intermission
むーかーしーギリシアのーイカレースーはー
あたまーがーイカレーてーとんでーえったー
潮騒。
青の波涛が哭く浜に、空ろな少女の歌声が響く。
青の惑星、通称、くされチョンマゲマーチ星。その、都から僅かに逸れた白い砂浜。墜落してきたそのままに、砂上をゆるいカーブに抉り、半分埋もれた卵型のロボット。純白のpai1号機、その傍らで、少女…幼女、は空を見上げる。
幼女の無垢さと、少女の彩さと、成人女性の艶やかさ。入り雑じった不思議な空気をその身に纏い、空を映した空虚な瞳、長い睫毛は憂いを湛える。朽ちた流木の上に腰掛け、女は飽きずに空を眺める。
<…ったく、無茶させやがって。しんだらどーすんだ。>
白砂の浜に斜めに刺さった、卵型の真白い機体。その、頭頂部の搭乗口から、憎々しげな音声が漏れる。
「ほう…?面白い事を言う。己様たちが、この程度で死ねるタマかよ。」
カンラカンラと高笑いつつ、どこか自嘲を含めた声で、幼女は憎まれ口を返す。
<ばぁか。誰がオメーの心配なんかするかよ?俺様の大切なハルカちゃんのコトだ。…ったく、毎回毎回…なに?お前、ひょっとして妬いてんの?>
ザッハッハッハッハ。卵型の白い機体から、いかにも可笑しそうな嘲笑いが漏れた。
「あ?」
傍らの幼女がそれだけで、人を殺せそうな視線を向ける。
<うお。>
殺意を感じ取ったのか、白い機体はその口を閉じた。
沈黙。
砂浜に哭く青い波涛は、引いて押し、押して引き、命の鼓動を刻み続ける。
「…珍しいこともあるものだな。貴様の方から、己様に話しかける事があるとは。」
諦めたように空を見上げ、女は静かに呟きを溢す。
<(ウッヘ。明治元年から百年間シカトしてたの、やっぱ根に持ってやがったコイツ。だから俺様、話しかけたくなかったんだよにゃん…。)>
白い機体は砂に埋もれ、竦める肩も動かせないが。もし動かせたらホームコメディを演じるアメリカ人のように、大袈裟なジェスチャーをしていただろう。
「数百年以上、だ。」
女は空を見上げたまま、心を読んだように訂正を入れた。




