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パーティー行動は難しい

 

 翌日、宿でマルイドに依頼を説明してギルドに向かう。

 ギルド受付カウンターには険悪な表情のシンシアが待ち構えていた。怖えええぇ。ムランもプルプル震えている。

「来た! 大人しくしてて! いい?」

 反論させない雰囲気が怖いので、うなずいて了解する。ムランもブンブン頭を振っている。ロックだな。

「おたくら何かあった? 後で詳しく聞かせてくれよ?」

 ニヤリとしたマルイドがささやいてくる。ギロリと睨むと舌を出して逃げた。恥ずかしくて言えないわ!

 しばらく待っているとメイディが重そうな足取りでやってくる。まだ心の傷は癒えてないのか……。


「揃ったね? じゃ、がんばってねメイディ。応援してる。そこのアホは気にしないで」

 シンシアがメイディの手を握って励ましている。うなずくメイディ。一言ないのか?

 そのまま町を出て目的地を目指す。

 今回はいつもの門とは反対側の方から出ていく。こちらから行くのが近いとのこと。

「師匠! なんかフォーメーションとか決めないの?」

「お! 確かにな。役割分担があるしな」

 先に行くメイディの隣に並んで聞くとマルイドが反応する。

 メイディはこちらをチラリと見て口を開いた。

「……ヨシオは前衛、ムランは補助、私は後衛、マルイドは遊撃」

「いや、それって前と同じだから!」

 突っ込みを入れると足を蹴ってくる。おい!

「……約束!」

「わかったよ! でも確認するけど俺も魔法使いだからな?」

 ヒンヤリ冷たい目をもらった。あんまりだよ師匠。ムランが頭を叩いてくる。くそ! 喜んでんじゃねーよ、タコ!

「ハハハ! やっぱり面白い! ところでストーンオーガってそれなりに強いぜ。俺達で大丈夫なのか?」

 軽い足取りのマルイドが俺と反対側についてメイディに確認する。

「……大丈夫。軽い」

「おぉ! 頼もしいな!」

 ニヤリとするマルイド。いや、きっと根拠ないぞ、この人。

 メイディが俺に向きニッコリする。いやだ! 俺任せじゃん!


 町の南側は所々に草と背の低い木が生え、黄土色の土の上に大小さまざまな岩がゴロゴロしている風景が広がっている。

 乾いた風が吹き、その中を俺達は歩いていく。何処に向かっているかはメイディだけが知っているようだ。

 やがて大きな岩の多い場所に来ると周りの様子が変わってきた。

 ちょっとした小山ほどの巨大な岩や二メートル程の岩が連なり視界をさえぎっている。迷路っぽいな。

 入り組んだ岩の合間を縫うように進んでいく。

 ちょうど広場のような場所に抜ける手前でメイディがピタリと歩みを止め、口に人差し指をつけ俺たちを振り返る。

「……近い」

 素早く俺の後ろに回り込む。おい! いきなりかよ!

 慌ててハルバートを構え広場に出る。

 そこには二メートルを超える固そうな灰色の肌をした鬼のようなやつがいた。これがストーンオーガか?

「……攻撃!」

 後ろからメイディが魔法を使ったようで火の玉がストーンオーガに飛んでいく。

 ドカン!

 火の玉が爆発してストーンオーガが吹っ飛ぶ! おおー! さすが師匠。

 チラリと振り返るとドヤ顔のメイディ。それを見たマルイドは苦笑している。


 だが、吹っ飛ばされたストーンオーガがムクリと起き上がってこちらに向かって来た!

 あれ? 全然無傷じゃん! 再びチラリと振り返ると顔面蒼白のメイディ。楽勝じゃないのかよ!

「あーくそ! 行くぞムラン!」

「はぁ。オレ達がいないとダメだなー、メイディって」

 なんとも上から目線のタコ。お前も弟子だろ。

 向かってくるストーンオーガに近づく。

「俺も援護する。注意を引くから頼む!」

 マルイドが素早くストーンオーガの元へ行くと手の届かない範囲でちょっかいを出し始めた。おお! さすが!

 ストーンオーガの動きは緩慢なため逃げやすそうだ。だが、地面に肘までめり込んだ拳を見て恐ろしくなる。当たったら死ぬわ!

