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源氏物語ってこんな話だったんだ  作者: 紫月ふゆひ
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賢木巻~女君たちと光る君~

『西の対の姫君(紫の上)の幸運を、世間の人も褒めそやしていて、少納言の乳母も、故尼上の御祈りの効果と考えている。父親王(兵部卿宮)とも、遠慮することなく手紙を交わしていらっしゃる。

 正妻腹の、この上なく大切にしていらっしゃる姫君は、うまい具合にいかないので、継母である北の方は、妬ましくて心穏やかでないようだ。

 物語に、ことさらに作られているような御様子である。』



あれから一年以上。紫の上の胸中は語られていませんが、世間はこの境遇を幸運とみなしているようです。細部を見れば不憫にしか見えないんですが・・・。

まあ、傍目から見れば、虐げられかけた姫君が、キラッキラの皇子様に見初められて溺愛されるという・・・これって、今も流行りの王道シンデレラストーリーじゃないですか。今気づきました。

日本でいうなら落窪物語。

もっとも、この皇子様は今主流の物語のように、降りかかる火の粉を難なく払いのけて姫君を守り切ったりはしません。むしろ火の粉を招き寄せに行きます。おまけに、姫君一人を愛し続けるわけではなく、浮気します。

このころの常識からいえば、一人の女性だけを大切にした落窪物語のほうが異例だったのかもしれません。というか、落窪物語って、そのまんまシンデレラなんじゃないでしょうか。シンデレラの原型は古代エジプトといいます。継子虐めの要素が加わってからシルクロードを通って伝わってきたとしても、おかしくはありません。



『賀茂の斎院は、御服喪のためお下りになったので、朝顔の姫君が、かわりにお立ちになられた。

 大将の君(光る君)は、年月が経っても、やはり朝顔の姫君から御心が離れなかったのだが、こうして住む世界が分かれてしまい、残念にお思いになる。以前と同じように、中将(朝顔の女房)にご連絡なさっていて、お便りなどは今後も絶えないのだろう。


 光る君は、状況が変わったことは特に気になさらず、気が紛れることがないままに、こうした些細な事をあれこれ思い悩んでおられる。』



葵巻で賀茂の斎院に選ばれていたのは、亡き院の女三の宮。身内の不幸があれば役目を降りる決まりなので、ここで他の人にバトンタッチです。皇室の祖神を祀る伊勢の斎宮より、なぜか賀茂の斎院のほうが、皇女が務めることが多いのです。やはり内裏に近いからでしょうか。朝顔の姫君は、式部卿宮(亡き院の兄弟)の姫なので女王です。末摘花さんも親王の子なので女王です。

それにしても光る君、しばらく紫の上に夢中だったはずなのに、本当に忘れてなかったんでしょうか。



『帝は院の御遺言を違えず、光る君を大切にお思いだが、お若いうえに、御気性がお優しすぎるのであろう。母后や祖父右大臣がなさることに反対できず、(まつりごと)も思い通りにいかないようである。


 光る君にとっては気詰まりなことばかりが増えるが、尚侍かむの君(朧月夜)とは、人知れず御心が通っているので、無理をなさりつつも逢瀬は続いている。

 五壇の御修法(ずほう)のはじめで、帝がご謹慎なさる隙をうかがって、例によって夢のようなお気持ちでお逢いになられる。昔が思い出されるあの細殿の局に、中納言の君がうまく紛らわしてお入れする。人目も多いころなので、いつもより建物の端近くでお逢いするのが、なんとなく恐ろしく思われる。

 光る君は、朝に夕に拝見する人でさえ、見飽きないほど素晴らしい御姿であるのに、まして稀にしか叶わない逢瀬では、どうして並のものに思えるだろう。女君(朧月夜)も、素晴らしい女盛りである。重々しい方面はどうかわからないが、美しく優雅で若々しく、好ましい御姿である。

 まもなく夜明けという頃、すぐ近くで宿直の者が声を立てるのが聞こえる。

「自分のほかにも、このあたりに隠れている近衛の役人がいるにちがいない。意地の悪い仲間が教えて、こちらに来たのだろう。」

と、大将はお聞きになられる。面白いと思う一方で、厄介でもある。その声が、寅の刻(四時ころ)であることを告げる。

 女君が、夜明けが近づくのが辛いと詠む様子は、いじらしくてまことに魅力的である。一生をこのまま嘆いて過ごすのだろうか、と返しつつ、慌ただしくお帰りになった。

 夜の深い月夜に、何ともいいようのない霧が立ちこめていて、承香殿女御の兄君の藤少将が藤壺から出て来て、月の光が少し蔭になっている立蔀の側に立っていたのを知らずに通り過ぎたのはお気の毒であったことよ。きっと非難も出てくることでありましょう。


 このような事につけても、よそよそしくて冷たい方(藤壺宮)のお心を、一方では立派であると思うものの、自分勝手な気持ちからすれば、やはり辛く恨めしいと思われる時が多い。』



国事にかかわる密教の大事な行事の最中で、帝は行いを慎まなければならないそうです。

光る君と朧月夜は?帝に倣わなくていいの?

まったく、何やってるんでしょう、光る君。

まずいことしている、という自覚はあるんですよね。しかも、帝が寵愛している女性なんですよね。まあ、相手も相手ですが。普通なら人間関係壊れますよ。

障害があると燃える質なんだそうです。すんなり結婚できると言われたら冷めるんでしょうか。紫の上はどうしたんでしょう。新婚早々、同時進行の彼女がいたら、普通は嫌ですよ?


そして光る君、この後さらに暴走します。


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