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危険は常に身内にあり

 

「メイディ?」

 見ると考えているようだ。マルイドに視線を向けると両手を上げている。

「……いいよ」

「マジで? フォローは誰がするんだ?」

 黙って俺を見つめるなメイディ! 嫌だぞ!

「よし、決まったな。よろしくジェルド。先を見てくる」

 マルイドは相手の返事も聞かず、さっさと逃げた。ズルいぞ!

「おお! ありがたい。では皆さんよろしく」

 嬉しそうなジェルドが立ち上がり近づいてくる。こんな巨体なのに怖がりなのか?

 メイディはうなずくと先を歩き始める。しかし俺は見た、口の端が上がっていることを。

 仲間が増えて嬉しいのか? 師匠……。


 様子を見てきたマルイドが戻り、報告してくる。

 どうやら森の先にスリ鉢状の地形があり、底に目標のエビルオークがたき火を囲んで食事中だったようだ。

 マルイドがメイディに目を向ける。

「数は五匹だ。ちと手に余るがどうする?」

「……楽勝!」

「マジかよ師匠!? 大丈夫?」

 ビックリして聞くとギロリと睨まれる。理由を言えよ! 師匠!

 その横でガタガタ震え始めるジェルド。大丈夫か?

 とりあえずエビルオークのいる場所まで移動して、木々の間からスリ鉢状の下にいる奴らを確認する。

 ちょうど食事が終わりに近づいているようでリラックスしている。

「……行け!」

「師匠? もう少し作戦とかは?」

「……無理!」

 メイディは目を細めて有無を言わせない圧をかけてくる。俺じゃなくて魔物にしろよ!

 と、いきなり俺を蹴っ飛ばしてくる!

 変な体制で蹴られて、たまらずスリ鉢状の坂を駆け降りる。

「ずりぃいぞ! メイディーーー!」

 後ろに向かって叫ぶと、エビルオークたちが気がついたようで慌ててウォゴ、ウォゴと言いながら獲物を手にしている。

「くそー! 死ねやぁーー!」

 スピードで駆け降りつつハルバートを振りかぶり、武器を取り向き直った一匹に浴びせる!

 真っ二つになったエビルオークが転がる。

「ムラン!」

「叫ぶな! うっさい!」

 頭の上から火の玉が一匹を襲い爆発する! よし! あと三匹!

 と、近くにいた一匹に魔法のヤリが飛来し串刺しにしていく!

「また、お前は!」

「オレじゃないぞ! 後ろからだ!」

 ムランの反論に振り返るとドヤ顔のメイディが見えた。師匠もパクリかよ!

「おい! 早くしろ! 俺だと一匹が限界だ!」

 なんとか一匹と対峙しているマルイドが怒鳴ってくる。わかったよ!

 ちょうどマルイドの後ろに回ったエビルオークに、けん制で武器を振るうと気がついて避ける。

 少し離れたところで突っ込むと相手の振るう武器を盾で防いで切り倒す!

 マルイドの方へ向くと、ちょうどメイディが魔法のヤリで倒すところだった。


「師匠! 俺のをパクるってどういうことだよ!」

「……弟子の魔法は私の魔法」

 近づいて文句を垂れると、むふんと自慢げにして俺に向き直りフードを取る。カッコつけてもダメだぞ!

「意味わかんねぇよ!」

「だけどさ、使い勝手がいいよアレ」

 まさかのムランの援護射撃。メイディはうなずいている。マジかよ……。

「…しょうがない。お役に立てるなら喜んで」

「……当然!」

 ニコッとするメイディ。いや、そこは「ありがとう」だろ!

「話しはついたか? そんじゃ帰るか」

 頃合いを見たマルイドが切り出してきた。少しは俺の味方して!

 ふと思い出して後ろを見ると木の影にジェルドが隠れていた。うわぁ、怖がり。

 討伐証明を回収して戻り始める。

「いやあ、皆さんお強くて助かります」

 合流したジェルドが何故かお礼を言い始める。

「お前も頑張れよ!」

 ムランが上から目線で励ますと恐縮するジェルド。なんだか…。


──ガサッ。

 森の中を帰る途中、近くの茂みから音が鳴る。

「ヒイィィイイ!!」

 飛び上がったジェルドが俺に抱きついて重さに耐えれずに倒れこんだ。

「ぐぅええ…」

 重みで変な声が出る。

「ヤバい! トロルだ!」

 マルイドが叫んで短剣を抜く。

 すると木々の間から太った巨体がぬっと出てくるところだった。顔は豚顔でキバが生えている。ブサイクだな。

「おい! ジェルド! 離れてくれ!」

「ヒィイイイ! ごめんなさい!」

 下から文句を言うと、叫んでさらに抱きついてくる。おわぁあああ!

 ドシ、ドシと巨体を揺らしながらトロルが近づいて来る。何とかどかしたいが重いぃ!

「……援護する!」

 メイディが逃げながら魔法のヤリを放ちトロルを串刺しにする。

「ウガァアアアア!!」

 痛みか驚いたかわからないがトロルが叫んで手にした太いこん棒を振り始めた。

 当たった細い木がなぎ倒される。かすっただけで死にそうだ。

「あんなのに近づくのは無理だ! 何とかしろヨシオ!」

 けん制しながらマルイドが怒鳴る。いや、助けてよ!

 すると俺の真上をこん棒が通り過ぎる!

「ジェルド!?」

 見ると首から上が無い! おい! 出会ってすぐ死んだよ!

「危ない、危ない……」

 すると頭が生えてきた! カメかよ!

「いい加減に…どけぇ!」

 無理やりジェルドを持ち上げ横にどかす。

 と、こん棒が降ってくる!

 慌てて転がってよけるとドカッ! 地面にこん棒がめり込む。当たったら死ぬわ!


「ガァアアアアァアア!」

 ヨダレをたらしながらトロルが叫ぶ!

 急いで立ち上がると頭にしがみついていたムランがキレてた。

「ふさげんな! ブタがーーー!」

 複数の火球がトロルに直撃する!

 次々と爆発が起こりトロルの肉体の一部が弾け飛ぶ! ちょうど胸辺りを直撃したようだ。

「ウガァアアアアアアアアアアアァァァ!!」

 悲鳴にも似た叫びを上げながらこん棒を振り回している。

「早く止めを刺せよ!」

 頭を連打するムラン。いや、お前が最後までやれよ!

 魔法をハルバートに込めトロルに近づいていく。

 しかし、無茶苦茶にこん棒を振るっているため近寄れない!

「師匠! なんとかして!」

 姿が見えないメイディに叫ぶ!

 すると風が吹いてトロルに無数の鋭い切り傷をつけ動きを止める。

 今だ!

 ダッシュで近づき人の体ぐらいある太ももを切り裂き離れる。ちっ、半分ぐらいだ。

「ガァアアア!」

 短い叫びと共にトロルがズドンと仰向けに倒れた!

 すかさず頭の方へ移動して追い打ちをかける。

「くたばれえぇえええー!」

 叫びと共に武器を振り下ろし首の半分近くを切り裂き、すばやく離れる。

「ウグァア、ググブゥウウウ……」

 ブクブクと血の泡を吐き、首から大量の血を流しながらジタバタともがいていたトロルがふと事切れた。

 ふぅー。今までで一番ヤバかった。

 いつの間にかメイディとマルイドが来ていてドヤ顔で見ている。

「あれ? ジェルドは?」

 聞くとメイディが無言で指をさす。

 そこには頭と手足が引っ込んだカメがいた。おい!



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