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決め手はポーション

 

「ま、マルイド…あれって弱点あるのか?」

「わからん。話しには聞いていたが、初めて見た……」

 呆然としているとドラゴンが全身を現す。大きさはアフリカゾウの二倍ぐらいありそう。

 よく見ると背中に突起物があり、ドス黒い血で固まっていた。何かの理由で翼をもぎとられたのか?

 くそ、考えても始まらない。固まっているメイディに向け走り出す。

「ムランはマルイドと一緒に離れてくれ! 師匠を連れてくる!」

「あ、待って!」

 背中にムランの声を受けながらも駆けていく。

 案の定、メイディは不動のまま、ドラゴンを凝視している。

「メイディ! 動け!」

 叫ぶか微動だにしない。くそ! なんでいつもそうなんだ!

 ドラゴンに一番近いジェルドが慌てて逃げ始める。その先にはマイが弓をつがえ警戒しているのが見えた。

 たどり着くとメイディの手を引いてマルイドたちの所へと走り始める。

「師匠! 心配だから逃げてくれ!」

「……すまん」

 頬を染めて謝るメイディ。恥ずかしいのか?

 その間もドラゴンがズシン、ズシンとマルイドの方へ歩きはじめた。そっちはダメだ!

 慌てて向きを変え、ジェルドとマイの方へ行く。

「ムラン! マイルイド!」

 呼んでみるが本人たちは気づかず、マルイドがムランをかばいながら後ろに下がっている。

 やっとマイの所へ着くとメイディの手を離す。

 どうやらドラゴンはムランたちを標的にしたようだ。ヤバイ!

「師匠とマイはここから援護してくれ! ジェルドは護衛! 後は任せた!」

「……わかった」「え? 大丈夫かい!?」「気をつけてください!」

 メイディたちの返事を置いてムランの方へ駆け出す。さっきから走ってばっかりだな。


 ドラゴンの巨体がマルイドたちに向かう横から魔法のヤリを射出する!

 思ったよりもすんなりとドラゴンのウロコを貫通した。お、イケる!

「ヴォオオオオオオ! ガァアアア!」

 怒ったドラゴンが俺に頭を向けると威嚇してくる。案外弱い? それともドラゴンじゃないのか?

 ドラゴンが素早く体を回転させ、太い尾が横から襲ってくる!

 回避出来ない! ああ、くそ!

「盾があるんだぁあああ!」

 叫んで魔法の盾を展開すると同時に尾が当たる!

 ドォゴォオオ! 

 ぐぅううう! 想像以上の衝撃と重さに体が悲鳴を上げる。キツイ! その場から二メートルほど後退した所で止まった。

 今のうちだ!! 背中のハルバートを取り出して魔力を込め振るう。

 尾の一部を切り裂き、その場から離れる。

「ガァアアアアアアアアア!」

 頭をこちらに向け威嚇してくるドラゴン。今、気がついたが手が無いぞ。ひょっとしてワイバーンってやつか?

 すると喉を膨らませ何かを吐き出すような姿勢になる。

 これは!? あれだ! ブレス? 慌ててその場から仲間のいない方向へ逃げる。


 ゴォオオオオオオオオオオオオオォォォーーーー

 大きく開けた口から火炎が躍り出る!

 逃げる俺を追いかけワイバーンが頭を(めぐ)らし炎が迫る。またかよ! 死ぬわ!!

「防ぐぞぉおおおおお!」

 右手にくくりつけた丸い盾を前にして魔法の防御膜を張る。

 と、炎が防御膜を赤く染め、そのまわりを火が渦を巻いている。激しい炎の熱に体中から汗が噴き出す。

 あちぃーーー! 目の前は火の海で何も見えない。

 炎が止むタイミングを見計らい、閉じかける口に向かって魔法のヤリを射出しまくる!

「ブッグゥウウウォオ!?」

 変な声を上げながらワイバーンが頭を左右に振っている。あんな巨体、どうやって倒すんだ?

 マイが遠距離から矢を当てているが刺さっているだけで効いてなさそう。

 するとまたワイバーンが体を回転させ尾を振ってくる!

