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50億年後のタニストロ  作者: 城塚崇はだいぶいい
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第三話 丸い世界には無限に存在する

「このように、点Aと点B二つの点をつなぐ直線は必ず一本だけ引くことができる。これはどんな二点間においても言えることなんだ」

 三時間目の授業は算数だ。剛君にとっては得意な方の科目なんだけど、今日は先生の言っていることに納得ができないみたい。どうしたのかな?

「先生、AとBをつなぐ直線はもっとたくさん引ける気がする」

「本当かい?いったいどうやって引くんだい?」

 先生は剛君に尋ねた。

「さっき地球は丸いって言ってたよね。地球の地面は平らじゃなくてボールみたいに丸まっているんだよね?ということはこの机も、机の上のノートも地球の一部だから、つまりええと、このノートは平らなようで実は、ほんの少しだけ、目に見えないくらいのちょっとだけ、地球と同じくらい丸まっているはずなんだ。地球が大きすぎて、このノートが小さすぎてわからないだけで、もし地球と同じ大きさの紙があったら、そしたらさ、北極と南極をつなぐ直線は何本でも引ける気がするんだ」

 剛君はそう言うと、突然ノートを1ページ破り、教室の隅に置いてあった休み時間に遊ぶ用のボールを取ってきて張り付けた。そして、プラスチックのちょっと撓る定規を使ってボールの上に貼ったノートに直線を何本か引いて見せた。それはちょうどスイカの皮の黒い模様をぴんと伸ばしたみたいな。

 なるほどね。剛君はさっきの理科の授業が頭から離れなくなっていたんだね。先生はそれを見ていてとても驚いた顔をしたが、そのあとすぐに笑顔になると、

「剛君、すごい!すごいよ!ただね、その世界の話は、もうちょっと大きくなってから勉強するんだ。今はひとまず、平らな世界の話をしよう。どこまで行っても平らな世界だ。地球上には無いかもしれないが脳内で想像することならできるだろ?」

「想像・・・?」

 剛君は斜め上を見上げて、平らな世界のことを想像している。

「算数っておもしろいよね。一見とても理論的で現実的な学問だと思いきや、実は空想の世界のことを考えているんだから」

 先生はとても楽しそうだ。

「みんな、面白い意見をくれた剛君に拍手。ただし、算数のテストでは二点間をつなぐ直線は一本としてくれよ。」

 剛君は、みんなに拍手されてちょっと照れくさそうに笑っていた。


 どこまでも続く平面の世界。地球上には存在しない世界だけど、地球の丸さを知ってしまう前なら、想像するまでもなく当たり前だと思っていた世界だ。

 科学者を目指すなら、この世界も冒険しておく必要がありそうだ。もしかしたらタニストロフェウスの生き残りが見つかるかもね。

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