「ムラン! ビームでやれ!」

「できるかバカ! 火がダメなら水だぁあああ!」

 頭の上からウォータージェットが飛びストーンオーガを直撃する! 水の勢いにストーンオーガがずっこける。

 あまり効いてないぞ! それより俺がビチャビチャだよ!

 ずっこけているストーンオーガにマルイドが刃を当てるが浅いようだ。一撃離脱で頑張っている。

 魔法を使いたいところだが、師匠にバレる。だが、この前の様に全身に使うとすぐに身体がダルくなるし。どうすれば?

 あ、武器に使えばいいじゃん! 昔見たなんかのアニメにあったぞ!

「うぉおおお、ぶった切ってやるーーーーー!」

 マルイドに気を取られているストーンオーガに近づき魔法を帯びたハルバートを振るう!

 ゴギィイイイ!

 ちょうど立ち上がろうとしていたストーンオーガの膝を一刀する! お、イケた!

「ちゃんと体に当てろよ!」

 うるさいムランが頭を叩く! 怖いから足をやったんだよ!

「ゥウゴアアアアアアアアアア!」

 叫びながらバランスを崩して倒れ込んだストーンオーガの体にハルバートを浴びせるとピクリともしなくなった。

「ふーなんとかなった」


「さすがだな! だが、追加オーダーが来たぞ!」

 マルイドが顔を向けた方を見ると新たに二体がやってくる所だった。

 今度は細長い剣のような武器を持ってるぞ! 倒したこいつはナゼ素手だったんだ?

「……今度は頑張る!」

 すっかり空気だったメイディが片手を振るうと、こちらに向かって来るストーンオーガ前方上の岩が爆発し崩れてくる!

 ちょうど下を通るストーンオーガたちを大小さまざまな岩が巻き込んでいく。

「おお! さすが師匠! 今度はホントだよね?」

「……もう一回、言ってみろ!」

 疑問を挟むと杖を振り上げメイディが怒ってくる!

「ちょ、ちょっと待て! 悪かった!」

 慌てて謝るとムランが焦って頭を叩く。

「このアンポンタン! 何言ってんだよ!」

 振り下ろされた杖から辛くも逃げる。「チッ」とか言ってるよ、あの女。

「師匠! 疑って悪かったよ! 謝るから!」「コイツがバカでゴメン! 地球人だからゆるしてやってよ!」

「……嫌!」

 完全に怒っている。メイディ激おこだ。珍しくムランも謝ったのに!

 再び振り下ろされる杖から逃げる。怖い!

「お前らいつまでじゃれてんだ! 死んでないぞ!」

 マルイドが忠告すると動きを止めた俺たちは積み重なった岩山を見る。

 そこには岩を押しのけて出てくるストーンオーガたちがいた。

 振り返ってメイディを怪訝な顔でうかがう。

「ししょお~?」

「……殺ってこい!」

 メイディが杖を振り上げたままギロリと睨む。そりゃないよー。


「ヨシオ! 上だ!」

 ムランの叫びに視線を上げると、岩の上からメイディに向かって一体のストーンオーガが降ってくるところだった。

 メイディは気づいていない。慌ててメイディにタックルをかまし、その場から離す。

「グァアアアアアアーーー!」

 ズダンと地面に落ちてきた!

 からくも重量級のフットスタンプから逃れる。あ、危なかった! 足が地面にくい込んでるぞ!

 メイディは杖を振り上げたまま固まっている。さっきの勢いどうした!

「大丈夫か師匠!」

「……無理」

 目を見開いて一言。意味わかんねぇ! なにが無理なんだよ!

 急いで立ち上がり、いまだ動かないメイディを無理やり立たせると相手に向かう。

「降ってくんじゃねぇよ!」

 ストーンオーガに武器を振るい近づかせない。

「ムラン!」

「わかってるよ!」

 頭上から無数の鋭いヤリがストーンオーガに殺到し串刺しにする!

「俺のパクった!?」

「はぁ? 違うね! インスピレーションを得たんだよ!」

 自慢げなムランだが丸パクじゃん! きったねぇ。

 とりあえず目の前のストーンオーガは事切れているようだ。

 残りに目を向けるとマルイドが二体を引き付けてなんとかしのいでいる状態が見える。

 なんか悪い事をした。

 急いで駆けつけなくては!



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