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カソウノセカイ  作者: 初代緋乃
入学編
2/8

No.2 入学-start-


「以上デ天童峰学園入学チュートリアルヲ終了致シマス」


「やっと終わったか…」


唯一の光源であったモニターが消え、漫画喫茶の個室のような狭苦しい席で面倒くささを顔いっぱいに浮かべているのは俺こと舞島(マイジマ) (レツ)だ。


「まったく、どうやって寝れなくさせてんだか」


学園が開校された当初、このチュートリアルを寝て過ごす不届者が相次いだらしく学園の意向により睡眠妨害機能を追加させたらしい。


(まぁ俺もその不届者の一人にあたるんだがな)


わざわざ知っていることをもう一度聞かされるというのは相当に退屈だった。


「ソレデハ、コレヨリ『アバター』ノ生成ヲ行イマス」


「おっ、ようやくか」


待ちに待った自分だけのアバター、どんなものが出来上がるかは俺次第だがなるべくカッコいいのがいい。


「アバター生成シークエンスヲ開始シマス、『ダイブ』シテ下サイ」


「どうかハズレでありませんように…」


後はもう祈るしかない、どんなアバターかは見てからのお楽しみだ。


そして、俺は仮想世界に入るための呪文を唱えた。



「『電子変換(ダイブ)』」



いったんすべての感覚が消え去ったのち、豪華な装飾のされた姿見が目の前に現れた。


「うおっ!?」


「スキャン開始、深層意識参照、抽出、生成ヲ始メマス」


びっくりさせるなよ…


「アバターガ生成サレタ後自動的ニ闘技場前ニ転送サレマス、ナオ初期設定ハ『ビースト』トナッテイマスノデ入学式マデノ間ニヒューマニ切リ換エテ下サイ」


なら初めからヒューマにしておいてくれればいいのに…


そして、見る間に変わっていく自分の姿。


その姿は…


全身を水晶のように透き通った鱗で纏った…


「…トカゲ?」


なんということでしょう…


人間だったころの面影はなくなり(ビーストだから当たり前)簡単に壊れそうなガラス質の鱗に早変わり。


「ビフォー○フターみたいなことしてる場合じゃねぇよ」


それより!!こんな弱っちい姿じゃこの先やってけねぇぞ!?


そう、説明を忘れていたがこの学園は普通の学園と大きく違う点がある。


それは、MMORPG制の導入である。


レベルを上げるための経験値を取得手段は無数に存在するクエストをクリアすること。


もちろん勉強でも上げることは可能だ。


しかし勉強で効率良くレベルを上げようとすると恐ろしい難易度の論文、数学者も真っ青な数式を解かねばならない。


したがって大半の生徒は、ゲームでお馴染みの討伐系クエストに力を注ぐ事になる。


そのかわり、経験値は勉強に劣るため大量のクエストを受けざるを得なくなる。人生甘かねぇってことだな。


もちろん俺は討伐系クエスト中心でいくつもりだったが…


この見るからに弱そうなトカゲでは話にならない。


「作り直しとか…出来るわけないよな」




「どうしたんスか、そんな落ち込んでます空気出して」


「あん?なんだいきなり、失礼な奴だ。」


「ちょっとちょっと、心の声が外に漏れてるッスよ!?」


「これは失敬」


「まぁそれは置いとくッス、で作り直しが何なんスか?」


置いといていいのかよ。


「いや、こんな弱そうなアバターじゃなくてもっと強そうなアバターがよかったなぁと思ってな」


せめてオオカミあたりになって欲しかったんたがな…


「ははぁなるほど、確かにどちらかと言われたら弱そうっスね」


「そんなにはっきり言うなよ、殴るぞ」


確かに事実だが他人に言われると腹が立つのはなんでだろうな。


「理不尽ッスよ!?」


「だってお前、強そうじゃん…」


そう、こいつの姿は鮮やかな翡翠色の毛なみを持つ熊だった。


「そうッスか?」


愛嬌がある反面、キレたらシャレにならなさそうだな。


「あぁ、まったく羨ましいよ」


「そんなに言われたら照れるッスよ~、そういえばまだ名乗ってなかったッスね」


…そういえば、話が弾みすぎてすっかり忘れていた。


「俺は名前は風間達也(カザマ タツヤ)ッス」


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