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Brain-Wars  作者: 大山鳥 鈴
Ability society series
7/20

雨の日

 現在、6月。雨ばかりが降っているので気分が優れない翼。女子ではないが髪が何かと長いので、髪が跳ねてしまう。

 「どうも、直らない」

 「髪切ればいいんじゃないのか…」

ルーム内にいたドラゴはそう言う。

 「…家の古きルールだとかなんとかで、俺は長いんだよ」

今、部屋の中には二人しかいない 

 「激波さんは?」

 「市内見回り中」

外は雨が降っている。それも、合羽がないと雨が防げないぐらいの雨が降っている。

 

「残りは?」

「紫花はいつも通り。信は…」

「ん?」

「あいつは知らないな…」

「…」

 静まりかえるルーム。


 一方その、信は今。

「ん~。ここの部分直せないか?紅代くだい。俺は手先が不器用でな…」

信は、今機械部のルーム内に籠っている。


「それぐらい自分で直せるでしょ」

 信の方を見向きもせずに答えるのは、紅代くだい 神奈かんな。同じ1年で、機械部所属の女子だ。マイペースな性格だが、数値は正確にやるというモットー持ちの変わり者。


 もうじき始まる、NTK(日本放送局)の出し物として製作しているのは、『相撲Robot』。

校長の直々命令のため、やらざるを得ないという状況だ。そもそも、なぜ作ることになったのか…理由を作ったのは、部長で3年の 上野うえの 和久かずひさ

 

 4月の時、部活動紹介の時改造ラジコンを走らせた彼ら。体育館のステージに傷を付け、あげく校内にそれをリミッター解除で爆走させたのが原因だ。

「今回の大会を沸かすことができたら、それを無かったことにしてやる」

と校長に言われたそうだ…


「な~んでこんなことに、なったんでしょうね?」

誰かがぽつりと言った時、

「改造ラジコンなんかを作った、お前らが悪い。そして俺は悪くない‼」

と大声をあげながら言う、上野。

「『リミッターを切っていいぞ』なんて言ったのはお前だろ…」

 答えるのは3年で副部長の 上成かみなり浩章ひろあき。やや強面ではあるが、異常人が集まっているこのクラブの中では、まだ真面な方の部類に入る。

「それに、操作してたのはお前だし…第一にお前が、興味本位でやるのがいけなかったんだろ」

「なに~?。「興味」=「暴走」だろ。ラジコンを爆走させたいと思わない奴がこの世のどこにいる?」

「それはお前だけだ…」

 ふざけ合っている間に、信はもう片方の足の底に滑り止めを付ける。

「右足終わったんで帰りますよ~。上成さん」

「…OK。帰って良し」

信のノルマはここまで、なのでルームを出てもう一つのルームに向かう。 


「ちょっと遅れて、到着‼誰居る~?」

「あっ、来たか」

「どこで何してた?」

ドラゴに聞かれると

「機械部でロボの調整」

と答える信。


 先ほどより雨が強くなってきた。

「やることないんか…」

「そうなんだよ」「うむ…」


「ていうかさ…」

 信が喋りはじめた。

「今日、雨が降るって言ってたか…?」

「言われてみればそうだな」「…」

その時、ルーム内のモニターにWarmingの文字が出る。

『市街において能力者を確認。能力は水操作ウォーターコントローラー。各自取り締まりに向かうこと‼』


「こんな大雨でか…」

「誰が残る…」「というより誰がオペレートやるかだ…」

『そんなの信がやれ‼残りは早く来い‼面倒沙汰になる前にだ』

通信機器から激波の声が入る。

「「「了解‼」」」

 信を残し他の二人はブレインを起動しすぐに向かう。


 部屋に残された信。PCの電源を付け『取締用』と『援助用』、『マップ』を3つ同時に起動させる。

「これで…あいつらが着くまでフリーだけど…。あっ、」

目標を示す赤い色の点が動き始めた。

「連絡‼敵が移動開始。北に向かっている」


 その連絡を聞く激波たち。

「初めて、ではないよな…」

「?。何がです…」

「信のオペレートのこと」

「あぁ、あいつは…なんて言うんですか…シュミレーションゲームが得意なんですよね…。その他のジャンルのゲームも得意ですし」

「生粋のゲーマーです」

「なるほど…。む?発見‼」


「もっと、雨よ降れ。全てを洗い流せ」

髪の長い女性がいたが、雨で髪がでろでろになっている。

「はいはい、そこまで。自首しろ~そしたら懲罰軽くしてやっから…」

と言った時、身震いしてしまうほどの目つきで睨まれる。


「全てを洗い流す…邪魔するな‼」

水を操作し、激流で攻撃してくる。

「よっと」

槍を使い上手く流す、激波。


「最後だけど捕まえていいの?自首しない…?」

「黙れ、悪の輩め‼」

先ほどより強い激流で攻撃してくる。


(ここじゃ、攻撃ができん)

「こっち来い、激流女」

「言われなくとも…」

体が水のようになり攻撃しつつ移動してくる。


 現在、激波が攻撃及び反撃ができない理由は2つ。

 1つは、ここが能力使用禁止区域のため。能力使用禁止区域はその場所によって異なるが決められているものである。

 では、反対に能力使用許可区域での能力使用は許可されているのか?と聞かれればその答えは、

「『Yes』でも『No』でもない」

と曖昧なところがある。

 危険行為及び犯罪行為を機械が判定するため、未然に防ぐのはなかなか難しい。


「ん?そっか、あんがと…少しは役立つと思う…」


 もう1つの理由は、単純に相性が悪いこと。近距離戦闘が主流である激波に対し相手は、近中遠距離全てに対応ができる。故に近づこうと思えば遠距離系の攻撃でやられる…。この槍を投げて攻撃‼なんてことをすれば(当然しないが…)武器を無くし、やられるだけになる。


「どうっすかな~?」

 先ほどから茨のような鋭さの形状の水流で攻撃されている激波。当たりそうなのはいなし、隙間があればそこを攻撃できないかと槍を入れる。

「くらえ‼」

水が渦を巻き渦潮のように襲ってくる。

「うぉ~。すっげー。」

避けようとしない激波。

「諦めたか…潰れて飲み込まれろ‼」

「潰れんのはお前だ…やっちゃえ…二人でな」


 何処からともなく、翼とドラゴが現れる。

「信の言ったとおりか?ドラゴ」

「恐らく当たりだ…翼」


 翼は自分より大きい大剣を構え、振るう。その斬撃は風となりカマイタチのように相手に向かう。

対してドラゴは拳からオーラを、放つ。その衝撃は空拳と成りこちらも相手に向かう。


「これぐらい…防いで見せる」

「どうかな~?防げるもんなら防いで…見ろっ‼」

かなり力を込めて槍を投げる。三方向からの一斉攻撃。


(斬撃と空拳は防げるが槍は防げん…)

「水だ。もっと水を~‼‼」

「‼?」「…‼」「…ちょい、やばいな」

付近の水全てが集まっていき水の化け物となっていく。


『ハハハハハ!これで無敵だ‼全てを洗い流す‼‼』


 高さがビルよりも高いモンスターが現れた…

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