↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王伝編集官   作者: 卵星店長(代理)
4章 炎のコンビ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/72

王伝編集官 23話

     4章 炎のコンビ

 炎の海。そう表現するしかない。20はない木造の建物、そして畑。人々の営みを肌を焦がす炎が覆う。高台に逃げた人々は、そんな光景を目にしていても悲壮感は漂っていない。その中の一番年長であろう智者は、隣で泣きじゃくる子供に静かに問う。


「だれも傷付いていない。それでもまだ悲しいかい?」


 全身ススまみれな子供はうつむきながらも首を振った。少しづつ嗚咽も減り、夜空をも染める炎を映す髪は陽の色。熱を帯びた風にあおられ毛先は好き勝手に動いている。声をかけた人物は髪のススを取るようになでた。


「うむ、さすが儂の孫じゃ」


 できるだけ明るく言う。(さて、この子にこれから必要なのは・・・)もう少年は泣いておらず、金色の瞳は決意をもって炎を見つめた。孫バカな祖父は彼に笑顔をもたらす人物を想像する。彼の方なら受け入れてくれるだろう。遠い遠い地にいる、世にたった一人の。


「これからのことじゃが、友達は欲しくないかな?」


「え?」


 責任を取ること。それしか頭になかったのか、目をこぼれそうな勢いで見開く。戸惑いとこの場を離れる不安と。色々まざった心は祖父の手をぎゅっと握りしめた。


「ここは大丈夫じゃ、行って世界を見ておいで」


「友達・・・こんな僕でもできるのかな」


「うむ、お守りにこれをやろう。友達に出合うまでお前を守ってくれる」


 そっと少年の手を取りそれをはめた。手首に細い銀色の鎖。顔に近づけ手首をゆらしてながめると、やっと小さく笑みがでた。




 ルシネイラ国 王の執務室


 室内には王と宰相、ラディ王子、そしてリノリス。王は他国から届いた書簡を読み、机に置いた。


「こちらで預かってほしい子供がいるということだ。ラディのクラスに入れるが、慣れるまでだれかに見ていてもらいたい」


「どんな子です?場合によっては私が見ますが」


「うーん、それは会うまでは決めようがないな」


「そうですか、わかりました。簡単な説明だけしておきます」


「ああ、頼んだ。なるべく大勢の友達ができるといい。」


「うちのクラスはにぎやかですよ」


 自慢げに笑うラディ王子はだれかを想像したのだろう。すでに任せる相手は決まってるようだ。きっと頬をふにふにされるだろう。どんな事情であれ笑って過ごしてほしい。




 次の日の昼食タイム。適度なタイミングで編入してくる子の話題が始まる。本日のデザート「お日さまのキルシュトルテ」を味わいつつ


「これは盛大に歓迎会ね」


「テラ、ちょっと待って、すぐは無理だよ。彼の状態を元に戻してから」


「それ「感情抑制」って言ったっけ」


「念のためとのことだけど、すぐ解除していいかわからないから」


「ラディならぱっと治してくれるんでしょ?」


「私だって万能じゃないよ」


「・・・」


 元から会話に集中してなかったテラは無言になった。どうやらデザートに現を抜かしているよ。口元は残念なほど緩んで、にまにまうっとりさん。ラディ以下全員が思う所は、同じだろう。

(テラこそなんとかしてくれそうだよね)




*「おひさまのキルシュトルテ」 通常ショコラ生地のケーキで重ねるのをプレーン生地で仕上げた。その軽い口当たりは食後でもホールいけると、中等部のお姉さま方に敵認定されている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。