No.7各種説明-sistem-
本当に、大変お待たせいたしました。失踪したとお思いの方も多かったのではないかと思います。仕事を言い訳にするつもりはありませんが、中々環境に慣れず、時間がとれませんでした。また、話をどう膨らめていこうか悩みこのような時間が空いてしまったことを大変申し訳なく思っております。
お詫びというわけではないのですが、今回は大目に書かせていただきました。内容で分かりづらかったり、誤字脱字報告などしていただければ作者としても嬉しい限りです。
投稿ペースは未だ不安定さが続くと思います。
ですがそれでも、読んでくださる方に無上の感謝を。
では、どうぞお楽しみください。
「おじじは前置きが長すぎるのですよ。もっと簡潔にさっさと進めてほしいのです。」
はて、この声はどこから…?
「ほれ、ピクシーや。姿を隠してないで出ておいで。」
「今出るところだったのです。まったくおじじはせっかちなのです。」
「早うせんかい、ピクシー。」
「はーい、なのです。システムコード・『造形投影』~」
さっきまで部屋中から響くように聞こえていた声が一点に集中していき、掌に乗る程度の羽根の生えた妖精になった。
「これでいいのです?」
それはとても可憐な少女の姿を模していた。羽根や髪服に至るまですべてが最高級の水晶で出来ているようだ。決して透明という訳ではなく光の当り加減で様々な色に煌めくのだ。ただその瞳だけは澄んだ透明色で、まるで吸い込まれるような妖しい魔力さえも秘めているように感じられた。あぁ、この妖精になら自分のすべてを捧げても構わn
「やめんか、ピクシー。今すぐ魔法を解きなさい。」
「えー、面白かったのですよー。しょうがないですねぇおじじの言うことならしょうがなく従うのですよ。」
「なぜしょうがなくと二回も言うのかな?」
「だって、この子達とっても素直なのです。まさかこんなに簡単に『魅入られ』ちゃうなんて思わなかったのです。…思わず喰べちゃいそうになったのですよ。」
ピクシーの最後の台詞はさっきの可憐な少女とはかけ離れた悪女のような表情で舌なめずりをしながら呟いたのを俺は聞き逃さなかった。しかし迂闊だった、まさかいきなり精神干渉系の魔法を使ってくるとは…
「ふふん、そこの少年さん。さっきのが魔法だと思ったのです?」
「違うのか?」
「よく思い出してみるのです。ワタシが使ったのはマインドコードではなくシステムコード、つまりあの魔法自体に魅了属性は付与されていないのです。さっきの現象は唯のワタシ個人の技能なのです。」
「魔法以外にも技能というものがあるのか…それは知らなかったな。勉強になった、感謝する。」
「いえいえ~、にしてもよくおじじの仲裁だけで魅了から抜け出したのです。ワタシはまだ解除してはいないのですよ。一体どうやったのです?」
「ジジイのおかげで魅了にかかっていた思考に一瞬隙間ができた。そこを逃さず自分の意思を強く保っただけだ。」
「それ、並大抵の精神じゃ不可能なのですよ。ましてや入学したてでぴっかぴかの一年生、少年さん…いえ烈くん。あなた一体何者なのです?」
「さぁな、俺は唯訓練を積んできただけだ。他には何もしてないよ。」
「あくまで秘密ということなのです?ますます気になってくるのですよ。」
「あー、いい加減儂を置いて話を進めないでくれんかのう?」
「「あー、忘れてた(のです)。」」
「二人揃って…おじいちゃん泣いちゃうぞ?」
「「キモい(のです)。」」
「もうええわい…。ほれ、いい加減解除せい。みんなトリップ状態になっておるぞ。まぁヒメちゃんは無事だから最悪ヒメちゃんに治してもらうつもりじゃったが、早くピクシーの紹介もせにゃあならんからの。」
「もーおじじ!そういうことは早く言うのです!それを知ってたらさっさと解いてたのです。えいっ」
ぼーっと中空を見つめていた他の面々が元の表情を取り戻していく。
「もう、ピクシーちゃん?いきなりの魅了は勘弁してほしいのですわ。流石の私も防げませんでしたのよ。」
「まったくだ、これだから女子というものは…」
「え!?さっきまでいたちっこくてかわいい妖精さんはどこに行ったんスか!?」
「妖精、人を惑わす妖しい光…。これで男と男を魅了にかければ…」
「びっくりしたー。あれは一体なんだったんだい?」
