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王伝編集官   作者: 卵星店長(代理)
1章 雷の匙加減
6/72

王伝編集官 5話

 サフィは訓練場のベンチに座り指先にはパチパチと閃光が弾ける。苦手とはいえ雷をここまで使えるようになったのもラディたちのおかげだ。それでも目の前の光景にはため息しかでない。なんの冗談だろうかと。ラディとレイは魔法のみの模擬戦を行っている。


「私がやりたいのはこんなのじゃないんだけどねぇ・・」


ポツリとつぶやく。訓練場では魔法や武器の技を使っても、威力を相殺する結界があるので当たっても人が触れた程度の感触しかない。要するに画面越しに見るくらいなかんじだろう。なのでため息も自分の魔法もはっきり聞こえる。彼らはもう15分以上も人の頭ほどの雷球や氷の槍なんかをぶっぱなし続けている。それも楽しそうに。


「どこの巨大魔獣を討伐しようってんだか・・」


巨大魔獣。そんなものは縄張り意識が強く、自分のテリトリーから出てこない以上お金か名誉がほしいのでもない限りわざわざ行かないし。だいたいこの2人にはこれ以上いらない。


「いくら私に見せるためっていってもやりすぎ・・」


初等部では魔法学は座学と実習のみ。武術に関しても週2回の実習だ。模擬戦にいたってはどちらも授業にはない。それにこの2つは選択制だ。2人にそれができるのは王族という特殊な事情があるというだけ。もっともリノリスの姉も当時から規格外ではあったが。なので現時点でサフィにできるのは指先のパチパチのみということだ。ようやく終わったらしく、アバルがタオルを差し出す。体があたたまったくらいの表情で


「じゃぁ サフィもやってみようか」


「え なんで・・」


「まぁまぁ ほらあの的に向かってやってごらん」


「あんな遠く?」


ラディに背中を押されつつ的に向くとサフィも観念した。他の属性でさえまだ手のひらの上で維持することしかやってないというのに。手を的にかざし集中する。魔力が体内を巡り手に集まる。十分になったところでラディの使った雷球を思い浮かべる。それを体外に放つ。一瞬なにが起こったかわからなかった。リノリスは目を閉じそれに耐えた。50m四方はある訓練場全体に閃光が満ちすべてが真っ白になった。そう、まるで落雷が落ちたかのように。元の光景に戻るとサフィはぼーぜんとした表情で座り込んだ。


「なにこれ・・」


そう言ってそのまま後ろに倒れた。ラディはサフィをベンチに運び横にしてレイと共に手を握る。急激な魔力喪失で昏倒したので2人のもつ「魔力供給」でそれを補う。まもなく目を開け不満全開で言う。


「どういうこと?」


「君はそれを聞いている」


「・・・スーちゃんめ、今度会ったら抱きしめちゃる」


「立って帰れそうかい? よければ背負っていこうか」


「大丈夫。魔力ありがとうね」


「どういたしまして。後は威力を加減できるようにならないとね」


「これ まだ続くの?」


「レイ以外のいい気分転換になるからね」


さようで とサフィはつぶやく。さっきのをサフィがやるならやはり憂さ晴らしだから。訓練場を出て別れ際 そうそう とラディが最後の雷を落とす。


「明日は朝一で来てね。女の子は着替えに時間かかるから」


「は? 制服でいいんじゃないの?」


「君にも着替えてもらう。母上と同じ目的でね」


お披露目って王妃様だけじゃなかった。子供用のドレスも準備してたと。侮れない。見世物みたいでいやなのだろう。サフィはさらに渋面になった。

(あとはドレス着て笑ってくれたら最高にかわいいんだけどね。)

でもリノリスにはその光景が見えている。苦手な雷を纏い輝く笑顔のサフィを。





たまたま今回は戦闘ぽいものがありますが、基本ないです。ご意見・ご希望等をいただいたら可能な限り考慮いたしますが、足りないものは補えてもないものはどうにも・・

それの筆頭が絵心でしょうか。後はもう色気とかとかとか・・

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