方一つ、食事の仕方一つ。そのどれをとっても洗練されていた。彼女が気遣っていることは明白だった。そこから、謙虚でありながらも、気高い人なのだと知った。
「......気を......使っているんですか? 口調、行動、全ての一つ一つに」
「えぇ、とても。うーん」
一緒に食事に行くことになって対面した時も、彼女は静かな警戒と緊張を解くことは無かった。ただ背筋をすらりと伸ばし、憂う様な目付きでメニューを眺めている。その様を見ていると、やはり零れ落ちてしまう。
「ごめんなさいね。少し俗っぽい物言いをしてしまいそうになったの。お許し戴けるかしら?」
「はい」
少しだけ肩の荷を下ろすと、雰囲気が緩くなった。高級料理店から、居酒屋へと場所を移した様に。それからくったりと笑って、『じゃあ』と始める。
「所作の綺麗な人って滅茶苦茶エロくて、セクシーじゃない?」
束の間の沈黙。段々と赤くなって口を真横に引き結ぶ。それから最初の様に警戒心と緊張感を高めて、此方を見る。
「ごめんなさいね。素が出てしまったの。出来れば忘れて頂戴な。まぁそれは置いといて。よく私は自分の事を卑下するけれども、その実、自分の事が大好きなの。自らを見下す様な輩に絡まれたら、心の中で中指を立てるくらいには」
飲み物が届いた。彼女は姿勢を崩す事無く、手元に珈琲を引き寄せると静かに口角を上げる。
「私がどんなに頑張っても、芸能人の○○○○様には敵わないの。それこそ、私がどんなにお洒落な服を来て、綺麗にメイクをしても。○○○○様が奇抜な服を着ようが、蛍光紫のジャージを着ようがそれは変わらない事実よ。でもだからこそ、所作と口調、志だけは負けてはいけないの」
それから人を射る様に視線に光を宿すと、ただ冷たい口調で言い放つ。
「さっきも申し上げたけれども、とても気位が高いのよ」
それから我に帰ったようにハッとして、少しだけ表情を和らげた。
「ごめんなさいね。ずっと私ばかりがお話してしまったわ。今度は貴方の好きな話を沢山して頂戴な。うーんと......一時間くらいなら喜んで」
それからクリスマスの話とか、恋バナに華を咲かせた。彼女は楽しそうだったけれど、時折恥ずかしそうに顔を赤く染めた。
オマケ
「恋人達の距離感が近いと、ついつい感情移入して恥ずかしくなってしまうのよ。......全く......こんな自分が恥ずかしい!!」
「偶に横を通り過ぎる子が、本当にスタイルが良くて.....。全国の女性に謝りたくなってきた」
「女性のスタイルに注目している時点で、気持ち的に邪だと思うのだけど」
以下、何でも許せる方向け。
ブスは何やっても無駄。
可愛い子が奇抜な格好して方が可愛い。
というコメントに対して。
何を当たり前な事を?( ˙꒳˙ )
よもや、○○○・ざ・○○○知らんの?
あのピンクジャージが似合うのなんて、○○○ちゃんしか居ないっしょ( ˙꒳˙ )
それは現実でも一緒やで。可愛い子は何着ても可愛いねん。
でもですねぇ、所作が綺麗だと色気出るんですよ。
どうしても目で追ってしまうんですよ。
口調が綺麗だと引き込まれるんですよ。
失礼な物言いで大変申し訳なのですが、顏が平凡でも、スタイルが良くなくても、本当にセクシーです。
言ってて恥ずかしくなって来ました。
最後のセリフは一種の私の反省文ですね。