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おしまい

 少女はふと、風を感じて目を覚ました。『家』の外へ出ると、ぼやける視界で、まだ青年は寝ている。

 ただ葉っぱが擦れる音はなくて、変わりに空の涙が木をうつ音が聞こえる。地面も、いつもより柔らかい。

「ねえ、起きて? こっちにおいで? 風邪をひいちゃうよ?」

 青年の身体は動かない。聞こえてはいるが答えられない。ただ変わりに泣くだけで。

 少女は雨に濡れながらも青年の体を揺すった。べちゃべちゃの体は、少女が味わった事がないくらい冷たかったし、重くて『家』までは運べそうにもなかった。

「書き置きと言って、文字を紙などに残しておく事で、相手がその場にいなくてもメッセージを伝える事ができる」そんな森の教えが、ふと月のように浮かんだ。

 少女は、先に「ごめんなさい。少し痛い事をしてしまうけど、大丈夫?」と聞き、それから木を抱きつき「ありがとう」とお礼をした。

 青年が、きっと自分を起こしてくれると信じて。また青年があの奇跡を起こしてくれると願って。

 目が覚めたら、少女の大好きな『家の屋上』までで連れていってあげようと思って。少女は木に残した。

 慣れない手つきで、ゆっくりと。


 雨は、少しだけ弱くなりかけて、また強くなった。

 それからも、ずっと泣いていた。

 少女は、『家』の中で目を静かに閉じた。

 

 今もまだ、その目は開かれていない。

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