intermission.
夏の終わりにきらめく太陽。爽やかな朝の南風。
港に黒く聳える巨山、外宇宙探査艦プレジデント・オバマ、その甲板。8列横隊に並んだオバマの乗員が、手振り足振り、身体を動かす。
オバマ乗員の毎朝の日課。日本全国朝のゼラチン運動の時間である。
「腕を大きく曲げて、蹴伸びの運動ーッ!!」
威勢のよい掛け声が、灰色の甲板におざなりにおかれた旧式のラジカセから聴こえてくる。
ゼラゼラ、チンチン。ゼラチンチン。
ゼラゼラ、チンチン。ゼラチンチン。
ラジカセの号令に合わせ。ハルカが、アキノが。タツミやゴリラ、ペンギンたち。オバマの乗員が身体を捻る。
揺れる胸。伸びる腰。開く脇。夏の終わりの太陽がきらめく。
「コルァハルカァッ!!声が出てねーぞ、声がァッ!!」
パシーン。右手の竹刀が甲板を叩く音とともに、ツバサの怒号が飛ぶ。その左手には何故か大仰なこれまた旧式のビデオ・カメラが握られている。
ひゃっ!と身を縮め、「すいません!すいません!」と何度も頭を下げるハルカ。眉をしかめ、眼を閉じ。偉そうに胸をそびやかしたツバサは「…ったく、いつまでも新人気分でいるんじゃねえぞ。」などと、それらしい事を言ってはいるが。その左手には何故か大仰なこれまた旧式のビデオ・カメラが握られている。
「さあ、早く大きな声で、ゼラゼラチンチン、ゼラチンチン。皆に聴こえるよう大きな声で、さあはやく、チンチン、って言うンだ、さあさあ、チンチン!さあ、さあ、さあ!!」
ビデオ・カメラを覗きつつ。ハァハァハァと荒い息を立てるツバサ。
「…新人の教育に個人的な嗜好を混ぜないでもらえますか?」
隣に立つシホのこめかみがピクピクと痙攣する。
「あぁ。たぶんこれ、真面目に聴かなくていいヤツだぞ。」
ラジカセの指揮するゼラチン運動に合わせて両腕をクロスさせつつ。
ハルカに伝えるタツミの、胸が大きく潰れていた。




