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ギルド受付嬢エアルの話し

 

 国の辺境にあるこの町、バンガラは開拓を兼用している戦略的拠点。

 常に魔物と戦い、森を切り開き、台地を整備する人材が求められてる。

 そこで冒険者ギルドが中心となり、魔物を排除することを優先に町の拡大を目指している。

 また、様々な種族が混在している珍しい町でもある。私のような獣人がいても誰も気にしない。なぜなら魔物と戦える人材こそが最も価値のあることだから。

 しかも冒険者たちは団結し共通の敵に立ち向かっている。弱い者や邪な者もいるがやがて淘汰される。

 それがバンガラ。戦う町だ。


 冒険者ギルドの受付になって早二年。

 私、エアルは見た。

 ふらりとギルドに現れた男を。

 まるでその辺に遊びに来たような白い半そでに黒いズボン。黒髪に丸い帽子をつけた男。

 ギルドを見回しシンシア先輩と目が合ったようで慌てて逸らす。恥ずかしいのかな?

 すると先輩がおもむろに席を立ち凄いスピードで向かって行く。

 シンシア先輩は極度のあがり症だ。特に男性に対して。先輩のカウンターに男性の冒険者が来ると表情が硬くなり、憎まれ口を叩いてあがり症を誤魔化す。

 そのため男性の評判が悪く、めったに並ばれなくなってしまい症状が改善するどころか悪化する一方だった。

 どうやら先輩が男を捕まえカウンターに連行していく。

 その行動に先輩の決意が見て取れる。自分を改善しようとする先輩を応援せずにいられない。

 何か先輩にピンときたのだろうか? 私の胸にワクワクと好奇心が出てくる。

 いつものような先輩の辛辣な言葉を気にした風もなく男がやりとりしている。

 意外と会話が続き足早に去っていく男の後ろ姿に声をかける先輩。満足そうな顔で見送っていたのが印象的。


「先輩! さっきの人は大丈夫でした?」

「え!? ええ。大丈夫だった」

 嬉しそうな笑顔を私に向けるシンシア先輩。男の人の前でもできればモテモテなのに。

「凄いですね! こんな長時間、新記録ですよ! このまま治るといいですね!」

「ありがとう。あたし頑張るね。不思議とあの男とだとイケるみたい」

 それから私は業務に戻る。これでも受付の中でも人気な方なのだ。

 しばらくするとあの男がギルドに再び現れたが、何故か私の列に並ぶ。何考えてるのこの人?

 先輩は、めちゃくちゃ男をガン見している。これで逃げられたら元の木阿弥だもんね。

 やがて男は列を離れ先輩の元へ行くと話し始めた。ふー、一安心。

 なんとなく隣の話しを盗み聞きしたところ、丸い帽子は使い魔みたい。初めて見る魔物だ。でも他の国にいた人かもしれないから知らない魔物なのかもしれない。

 次の日も先輩と会う約束をして去っていく男。確かヨシオ?


「やりましたね! 先輩!」

「ええ! ヨシオは普通じゃないから大丈夫ね!」

 シンシア先輩は嬉しそうだ。私もいい加減、男を紹介するのが大変なので頑張ってほしい。

 するとまたヨシオがすまなそうに来た。

 澄ました先輩が呆れながら対応し、再び消えていく。

 何か言いたいのかガマンできない先輩が私に向き直る。まだお客さんがいるから後にして欲しいけどしょうがない。

「聞いて、あの男ってば宿屋も知らないのよ。どう思う?」

「えぇー。どこで生まれたんですかね?」

「ホントよ。字も読めないし。明日の依頼は試してみる!」

 先輩が燃えている。珍しい男の客に。私も陰ながら応援します!

「ねえ、エアル。仕事が終わったら飲みにいかない? 相談したいんだけど」

「あ! いいですよ! いろいろ話しましょう」

 今日はデートをせず、先輩に付き合おう。ギルドの受付の中で私達は友達だ。他の人とも仲がいいけど、先輩ほどではない。

 先輩は女性に対してはとても親切で協力的。なので女性の冒険者には人気がある。

 ヨシオが去った後、魔法使いの冒険者メイディが来て先輩に相談している。この二人も仲がいいな。


「先輩! 頑張って落としましょう!」

「えー。だって、今日あったばかりでしょ?」

 酒場のカウンターで二人語り合う。背後のテーブル席には冒険者達がいくつもの輪を作り、笑い声も大きく談笑している。

「あら、珍しいわね。シンシアちゃんに男ができたの?」

「ち、違いますよ! 会ったばかりだし! 付き合ってません!」

 話しを聞いていた酒場の主人、アンジェロさんが物珍しそうに話しかけ先輩が否定している。

「そう。もったいないわねー」

 残念そうなアンジェロさん。そうだ! 説明すれば味方になってもらえるかも?

「それがですねマスター。先輩のあがり症に負けない男が現れたんです!」

「あらら! いいじゃない!」

 やった! 乗ってくれた! 先輩は嫌な顔をしている。

「やめてよ。彼の気持ちもわからないし。それにかなり変な人よ」

「へぇ~。会ってみたいわねー」

 流し目でからかうアンジェロさん。ちなみに私の目標はアンジェロさんみたいな女性。日々精進なのです。

 そらから女子の話しが続く。なんか最初の相談内容がわからなくなったけど、ま、いっか。

 明日から楽しみが一つできた。

 私はエアル。人の恋沙汰には敏感です。

 少し空回りするかもだけど。



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