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魔法は気合かもしれない

 

 しばらくして満足したのか、それぞれに返却するとメイディはお茶を一気に飲み干す。

「……信じる」

「えーと、申し訳ないけど理由を言ってからにして欲しいんですけど。師匠?」

 メイディは横を向いて顔を赤らめる。

「……恥ずかしいから無理」

 意味わかんねぇ。なんなんだ? 恥ずかしいって……。

「わかりゃいいよ! な? ヨシオ?」

 まったく気にしないドヤ顔のタコがいるし。こんなん自慢にもならないだろ。

 すると急に真面目な顔でこちらに向くメイディ。

「……他の人には言ってはダメ!」

「は? なんで?」

 真面目な顔で念押ししてくる。

「……ダメ!」

 ちくしょう! 理由を言えよ! 理由を! くそう、考えるんだ…理由を。

「えーと、つまりこの世界の人にバレると、良くない事になるとか?」

 満足したようにうなずくメイディ。正解したらしい。

「まあ、正直言うと、こんな話しは信じてもらえないと思うよ、普通」

「確かにな。オレだってたまに現実かと疑うもん」

 珍しくムランも賛同している。

 メイディは目を細めるとスッと立ち上がり、杖を取り出して俺とムランの頭を叩く!

「「痛て!」」

「……私!!」

「違うよ! メイディは証拠を見ただろ! 話しだけ聞いた場合を言ってるの!」

 杖を握ったまま座ったメイディはジト目で俺達を見ている。ああ、意思疎通が難しい!


「もう少し話そうよ? メイディの意見が知りたいからさ。ほら、あの仏頂面したシンシアも笑ったらかわいいじゃん」

「……笑った!?」

 おい! 俺達の話し以上にビックリしているぞ!

「……うそ」

「ホントだって! 確かに横向いて隠れていたけど。な? ムラン」

「見た、見た。その後、ヨシオの余計な一言に激怒して追い出されたんだよな」

 おまえも一言、多いよ!

「……なるほど」

 メイディは何度もうなずいている。納得したようだ。

 そして、おもむろに立ち上がり再びローブを羽織ると玄関へ向かって行く。

「……こい」

「わかったけど、さっきの話し聞いてた? 言葉が足りないよ師匠!」

 慌ててムランを肩車して後についていくがメイディは無視して外に出るとドアに鍵をかけ、足早に門の外に行く。


 相変わらず無言で分厚い扉が少し開く。もはや自動ドア。

 メイディの後につきつつ、見張り小屋を見上げるとダンとベルドが苦笑いしていた。

 町から離れ森の少し入った所でメイディがようやく止まる。

「ここは初めて来たけど大丈夫?」

「……問題ない」

 すまし顔なメイディ。俺はもう少しその理由が聞きたいかな。無理だと思うけど。

「……はじめる」

「なにを?」

 ギロっと睨まれた。あ! 魔法のね。そんな俺を無視して進める。

「……感じたなら、魔法も扱える」

「そんな簡単なの? 呪文の書とかは?」

 やめろ! その“なに言ってんの?”的な顔は!

 無言でメイディは杖を持っていない手を前に向けると、小さな火の玉が出現して前方の木へ飛んでゆく。

 こちらに向いたメイディはニコリとする。

「……魔法はイメージ。自分で創ったイメージを魔力に乗せて放出するの」

「やばい。何を言ってるのかさっぱりわからない!」

 眉をひそめるメイディ。いや、もっと分かり易く説明を……。

 ゴバァ!

 と、頭の上から巨大な火の玉が前方の木に当たり爆発する!

「アハハハハハ! 思ったより簡単だ! 才能あるぅ!」

「……上手!」

 ムランが高笑いし、嬉しそうなメイディが褒める。おい! そんなバカな!

 そしてメイディがムランにアドバイスし始めた。

「……少しコンパクトにするといい」

「こう?」

 バレーボール大の火の玉が高速で木々の間を飛んでいく。

 どこかで爆発する音が聞こえた──

 俺そっちのけで二人が練習を始める。一応、俺が弟子なんですけど?