「急に出てきた妖精さんから目が離せなくなってしまいました…。」
「ハッ!?あの見目麗しい妖精のお嬢さんは何処へ!?」
うん、みんなそれぞれ特徴的な反応だな。特に4番目の紅猫、頼むからその類の思考を口に出すな。気が滅入る…。
「それでは改めまして、不本意ながらそこのおじじのパートナーを務めているピクシーなのです。みなさん、よろしくなのです~。」
「不本意は余計じゃわい。というわけで覚えているかわからんがさっきピクシーが言っていた通りこの後の説明はピクシーに行ってもらう。任せたぞい。」
「あいあいさー、なのです!じゃあまずは、みんな右手の人差指と中指の二本をくっつけたまま立てて左から右へ振るのです。せーの!」
♪チリーン
鈴の音が鳴るような音がして目の前にARウインドウが表示された。
「まずは画面について説明するのです。画面の左半分に自分の姿があるのが見えるのです?それが現在君達の付けている装備の一覧なのです。今は唯の服とか靴だけだと思うのです。それについてはまたあとで詳しく説明するのですよー。先に右半分について説明するのです。一番上にあるのはHPバーなのです。バーの右下に現在のHPと最大のHPが書いてあるので参考にするといいのです。その下に、ステータス、魔法、技能、持ち物、クエスト、メールと縦に並んでいるのですがここまでで質問はないのです?」
みんな黙っている。あの輝崎でさえ黙っているということは質問はないのだろう。俺はピクシーに視線で先に進めるよう促した。
「質問が無いようなので各項目の説明をするのですよ。まずはステータスなのです、クリックして出てくるのは本人の能力値をアルファベットで現した物なのです。能力値は、STR(筋力)、DEF(防御力)、SPD(敏捷)、INT(魔力)、MID(抵抗力)、DEX(器用)、LUK(運)、の七つがあるのです。ちなみにランクは上からSSS、SS、S、A、B、C、D、E、Fまであって、各アルファベットに+と-がつくことがあるので実質27段階あるわけなのです。大体みんなはFからスタートで一つDがあれば優秀さんなのです。そこの気障な少年さん、目に見えて落ち込む必要はないのですよ~。」
「な、なにをバカなことを言っている!この僕がそこいらの凡人と同程度であるはずがないであろう!分を弁えたまえ!」
「はいはーい、煩いのでほうっておくのですよー。じゃあステータスの右上の×印をクリックして元の画面に戻っていただいてー、魔法のタブをクリックするのです。ここには自分が修得した魔法が自動的にラインナップされていくのです。習得した魔法にも熟練度に応じたランクがあるのですが、これはステータスと同じ27段階になっているのです。得意な属性と不得意な属性で習得時のランクに差があったり、ランクの上がり方に偏りが出てくるので、そこんとこは気を付けるのです。魔法のことで質問はあるのです?」
「アタシから一ついいかい?」
「はい、そこの綺麗な青いお姉さん、どうぞなのです!」
「習得した魔法ってーのは基本コードとコマンドから出来てるって話だったけど、細かいコマンド全部にランクが反映されるのかい?」
「いい質問なのです!そういった細かいコマンドがたくさんある項目は形状や効果によって大まかな分類分けがされるようになっているのです。例えば何種類も形状の違う武器をコマンドで作ったりするとコマンドの欄に変化が出て武器という一括りのコマンドと認識されてしまうのです。それと、統合された後はランクが上がりにくくなる傾向があるので、正直あまりオススメはしないのです。例えば、ソードというコマンドを使い続ければその分だけソードの熟練度が上がるのですが、ソードとランスといった別々の武器を使い続けるとソードとランスが統合されて武器って項目に変化するのです。そしてさらに、武器のランクを上げるのにソードとランスの両方を同じくらい使わないといけないのです。難しかったら単純に2倍と考えていいのですよー。だから大体の人は一つのコマンドに絞るのです。」
「なるほど、それは武器系以外にも適用されるのかい?」
「今のとこは確認されてないですねー。なんでかはワタシもわからないのですー。」
なんて無責任な…とりあえず武器は一つに絞るべきって考えでいいのかな?
