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俺と推しと転生と。  作者: ひつじ
第一章 一人前の魔力使い
1/9

000.プロローグ



「・・・・・・はあ」


ぐしゃ、と紙を潰す音がする。つぶされた紙の山。乱暴に叩きつけられ、紙が悲鳴を上げる。


脇目も振らず、その人は新たな紙に向かう。




暗やみの中、その人はかきつづける。


かいて、かいて、かいて、かいて、かいて、かきづつける。


手から血が滲み出し、血走った目をして、その人はかきつづける。



「・・・・・・」



やせ細った体。やつれて、骨ばった体は今にも折れそうだ。


それでもそのひとはかきつづける。かかなければならないのだ。



ふいに、ぱた、とか細い音がなった。

机から、その人が握っていたペンが転がり落ち、派手な音を立てる。


「もう……つかれた」


そう、その人はつぶやく。

目の下のくまが、痛々しいほどに黒ずんでいる。



「・・・・・・そうだ」



突然、その人はにたりと笑った。その姿は、奇怪そのものだった。



「・・・・・・が、・・・・・・れば」



その声は小さく、誰にも届かない。



「もしかしたら・・・・・・これで・・・・・・」



私が救われるかもしれない。




その人は、嗤う。狂ったように、嗤った。


ごとん、とインクが入ったビンがたおれる。漆黒が、散らばった紙に広がっていく。

その人は、そのインクを指ですくった。そのまま、黒く濡れた紙に書き付ける。




『最後にわらうのは、漆黒の創造神だろう』




そう乱暴にかきつけられた紙は、風に揺れて静かにはためいた。


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