 すると、いそいそとムランが俺の体から降りて距離をおく。何してんの?


「ヨシオ! よくも今まで散々いたぶってくれたな! 死んで詫びろーーーー!!」

 叫んだムランが片手を上げると火の玉を出現させ、俺に向けて飛ばしてくる!

「ふざけんなぁああああ!」

 火の玉から転げるように逃げると、今までいた地点に着弾した火の玉が爆発する!

「チッ!」

 舌打ちしてムランが次の火の玉を出現させる。やばい、マジだ! あのタコ助が!

 繰り出される火の玉を避け逃げる。あちこちで爆発して周りの木々が無くなってくる。

 くそ! 隠れる場所が減ってきた! やばいぞ!

 段々慣れてきたのか火の玉出現の間隔が短くなってきている。上達しすぎだろ!

「ちょこまかと逃げやがって! これならどうだーー!」

 上げた三本の手からそれぞれテニスボールぐらいの火の玉が現れ飛来する!

 なんとかジグザグに木々の間を通り逃げるとあちこちで爆発する。

 おわぁ! 微妙にカーブしてきたぞ!


「アハハハハーーー! 死ねぇ! 地球人が!」

 すごい調子にのってんな、タコが! もうキレたぞ!!

「おらぁあああああ! ふざけんなーーー!」

 ムランに向かって走って行く!

 焦ったムランが複数の火の玉を創り出し飛ばしてくる! さすがに避けきれない!

 いや、想像しろ! 自分を守りながら近づいてぶっ飛ばしてやる!

「うらああああぁぁ!」

 片手を前に掲げながら走る! くぅう! 火の玉が目の前!

「気合いだぁああああ!!」

 すると掲げた手から丸い盾のような薄い膜が出現し火の玉を防ぐ。爆発したがこちらには被害がないようだ。

 これが魔法か! よし! 待ってろよタコ!

「はぁあ? なんでだ!? 来るなぁああ!」

 パニクったムランが逃げながら火の玉を連射してくる!

 くそう、ちょこまかと! 向かってくる火の玉を盾で防ぎながら近づく。

 今、思いついた! 俺にも飛び道具はあるんだぞ!

「串焼きにしてやるぞーーー!」

 空いた手を向けると太いヤリのような物が飛び出てムランの近くに刺さる!

「うわぁ! ホントに殺す気か!? 応戦してやる!」

 驚いたムランが火の玉を繰り出し発射する。

 それを防ぎつつ魔法のヤリを飛ばすが、弾幕が凄くてなかなか近づけない! あーイライラする!


 お互い離れて火の玉と魔法のヤリの攻防を繰り広げていたが突然、体がガクッと重くなり魔法が出なくなった。

 なんか体中の力が抜ける感じ。

 向こう側にいるムランも同じようでグッタリしている。

 ちっ。今日はここまでか。帰ったらお仕置きしてやるぞ!

 フラフラとムランの元まで行く。疲れたようで動かないようだ。

「き、今日は勘弁してやる……」

 強がっているムランにデコピンしてから肩車する。

 その足ですっかり忘れていたメイディを探すと、掘った穴の中に体育座りで黄昏れているところを発見した。

「師匠。なんでそこにいるんだ?」

 声をかけると頭を巡らし涙目になっている。一体何があったのか?

「……抜かれた」

 ガッカリしているメイディ。何が抜かれたのか?

「師匠。なんか体に力が入らないから町に帰らないか?」

 驚いて目を見張るメイディに構わず手を差し出し引っ張り上げ、穴から出すと門へ向かう。

 何故か全員無言でうつむいてトボトボと町へ入り、メイディと別れ宿屋のベッドへ直行する。

 よく考えたらハードな一日だった気がする。ムランはすでにスヤスヤと寝ていた。あんな事しといてこの寝顔。ムカつく。

 翌日、目が覚めると全身筋肉痛でしばらく起き上がることが出来なかった。あちこち痛てぇ。



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