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源氏物語ってこんな話だったんだ  作者: 紫月ふゆひ
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葵巻~御代替わりの後~

『御代が替わり、光る君は万事億劫に思われていた。ご身分も高くなったためか、軽々しいお忍び歩きも自然と控えているので、あちこちの女性たちも心もとない嘆きを重ねている。その報いなのか、相変わらず冷淡な方のことばかりを、尽きることなく思って嘆いておられる。

 ご譲位の後、以前にもまして、中宮(藤壺宮)が院のおそば近くにいらっしゃるのを、今后(新皇太后)は不愉快にお思いのようで、内裏においでのことが多く、中宮は気楽そうでいらっしゃる。


 院は、なにかの折ごとに、管弦の御遊びなどを世間の評判になるほど盛大に催されていて、ご譲位後のお暮らしのほうが、かえって結構なものと思われる。ただ、春宮のことをとても恋しくお思いで、御後見のないことをご心配されて、大将の君(光る君)に万事お申し付けになる。光る君は、後ろめたくはあるが、うれしくも思われる。』



帝は譲位して院となり、内裏から後院に移りました。お妃たちも内裏の後宮から後院に移るはずですが、一人だけ内裏に残ってます。新帝の生母であり、皇太后になった元弘徽殿女御は、後院に行くより内裏にいたほうが気分がいいのですね。

このとき光る君は二十二歳らしいのですが、近衛中将から近衛大将になりました。近衛府は左右に分かれていて、中将はそれぞれ最大四名いますが、大将はそれぞれ一名。将来の大臣候補で、摂関家の子弟や皇子・皇孫など身分の高い人でなければなれないものでした。道長もこの職についていたことがあります。中将の時より目立つので、色々自重しているようです。

そうした説明をすっ飛ばして葵巻は始まりますが、当時の人には、多分説明がなくても分かったのでしょう。



『あの六条御息所を母君とする前東宮の姫君が、伊勢の斎宮となられた。大将(光る君)のお心は頼りなさそうなので、姫君の幼さが心配だということにして、六条御息所は、ご自身も伊勢に下ろうかとお思いである。


 院も、このような事情であるとお聞きになり、

「故宮が並々でなく大切にしていた方を、軽々しく並の女性のように扱っていると聞くが、気の毒なことだ。私は斎宮のことも皇女たちと同じように大切に思っているので、どちらの点から言っても、粗略に扱わないことだ。心の勢いにまかせて、このような浮気をすると、世間からひどく非難されるぞ。」

などとお叱りになる。光る君も、まったくそのとおりだと思い、恐縮しておられる。

「相手に恥をかかせず、どちらにも波風の立たないようにして、女の恨みを受けないように。」

と仰せられるにつけても、身の程知らずな中宮への気持ちをお耳にされたらと、恐ろしく思われた。

 

 このように院のお耳にも入ったことは、軽々しい浮気であるかのようで、御息所のご名誉にとっても自分にとっても困ったことである。御息所のことは、ますます格別にお思いになり、今の状況は心苦しくもあるけれど、表立っては特別に扱うことはなさらない。

 女君(六条御息所)も、光る君に不釣り合いな年齢を恥ずかしく思われて、完全には気をお許しにならずにいたところ、光る君も遠慮がちにしていて、そうした態度が院のお耳に入り、世間にも知られてしまって、深くもない光る君の愛情を、たいそう思い嘆いていらっしゃるのだった。』



六条の御息所という言葉はここで初めて出てきますが、夕顔巻から度々登場した「六条あたりの女君」のことだろうというのは、想像できますね。亡くなった前東宮の妃だったというのも、ここで初めて明かされます。

前東宮って誰?と思いますが、光る君のお兄さんが東宮になる前に東宮だった人のようです。後で出てきますが、院の同母弟だそうです。

六条御息所とは何年ものお付き合いですが、結構放置し続けてるように見えるので、どの程度格別に思っているのか疑問ですね。



『このようなことをお聞きになるにつけても、朝顔の姫君は、その二の舞いにはなるまい、と深く思われるので、ちょっとした御返事なども、今はほとんどなさらない。

 そうかといって、愛想がなくて間の悪い思いをさせないご様子は、やはり格別であると、光る君は思い続けておられる。


 北の方(葵の上)は、このように落ち着かない光る君の御心は気に入らないことではあるが、あまりにも包み隠さないご様子であるので、言っても仕方がないとお思いなのか、深くお恨みすることもない。

 このところ、気の毒なほどに苦しそうにしていらして、なんとなく心細そうでいらっしゃる。光る君は、珍しく、しみじみ愛しいこととお思いになる。誰も彼も嬉しくはあるが、一方では不吉な場合もお考えになって、様々な物忌などをさせていらっしゃる。

 このような時期であったので、光る君も気の休まる暇がなくて、六条御息所のことを疎かに思われたわけではないが、訪れも遠のきがちであったのだろう。』



朝顔の姫君って誰?覚えていますか?

実は、帚木巻で出てきたんです。紀伊守の邸で方違えをしたときに、噂話の中で・・・

いや、覚えてませんて。ほんの二・三行ですよ。噂話ですよ。その場で忘れましたよ。

でも作者さんは、伏線をそこに置いたつもりだったようです。

でもって光る君は、この姫君も格別に思っているようです。

中宮様に若紫ちゃんに葵の上に六条御息所に朝顔の姫君。格別って特別ってことですよね。特別な人、多くないですか?


そしてここでもはっきり書いていませんが、葵の上が妊娠しました。

・・・当時の人は、これで分かったのでしょうか。

正解が分かっていれば納得な描写ですが、ほとんどの現代人は、解説がないと分からないと思います。


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