とあるアイドルの歴史
これは1年と少し前、苺恋がデビューした時の話である。
ヒットした理由は、なかなか売れないアイドル達を集めて、こんなアイドルもいるんです!と全国に伝えるための「マイナーアイドル会議☆」というタイトルの番組企画だった。
当時の苺恋は人気など全くなかったし、むしろ「ぶりっ子」や「つまらない」などと批判ばっかりされていた。
そこでオファーを受けた苺恋は、チャンスをものにしようと、少しでも頑張ろうと、批判を直接受ける覚悟で出演した。
そして、人気が出た理由となったコーナー。
゛キャッチコピーを考えよう!゛
これは、その場で5分ほど時間を使ってタイトル通り、ホワイトボードパネルにキャッチコピーを考えてそれを書こう言ったコーナーだ。
集まった7人の売れないアイドル達が、一生懸命話し合いながら考えている。
「ふふっ、私はどんな感じにしよ〜」
「やっぱ可愛いのがいいよねぇー!」
「でもインパクトが大事じゃないかしら」
会話に参加出来ない苺恋・・・それをみた隣のアイドル、コンセプトは山で、全体を緑っぽく染めた衣装の女の子 山奈 萎は少し小声で話しかける。
「私もみんなでワイワイってのが少し苦手で・・・」
と頬を右の人差し指で掻きながら、ニコッと笑う。
「(山がコンセプトなのに、山無しってどうなんだろうか・・・)」
そう思いつつも「私も苦手なんだよね・・・」と苦笑する。
残り時間2分、そろそろ会話が少なくなりみんなが真剣に考えていた。
「できた!」
誰かがそう言ったのが引き金となり、次々に「できた!」「出来ましたわぁ!」「できたぬぽ・・・w」と声が上がってきた。最後の人がアイドルなのはどうなのだろうか・・・。
そう思いつつもラスト2分を思いっきり使って、精一杯に考えた。
「終了!!!」
番組のMCが、大声で終わりを告げた。
「さあ、では発表してもらいましょうか!まずは山奈さんから!」
「わかりました〜!」
元気よく立ち上がり、パネルをひっくり返す
「山のような安らぎを貴方に」
「「おぉ・・・!」」
なんか、アイドルよりは商品みたいな感じになってますが、それなりにしっくりきます。気づいたら拍手をしていて、それに釣られてみんなも拍手する。
山奈は一礼をすると席についた。
「(なんか思ってたんと違う・・・!)」
とりあえず心の中で叫んだ。
違う・・・なんかこう、キャピキャピ♪してるようなイメージが・・・
「では次の人行きましょう!」
そして違うアイドルが勢いよく発表する
「貴方とアイドルファミリーm」
「「ストーップ!!!!!」」
その場の全員が叫ぶ、うん。これはダメだ。
多分この時のシンクロ率は400%言ったんじゃないかな、ワタシアイドルタベタイ。
そして着々と終わっていって、最後に私となった。
「はい、では苺恋さん。発表してください・・・!」
「ちょっとまだ悩んでて絞り切れてないんですけど・・・」
「果汁50%くらいですかね!」
「んー、60%?」
心の中でやかましいわと思いながらも、苦笑して返事をする。
とりあえず一番最初に思いついたのを発表した。
「本能寺のように熱く燃える心!」
「「ちょっと待ておかしい」」
「・・・ん?」
MCのが笑いながら「え、あと二つはどんなの?」と聞いてきた。
「二つ目が迷ったんですけどー」
「「迷うなよ」」
「?えと、信頼には答える!まるで小田氏治!」
「「だから違うから!」」
すると山奈が
「苺恋なのに・・・えーっと小田さんなの?」
「はっ!?じゃあじゃあ、アイドル界に掲げる天下布武!」
「「だから違うから」」
こうして歴女・・・いや戦国オタアイドルが誕生したのであった。