はじめの1歩
「おいこれって」
「なー卯付、俺お前の家臣になったって言われたんだけど。同一人物?」
「いや、俺は城主に選ばれましたって言われたぞ」
「まじかよっ、くっそ俺が先に選べばよかった」
「それにしても誰も配属してないのな」
今は、多分だけど城の大広間にいるんだと思う。
少し先の真正面には1段だけ上がり、恐らくだが城主が座るだろう場所がある。
大広間は木の床であったが、その場所は綺麗な高級畳で作られていた。
「とりあえず何するんだろうな」
と、鈴森が言ったので何も無い空間を右手でつつく。
すると、個人のステータス欄が出てきた。
「卯付 幸、レベル1。スキルポイント、残り120。ステータスに割り振ってください・・・か。鈴森はどう?」
「んー、俺はスキルポイント100しかないわ。城主特権かよちくせう」
「ははは・・・」
どうやらステータスは
体力、攻撃力、防御力、俊敏力、運、収納力、技力
があり、初期ステータスはオール1であった。
「自分でカスタマイズ出来るのか、どうせなら全部均等に振ろうかね」
と言う。すると
「それ一番の死にステータスだから」
やめておけ、と鈴森に止められる。
こういったゲームは、何かが尖っている方がいいらしくて平均的なステータスは絶対にやめた方がいいらしい。
なんでだよ、絶対均等に降った方が強いだろ。心の中で、俺は大声で文句を言った。
少し不満があるが、ステータス欄とアイテムストレージ欄の他になにかないかと探していると、よく見たら「兵力」というものがあった。現在は300・・・少なっ!?
300って言ったら木下藤吉郎が、金ヶ崎の戦いで殿を務めた時従えた、川並衆の人数くらいだ。その時は大体200人と言われているが、この数で戦なんて無理だろうなと思った。やっぱり秀吉さんはすげえぜ。
そして、兵力の下にも欄が三つほどあり、上から
「課題」
「通達」
「友軍」
というものがあった。
課題というのは、他のゲームとかで言うミッションみたいなもので、チュートリアルはそのミッションを1からクリアすることによって行われる。
ちなみにミッション1は、兵力を確かめる、その後アイテムストレージ欄を開き、手持ち確認をする。であった。
さっさと終わらせ、通達にビックリマークが付く。それを開くと「課題を成し遂げました。贈り物があります、受け取ってください」とあった。ちなみに、贈り物はスキルポイントが3と兵力100だった。
それから色々試して、鍛冶屋など行き初期装備を決めようとしていた。
「鍛冶屋が初回は無料で初期武器一つくれるんだってさ。んーとなになに?」
鈴森が、鍛冶屋のおっちゃんから話を聞いて必要な部分だけ伝える。目線を鍛冶屋のおっちゃんへ向けると頭上に「鍛冶屋」とだけ書いてあった。貰える初期武器は、日本刀、初期型種子島、輪刀、短刀、軍配斧、槍、弓の七種類らしい。
輪刀に惹かれ、それを選ぼうとすると鈴森が
「なあ、お前もうステ降った?」
と聞いて来たため、何も考えず
「いや、まだだけど。」
と答えた。
「お、ならお前俊敏を重視して振ればいいよ」
「お、おう。」
最初は意味がわからなかったが、数秒後にはしっかり理解する。
「おっちゃん!初期武器は短刀と輪刀でお願い!」
「あっ、てめぇ!!!!」
そんなことをしていると、リアルの時間は7時半頃になっていた。
「ステータス欄とかの一番下に現実の時間表記されてるのか」
「そろそろログアウトするか。つーか心做しか腹が減ったような気がするぜ」
「やめろ、俺もそんな気がしてきただろ」
鈴森がお腹が減った等というため、時間も時間だったのでお腹が減ってきた、気がする。
2人はログアウトボタンを押し、卯付の部屋へと帰還する。
「お、現実だ」
「俺の部屋だ」
2人が呟くと、卯付の部屋の扉がノックされた。
「おにぃー?ご飯だよー」
「はーい。鈴森、お前もくってくか?」
「んー、卯付の家の飯も美味いけど、多分親が作って待ってるわ。」
「これまた親っ子なこと」
少しおちゃらけてるように見えて、義に厚く家族愛があるいいやつだ。
だからこそ、こうやっていつも絡んでいたりする。
「おーにぃーーー、ご飯装ってるよーー?」
「はーい」
「好かれてんのな、んじゃ行くわ」
少しだけ苦笑する。
その後玄関まで送り、夜また会おうぜとだけ言ってご飯を食べに行った。
同時刻、濃美は仕事が終わり丁度帰宅した頃だった。
「あーあー、やっと終わったー」
そういい私服のままベットへ倒れ込む。
「今は・・・7時半かぁ、ご飯は楽屋で食べてきたし。うん、やろう」
そういいVWを頭にはめ込む。
「んー、んー。あっ、ツインテだから入らないのか」
どうやらツインテールだった事を忘れていたらしく、物理的にはめ込もうとしていた。
「よしっ」
そう呟きベットの上で仰向けになる。
すると「スキャン終了しました。ようこそVWへ、ログイン画面へ移行します。」
と聞こえたが、最後まではっきり聞き取る前に、意識が切れた。