intermission.
氷の海に浮かぶ巨山、外宇宙探査艦プレジデント・オバマ。いつでも忙しい第一格納庫では、今日も今日とて鳥人たちが。右へ左へ補充物資の搬入作業に短い脚でヨタヨタヨタと、行ったり来たりを繰り返している。
彼らのほとんどは昨日、かなりテキトーな集団就労説明会の末、即決採用により配属されたばかりの新人であるが。「一人が変わった事をやり出すと疑問を持たずに全員がそれに倣う」という、彼らが本能的に持つ習性。それがこと、このテの作業ではプラスにはたらき。争う事を知らない彼らは文句も言わず、慌てず焦らずヨタヨタヨタと。実にせっせと楽しげに、力仕事に精を出す。
その、鳥人たちがヨタヨタヨタと「それで本当に大丈夫なのか?」と見る者に思わず不安を抱かせるようなおぼつかない足取りで作業を続けている第1格納庫、その片隅。
喧騒を他所にひっそりと、明らかに場違いなコンビニエンス・ストア「ヘブンダイブン」。そのプレジデント・オバマ出張店が冗談のように置き捨てられている。
置き捨てられている、というのは文字の通り。この物体は昨日、重作業フレームに換装したゴリラのpai4号機、そのパワークレーンによって地面から丸ごとぶっこ抜かれ、オバマの第一格納庫に運ばれてそのまま。雑にぶん投げられたなりで今現在に至るまで放置されているのであるが、驚くことにこの店舗、なんと「営業中」のランプが点っているではないか。
その、おざなりに「プレジデントオバマ出張店」と表示の書き換えられた入り口の自動ドアーを潜り、最奥。来客のない店内、レジの中で頬杖をつき、「ソレを書き直す前にやるべきことがあるんじゃないのかなあ…。」と言いたげな顔をして座っているのは、「ヘブンダイブン」のパステルカラーの制服に身を包んだ廻恵生。通称めぐりんである。
「なんでこうなっちゃったんだろう…。」
独りごちつつめぐりんは、大きく息を溜めて、吐く。吸気で大きく膨らんだ胸が、吐気で今度は大きく揺れる。
はあぁ、と溜め息を吐いてはみたものの。めぐりんは実は自分の今置かれている状況をどうこう思えるほど、自分の今置かれている状況が理解出来てはいない。
このさっぱりわけのわからん非常識な事態の中にあって、彼女にわかるのは、とりあえず。ここでいつもと変わらず店番をしていなければならないらしい、と、いう事。そして、レジの裏のバックヤードでは店長・こま鳥あきおがあへあへあへと、虚ろな瞳で嗤い続けている、と、いう事。その2つだけである。
「お客…くるのかなあ?」
むー、と彼女が眉をしかめ、壁に掛かった時計を見上げたその時。入店を知らせるチャイムは鳴った。




