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源氏物語ってこんな話だったんだ  作者: 紫月ふゆひ
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桐壺巻~募る思い~

『源氏の君は、帝がいつもお召しになり近くに置かれるので、落ち着いて私邸で過ごすこともない。

 心の内には、ただ藤壺の御様子を類もなく素晴らしいものと思い、

「そのような人こそ妻としたい。似た人もいないものだなあ。大殿(左大臣)の姫君はたいそう美しく、大切に育てられた人とは見えるけれど、惹かれはしない。」

と感じられて、幼い頃の思いが募り、たいそう苦しいまでになっていった。


 大人になられてからは、以前のように御簾の内へもお入りになれない。管弦の遊びの折々、琴や笛の音に心を通わせ、仄かに聞こえる御声を慰めにして、内裏住まいのみを好ましく思っておられる。

 五日六日内裏にお住まいになり、左大臣邸にニ三日など、途切れ途切れに退出なさるが、今はまだ若いので、大臣は咎めることもなく、手を尽くして大切にお世話をしている。

 光る君と姫君のそれぞれにお仕えする女房たちは、世間並みでない者を選りすぐって仕えさせたし、二人が興味を持ちそうな遊びをしたりして、心を込めてお世話をする。


 内裏では、桐壺更衣がお住まいであった淑景舎(しげいさ)を光る君の部屋として、母御息所(桐壺更衣)にお仕えしていた女房達を、そのまま光る君にお仕えするようになさった。

 亡き桐壺更衣の実家は、修理職(すりしき)内匠寮(たくみづかさ)にお命じになり、またとなく立派に改築させた。もともと木立も築山の佇まいも風情ある所であったが、池を掘り広げて、見事に造営して大変賑やかである。

 光る君は、このような所に理想とする人を迎えて住みたいとばかり思い、嘆いていらした。』



この頃の貴族女性は、異性に顔を見せないものでした。高位貴族の場合、成人後は父親や兄弟にも直接顔を見せなかったと言います。


藤壺が、最初恥ずかしがって光る君を避けていたのは、たとえ相手が子供でも、顔を見せるのが恥ずかしいという感覚があったからなんですね。そして、たった十二歳でも、元服を済ませてしまえば大人扱いで、顔を見るのはおろか声も直接聞けなくなる。この辺は結構厳格です。

当初は母に似た姉のような人への思慕だったものが、ここから募り募っていくわけですね。

『さやうならむ人をこそ見め(そのような人をこそ妻としたい)』と十二歳にして考えています。


『見る』という言葉に「結婚する」という意味があると知った時は驚きました。

見るだけで結婚??

まあ、考えてみれば、徹底的に異性に顔を隠す時代、顔を見る時は結婚する時だったんですね。


それにしても、後宮の殿舎に左大臣邸、おまけに帝のお声がかりで改築した二条院。すごい厚遇ぶりじゃないですか。他の皇子たちは、きっとこんな扱い受けてないでしょうねえ。

(おとうさん)、やり過ぎじゃないですか?他の子達、ひがみません?



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