「あの…私からも質問…いいですか?」
「はい、そこの眼鏡ちゃん!どんとこいなのですよー!」
「眼鏡ちゃん…えと、じゃなくて、さっき最初の画面に自分の装備が出てたんですけど、装備してある武器の熟練度とかはまた別なんですか?」
「そーだねー。魔法の説明はやってくうちに覚えるから問題ないので、その説明に移るのですよー。」
「えっ?えっと、すみません、余計なことを言ってしまって…」
「いーのですいーのですよー。おじじならともかく、可愛い子なら全然許しちゃうのですよ。」
おい、爺さんが泣いてるぞ…いつもこんなんなのか?まぁ魔法についてはピクシーも言ってた通り実践で学ぶとしよう。今はさっさと説明を終わらせてほしい。
「本当にすみません…じゃあ説明をお願いします。」
「おっけーなのです!装備は文字通り今自分が何を身に着けているか表しているのです。武器に関しては魔法と違って、どの武器を使っても統合されず個々にランク分けされてるのです。ふつーは装備の武器で熟練度上げるもんだと思うのですよ。わざわざ魔法のほうで装備作るとか非効率的なのです。毎回作るよりずっと継続して持てる物のほうが楽に決まってるのです。このシステム考えた人どうかしてるんじゃないんです?」
「いや、俺らに言われてもわからんし。」
「ですよねー。まぁそこは個人の自由ってことにしとくのです。オススメは圧倒的に装備武器なのですよー。」
「ありがとうございました。お時間をとらせてごめんなさい。」
「もーさっきから謝ってばっかなのです。そんなに謝らなくてもいいのですよー?」
「えと…その、ごめんなさい。」
「ほらまーた…このままじゃ堂々巡りなのです。眼鏡ちゃんのことはまた今度にするとして、次は技能のタブを開くのですー。」
「この技能っていうのは魔法とは違うんスか?」
「もーそれを今から説明しようってんですから邪魔すんななのですー。タレ目熊はせっかちさんなのです。」
「た、タレ目熊ッスか…?」
「そーです。タレ目熊です。それ以外の表現がないのです。」
話が進まん…ピクシーもいちいちつっかからんでもいいのに。達也にはあとでフォローしておこう。いらんかもしれんが。とりあえずアイコンタクトで先に進めるよう伝えるか。はい、そこの紅猫、俺と達也見てニヤニヤするな。化けの皮が剥がれるぞ。
「わ、わかったッス。話を進めてくださいッス…」
「わかればよろしいのです。じゃあ説明するのですよー。技能というのは簡単に言うと各人が持ってる特殊な力のことです。魔法と違ってその人にしか使えないので魔法と区別して技能としてるのです。分かり難かったらごめんなさいなのですよー。でも、この説明しか妥当なのが考え付かなかったのです。例として、おじじの技能を披露してもらうのですー。ではおじじ、どうぞ!」
なんという無茶振り…しかし説明されるより見たほうが早いというのも確かだ。ここはジジイに頑張ってもらおう。
「また無茶振りをしおって…まぁ烈が見ててくれとるし?ここは頑張っちゃおうかなーと思わなくもなかったり?「いい加減に始めろ。」はい…」
まったくこのジジイには威厳ってもんが一切感じられん。いつもこうなのだろうか…
「じゃあ始めるかのう。ワシの技能は簡単なものじゃ。魔法を無効化させる、この一言に尽きるわい。勿論どんな規模の魔法でも関係なくじゃその分大規模の魔法相手だとちと疲れるがの。ファイアコード・ボール」
ジジイの掌の上に拳大の火の玉が現れる。ユラユラと燃える火の玉は一番簡単な魔法といえど、俺ら素人が使うものと違い長い年月をかけて洗練された迫力が感じられた。火の玉はジジイの掌から離れると部屋の中心に移動し固定、そこからさらにジジイが魔力を込めて規模を拡大させていく。赤い炎がさらに温度を上げて蒼さらに白まで温度を上げていく。それに比例するように炎もだんだんと大きくなっていく。炎が白くなったところでジジイは一旦魔法の拡大を停止させた。
「このように魔法ひとつとっても熟練度を上げれば魔法の威力は大幅に上昇する。この魔法をランク付けするならSSSじゃファイアコードといえど侮れん。基本コードには各属性ごと三段階ある。それは追々調べればよかろう。ちなみにこの魔法を上位段階と比較すると、三段階目のBクラス位かのう。まぁそんなもんじゃわい。で、ワシの技能はこのような魔法でも即座に消し去ることが出来る。少しだけこの魔法の制御を解くから、皆のもの…しっかり耐えるんじゃぞ?」
そういうとジジイはボールに干渉していた自身の力を解いた。その瞬間、今まで抑えられていた炎が制御を失い辺り一面に輻射熱を吐き出し始めた。
「嘘…だろッ!?こんなモンをずっと押さえ込んでたのかよ。」
「そう?私はあんまり感じないけど…」
