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第14話 3戦目、フール、ムラサキvsカルタナ、コサック

今回も前回に引き続き試行錯誤して書いてます

拙いところがありましたら、教えてくれると助かります。

祝 総合ポイント400超えてました。ありがとうございます!!!

メイの戦いが終わり、俺たちは先に2勝している。

 今は昼が過ぎ空は曇って辺りは暗くなっている。

 だが、暗くなる雰囲気を打ち消すようにコロシアム内は歓声に包まれ、次の戦いに期待する眼差しで満ち溢れている。


「おーい。君たちさぁ、ちょっとお願い聞いてくれないかなー?」


 3戦目の相手が、もう一人男を連れて話しかけてくる。


 なんだ? 相手にはもう後がないにしろ普通に戦うしかないと思うんだが……。


「二人で戦わせてくれないかな? こっちもあとがないから、勝ち目が上がるように二人で戦いたいんだけど」


 なにか嫌な感じがするな……。ここは断った方が……ちッ、今の発言で会場が盛り上がってやがる。断ったら逃げただとか言われて勝っても敗北を帳消しにされかねない。


「いいですよ。私たちなら勝てます」


 隣でムラサキがやる気に満ちた目でそう言う。


「はい。私たちなら大丈夫です」


 本当ならムラサキの後に戦うはずだったフールもやる気のようだ。


「そうか、じゃあ行ってこい。ただし、何か危険な感じがする。負けることはないと思うが、万が一危ない状況に陥ったらすぐに降参しろ」


 二人は頷き、コロシアムへと歩いていく。

 まるで西部劇にでてくるガンマンの打ち合いみたいに風が吹き、対峙している様子はその姿を彷彿とさせる。


「コサック、分かってるよね?」


「分かってるってばカルタナ」


 男たちが何やら会話している。


「私が援護します。フールさんはどんどん攻めてくださいね」


「はい、任せてください」


 二人が顔を合わせ、頷く。

 なにあれかっこいい。俺もやってみたい……。


 そんなことを思っているうちに、戦闘は始まった。

 ムラサキが弓で援護しつつフールが接近戦を演じる。

 フールはカルタナと呼ばれた男に接近して槍で突きを入れる。

 それを体を右に移動させ回避し後ろに飛ぶ。そこにムラサキが矢を放ち追撃を仕掛けるが、その矢は途中で弾き飛んだ。


「あなたも、弓を使用する英雄なんですね」


 ムラサキが睨むように相手を見た。

 その視線を受けカルタナは挑発的な視線を返した。


「くっ、いいでしょう。私の方が強いに決まってすッ!」


 ムラサキが遠距離から矢を放ちカルタナを仕留めにいく。

 フールはムラサキの元まで下がり、思う存分に矢を放てる。

 矢がブーメランの軌道のように曲がりながらカルタナに迫るものや、ジグザグに動きながらカルタナを襲う。



 ――だが、その矢は一つたりともカルタナへ当たることはなかった。


「なっ、そんなばかな……」


 カルタナは全て撃ち落としていた。

 まるで鏡になっているかのように同じ軌道、同じ動きで矢に命中させたのだ。


「僕は『カルナ』だ。いくら君が『アルジュナ』でも僕に勝つことはできない」


 『カルナ』か……。なるほどな、カルナならムラサキより弓がうまくても不思議じゃないな。

 伝説上でのカルナはアルジュナに負けてしまうが、それは不運が重なりに重なって敗北したにすぎない。

 実際の実力ではカルナのほうが上だったというものも見たことがある。


「コサック、君は手をださなくていい。僕一人で終わるからね」


「念を押すなぁ君は、はいはい。壁際で座ってるから好きにしていいよ」


 一人でだと? もしかして……、いやあんなものあるとは思えない……。


「くっ……」

「ムラサキさん、私たちは二人で戦うんですよ」


 フールは冷静さを失いかけたムラサキの肩に手を当て、諭すように落ち着かせた。


「はい。私は後衛を務めますので責めて行ってください」

「それじゃあいきますよ! はぁぁあああ!」


 そこからの二人の連携は見事だった。フールが槍で攻撃し、後ろに下がりながら避けるカルタナだが、後ろにムラサキが放った矢が迫り下がることができなくなる。

 カルタナはフールの槍の連撃を何とか回避しているものの、次第に追い詰められ、足に帯を巻かれ転ばされたことによって槍を正面から受けた。


「ぐぅッ、うわぁああああ」


 カルタナの体が吹き飛び、壁に激突する。


「終わりですね。あなたは戦わなくていいんですか?」


 フールがコサックと呼ばれた男に声を掛ける。


「あぁ? 俺はいいんだよ。何もしなくても君たちが負けてくれるから」


 どういうことだ? 今のは完全に気絶してもいいくらい綺麗に入っていた。カルタナは起き上がれないはず……。


 壁に打ち付けられたときに舞った土煙が次第に晴れていく。

 薄暗い影からその身を出したのは、黄金に輝く鎧を纏ったカルタナだった。


 あれがあるのかッ?! 俺が言うのもなんだが、あんなチートアイテムまで存在していたのかッ。


 黄金に輝く鎧、それは英雄カルナ着用していた、着用している間は不死身という破格の性能をもった鎧なのだ。


 まずい、これはまずい。

 あいつらは知らない。不死身であることを。


「全然効かないなぁ。君たちの攻撃なんて僕には全然効かないよ」


「いつの間に槍なんて取り出したんですか」


 フールが忌々しげにそう言う。倒しきれなかったことを気にしているのだろう。


 お、おいおい。まさかそんなものまで……。


「フール! ムラサキ! その槍に一度でも触れるんじゃねぇぞッ!」


 思わず叫んでしまった。

 あの槍の性能は、俺以上に規格外の力を秘めているからだ。

 あの槍は必勝の槍、『必勝』なのだ。

 当たれば終わり、当たったらその瞬間、勝ちが確定する化け物アイテム。

 黄金の鎧に槍まで使えるとなると、もう勝ち目はない。

 あいつらが二人で戦いをするように頼んだ理由が今わかったッ……。カルナが出れば確実に勝つことができるからだったのか……。


「え、は、はい! 当たらなければいいんですね!」

「あたりませんよ、大丈夫です」


 だめだ、そういうことじゃないんだ。

 思っていることと伝わった内容が全然違う。

 どうしたらいい? どうしたらいいんだ。肝心な時に頭が回らないじゃないかッ!



 そして、世界の時間の進みが遅くなった気がした。



 フールがカルタナに迫る。

 槍を横なぎに振り、左に飛ばそうとする。だが、それをカルタナは片手で止めてしまった。

 ムラサキが弓を放つが、槍を一振るいして払う。


 ただ見ているしかできない。体は思考と共に動かなくなり、使い物にならない。

 カルタナの槍が禍々しい輝きを放つ。


「やめろ、やめろォォォオオオッ!」


 叫んでいるのは俺だ。何もできずに叫ぶしかなかった。


 槍を掴まれて判断が遅れたフールに、カルタナの必勝の槍が高速で迫った。


「うぐぅっ、きゃぁああああッ」


 槍がフールに刺さる。

 すると、槍は急加速しムラサキの元まで飛んでいく。


「フールさんッ! なっ、速いッ」


 フールを連れてムラサキに元まで急接近する。

 必勝の槍は急激に輝きを増し、辺り一面を黒い光で塗りつぶし、爆発した。


 激しい爆発はコロシアム内部を煙で満たし、何も見えなくなった。


 晴れる煙、倒れている人影。


 そこには、血だらけで横たわる二人の姿があった。

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