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第11話 屋敷サイド、ルーラの防衛線

~ラリアの一戦目が終わり、メイの2戦目に入っている頃~



「夜月さんたち今頃戦ってるんだろうなー」


「そうですね……。皆ならきっと、敵さんを倒しちゃってくれてますよ!」


 ススキちゃんはいつも明るいなぁ、ちょっと前はそんなことなかったけど夜月さんと特訓して戻ってきてから変わったね。


「だね。私もそう思うよ」


 私たちも強くなってるしね。なにか不利な状況でもなければ負けることなんてないよ。



 問題は……、私たちの方かな。



 もうそろそろ来る頃合いだ。私たちを卑怯な手で倒そうと暗躍する連中が。


「ルーラちゃん、来たよ」


 ホタルさんが屋敷の周りに仕掛けた罠が発動したらしい。


「敵は5人、流石に大勢では来ないみたいだね」


「そうだよね。分担はどうする? 私は二人まとめて戦うのは決まってるけどね」

「わ、私は一人で精一杯かもしれません……」

「なら私に任せて。対多数は得意だからね」


 夜月さんたちがコロシアムに向かった後、既に他の子たちは一部屋に隠れてもらっている。

 今は玄関に私たち三人しかいない。


「あらら、三人しかいないのね」


 男たちが玄関から堂々と入ってきた。


「ちょっと罠張りすぎだよ嬢ちゃんたちさぁ。めんどくさいことこの上なかったよ」


 罠が作動してからこの数分でここまでくるなんて……。

 私たちは武器を構え戦闘態勢に入る。


「君たちが相手? やめておいた方がいいよ~、痛い目見ないうちに大人しく捕まってくれよ」


「なめてもらっちゃ困るねッ! あんたたちなんかに負けないんだから!」


 私は真ん中の男とその横にいる男に向かって斬りかかる。

 それに反応してガードされてしまうが、問題ない。


 その突撃に合わせススキちゃんとホタルさんも攻撃を仕掛ける。

 ススキちゃんは槍で右端の男を弾き飛ばし、ホタルさんは笛を吹いて結界を張り、予定通り二人を隔離した。


「これはやられたなぁ、うまく分断されちゃったか」


「かかってきなさい。カッコ悪く無様に倒してあげるから」


 飄々とした男はナイフを構え、もう一人の男は鉄球のついた棒を構える。


「これに当たれば体は弾け肉塊になるだろう。気をつけて攻撃してくるんだなッ」


 鉄球がこちらに迫ってくる。

 見た目が重そうなのにかなりの速さで飛んできて反応が少し遅れたが、避けれない速度ではない。

 身を低くして横に飛んだ。


「甘いってば、分かりやすすぎだよ」


 くっ、避けた先に回り込んでるなんてッ……。

 迫りくるナイフを右手の剣で防ぎ、左手の剣で追撃を入れる。


「おわっと、二刀流はこれだから油断できないんだった」


 すぐに後ろに下がって避けられてしまう。そして後ろからは鉄球が来ていて、そちらを追うことが許されない。


「はぁッ! このっ……、次から次へとッ」


 ナイフ男と鉄球男は私に攻撃をさせず、一方的に攻撃を仕掛けてくる。


 そこで迫ってきた鉄球を剣でいなして、ナイフ男へと飛ばす。

 ナイフ男は当然のようにヒラリと躱すが、そこでやっと攻撃をするタイミングが生まれた。


「まずはあんたを叩く! はぁああ!」


 鉄球男の方に接近する。驚いて身を後ろに引くが、この距離に入り武器が鉄球なら防ぐことなど不可能だ。


 高速で連撃を入れる。手首を切り落とし武器を落とす。がら空きになった胴体を切り刻むと、後ろからナイフ男の方が斬りかかってきたが、片方の剣で防ぐ。


「よくもやりやがったな嬢ちゃん。油断したのはコイツと俺のミスだが、それでも仲間を殺してくれた分は返させてもらうぜ」


「敵討ちのつもり? なめないでよ。私たちはあなたたちのような人間全てに敵討ちのつもりよ。負けるはずがないじゃない」


 怒った表情でこちらを睨むが、それ以上の怒りを持って睨み返す。


 ナイフ男は屋敷の壁や階段など様々な場所を足場に使い360度から斬りかかってくる。その速度は先ほどの倍速く、先ほどは連携するために速度を落としていたのだろうか。


 剣を二本使ってやっとガードしきることができるなんて……。

 360度から迫るナイフに視界がグルグルとする。

 そのせいで気付くのが遅れてしまった。後ろから迫る鉄球に。

 剣でガードしても、ただトゲが刺さらなかった程度でしかない。その衝撃は私の体を壁に強く打ち付けた。


「はっ……! くぅうわぁッ」


 うぅ……。体に力が……。少し動くけどあいつ相手じゃ遅すぎて話にならない。


「簡単には殺さ……。いや、すぐに殺して他の奴らのところに向かう。お前たちの強さは認めないとな」


 流石に二人相手じゃきつかった……。

 奥の手まで出すことになるなんて。


「私はここで終わらないッ、私をなめないでッ! 『ロンギヌスの槍』よッ!」


 私の二つの剣が融合し、槍の形になる。


「ロンギヌスだとッ?! 二刀流の剣士、それにロンギヌスに関りがあるなんて……、お前『ベイリン』かッ!」


「そう! 私は『ベイリン』のルーラ! この二つ名の力で皆を守るって決めたのッ! ロンギヌスの槍よ! 目の前の敵を打ち滅ぼせッ!」


 ロンギヌスが呼びかけに応えるように神々しく輝く。

 握った槍を投擲する。槍は音速を超え光速でナイフ男に直撃した。


「くっそがァッ、こんな奴らが相手なんて聞いてなかったぞオイッ! うぁぁぁああああッ!」


 直撃した槍はナイフ男の体を打ち上げ、花火のように破裂して二つ目の太陽のように輝いた。


「あぶなかったなぁ。うぐぅッ、ぐはぁッ。反動が……」


 ロンギヌス槍を使ったベイリンは『嘆きの一撃』という、聖具を使用した反動を受けたと言っていた。

 私の場合は体に凄まじい衝撃が訪れるというもので、その反動は私の意識を刈り取るのに十分な威力があった。


 あぁ、あれが当たってよかったな……。

 速く援護に行きたかったけど無理そう。ごめんねススキちゃんにホタルさん……。



 ――そして、ルーラは意識を失った。


後2話くらい続けて屋敷サイドです。まぁススキとホタルの戦なんですけどね(笑)

その後にコロシアムサイドに戻ろうと思います。

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