そう答えたのはあの紅猫だ。やはり火属性に耐性があるのかそれ程熱を感じないようだ、これも技能とやらが絡んでいるのかは定かではないが…それより問題はここまで拡大させた炎をジジイがちゃんと消せるかどうかだ。生半可な魔力じゃどうやったって抑えきれない。ホントに大丈夫か?そう思った矢先、ジジイは静かにあの魔法を口にした。
「アクセスコード・『強制終了』」
入学式のデモンストレーションのように一瞬にして炎が掻き消えた。まるで何もなかったかのように熱も引いている。炎が引き起こした影響が根こそぎ消えて、その場に炎があったことすら忘れてしまいそうだ。
「これがワシの技能『強制介入』じゃ。あらゆる魔法に介入しその制御を自分のモノとする。消すことも、威力を上げることも複製することも可能じゃ。技能にもランクは付けられておるが、この技能はEX、つまりSSSも越えておる。EXというのはそうそう滅多に見れるものではないからの、まぁ参考程度にするといい。」
ジジイの技能…化け物かコイツ。ジジイの前じゃ魔法を使っても無駄、むしろ制御が奪われて魔法を出した側に不利になる。強制的に肉弾戦を強いられることになるのか…あと言ってなかったが、このジジイ、肉体は未だ衰えることを知らないらしい。筋肉は隆起してるし腰も曲がっていない。そんじょそこらの若者じゃ逆にボコボコにされるだろうな。マジで戦いたくねぇよ…
「以上がワシの技能じゃ。まだあるが、わかりやすいのがこれしかなくてのう…許してほしい。」
「いや、十分過ぎるから。むしろこんなん見せられて文句言う奴なんかいねぇよ。」
と周りを見渡すと約一名を除き、皆コクコクと首を縦に振っていた。ちなみに除かれた一名は輝崎である。
「ふん、他人の魔法を奪うだなんて美しくないね。所詮は舞島家、他人の物を奪うしか能がないのかい?学園長だと聞いていたがこの程度だとは…八家の名が廃るというものだ。まったくこれだから舞島家は…」
あー…重症デスネ。モウナニモイウコトハアリマセンヨ。サスガハテンカノキザキケサマデスネ。
「本当にに輝崎の小僧は大丈夫かのう…もうどうしようもないんじゃないかとさえ思うわい。」
「な、なんだと¡?なんだその言い草は!僕を輝崎家次期当主と知っての狼藉か!」
「安心しろジジイ、コイツに関しては恐らく、この場にいる本人以外全員が思ってることだ。気にするだけ脳の無駄遣いだ。」
「またか舞島 烈!貴様はさっきから目上の人間に対する態度が成っていない!僕が直々に教えてやるッ!」
「断る。それこそ脳と労力の無駄遣いだ。」
「それと、輝崎君?この場は学園長の御膝元、どんな処罰を下されても文句は言えません。もう少し言動に気を付けたほうがあなたのためかと。」
悠姫さんが忠告してようやく少しは冷静になったようだ。入学早々ペナルティは流石にマズいと判断したらしい。
「覚えていろよ、舞島 烈…!」
面倒な奴を敵に回した気分だ。正直眼中にすらないのだが…警戒するに越したことはないな。まったく、脳の無駄遣いだよ。」
「はーい!おじじ、ありがとうなのですよー。これで技能についての説明は終わりなのです。後で自分の技能を確認しておくのをオススメするのです。じゃあ次は持ち物の説明といきたいのですが、正直説明も何もないのです。自分の持っているものがリストアップされてるだけなのです。クエストに関しても同様なのです。自分の受注したクエスト内容と達成度が分かるくらいなのです。じゃあいよいよ最後のメールについて説明するのです。ここまで質問は…ないようなので先に進むのです。」
ようやく最後か…ずいぶんと時間を喰ったな。早く解放してほしいもんだ。こちとら無属性極振りで戦闘スタイルすらまともに考えてないんだ、早く強くなりたい、ただそれだけだ。
「メールは、双方が許可した場合のみ可能となるシステムなのです。片方が申請を送って相手が承認してようやくやり取りができるのです。どこにいても連絡ができるので仲の良い友人やパーティを組んでる人たちでグループメールも出来るのですよ。メール画面はまんま某SNSの画面と大差ないのです。画面の前の読者風に言うならL○NEと同じだと思えば良いのです。」
「待て、読者って誰のことだ?」
「細かいことは気にしない気にしなーいなのですよー。これで、説明に関しては終了なのです。お付き合いいただきどうもありがとうなのです!」
ようやく終わった、よしすぐにでも自分の力を確認しなければ!
「すまんが烈や、話はもう少しあるんじゃよ。」
何…だと?
どうだったでしょうか?まだまだ設定で拙い部分は多かろうと思います。アドバイス、改善案等々ございましたら遠慮なく書いてくださればと思います。
一応申し上げておきますと、主人公はまだまだへっぽこです。強くなるにはまだ時間がかかります。そのことを念頭においてこれからも読んでくださればと思います。
頑張って週一回の更新を目標にしていきたいと思います。
どうか応援をよろしくお願い致します。