 が、切り込みが入った尾が速度に耐えられず、ちぎれて明後日の方向へ飛んでいくのが見えた。

 

 今のうちだ!

 尾がちぎれバランスを失ったワイバーンが、たたらを踏んでいるところに突っ込んでいく。

 魔力を込めた武器を足に叩きつけ切り込む!

 手応えあり! 骨まで切れた!

「ギャャァアアアアアアアアアアア!」

 ワイバーンが叫び、地響きを立てながら地面へと崩れ落ちる。

 急いで頭の方へ向かうと、喉を膨らませて炎を吐き出す準備をしている。ああ、面倒くせえ!

「顔面凍ってろォおおおおおおお!!」

 武器を捨て、両手をワイバーンの頭に向ける!

 身体から魔力が抜けるのを感じた途端にワイバーンの頭部が氷でおおわれカチカチに固まる。

 すると風船のように膨らんだ喉が破裂し、首から炎が荒れ狂い出るとワイバーンの頭部を三、四メートルほど飛ばして地面に落ちた。

 ほっ、倒せて良かった。


「ヨシオーーー! メイディーーーー! 早く来てぇええ!! マルイドがぁあ!!」

 ムランが叫んでいる。

 慌てて向かうとマルイドがワイバーンのちぎれた尻尾の下敷きになっているのが見える。

 ムランが尻尾を持って、どかそうとしているが難しそう。口から血を流しているマルイドは苦しそうだ。

 急いで手伝い尻尾を取り除くと、青い顔のマルイドが薄目を開ける。

「…ぐっ、内蔵をやられた。まったくついてないぜ」

「しゃべるな! 今、助けるから!」

 ぐったりしているマルイドの肩を抱き、首を巡らせメイディを探す。ムランは心配そうに見ている。

 いた! マイとジェルドを伴い走って向かってきている。

「師匠!! 早く!」

 抱いているマルイドの身体が冷たくなってきているのがわかる。頼むよ、死ぬな!

「こんなアホな巻き込まれで死ぬとはな。できれば最後まで付き合いたかったぜ……」

「それだけ言えれば大丈夫だ。しっかりしろ!」

 ニッとするマルイドを励ます。頑張れ!

 やっときたメイディが腰を落としマルイドを見ている。眉間に皺を寄せ、渋い顔つきだ。

「師匠、早くポーションを!」

「……この深手だと…」

 言いかけてメイディが顔を背ける。おい! なんだよ!?

 乾いた笑いを上げマルイドが目を向ける。

「ハハ、このアホに言ってやれよ。死にかけの俺にはポーションが効かないってな……」

 なんだって……。効かないのか……。

 黙ってメイディを見つめる。他に手はないのか?


「!!」

 ハッと何かに気がついたメイディが、いつものポーションの小瓶をポーチから取り出し渡してくる。

「師匠? これは?」

「いいから早く!」

 せかされ、瓶のフタを開けるといつものグリーンではなく、鮮やかなブルーの液体が入っている。何これ?

 疑問に思いながらもマルイドの口に液体を流し込む。一応は飲んでくれているようだ。良かった。


 全員が固唾(かたず)をのんで見守る中、徐々に顔色が良くなったマルイドが目を見開く。

「おい、ウソだろ!? 力がみなぎるぞ! こんなことってあるのか!?」

「だ、大丈夫か?」

「わからんが、身体が動く! 助かったぞ!」

 自分の手を動かし、嬉しそうなマルイドを抱きしめる。良かった!

「わかったから。男に抱きつかれても嬉しくないぞ!」

 ワハハとマルイドが背中をバンバン叩く。

 体を離し、今度はメイディを抱きしめる。

「ありがとう師匠! おかけで仲間が助かった!」

「……違う」

 真っ赤なメイディが否定する。マジ?

「…ムランが作った」

 体を離してムランに視線を移すメイディ。

 つられて見ると得意げに両手を腰に当て威張っているムランがいた。

「ヨシオーー! 早くオレにも抱きつけ!」

 鼻息荒く、ふんすと待ち構えている。なんだコレ?

 恥ずかしくてできるか!



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