表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/20

きゅう

 青年が町に着いたころには日も落ちきっていてほぼ真っ暗だった。薄明かりを頼りにし、宿へと進む。

 ふと、暖色の窓辺から笑い声が聞こえた。高い声。低い声。響く声。こもる声。

 横目にしながら青年は、少し笑った。暗がりの中での笑い声は静かに風へと染み込んだ。


 宿につくなり、宿主らしき女性は青年に微笑んだ。ただ、それは先ほどの青年の笑いと似ていた。

「鍵を頼む」

 短く告げると、向こうは何も言わずに鍵を差し出した。

 青年も黙って受け取り、少しの間は空気だけが動いていた。

「……森で」

 女性は、青年を素早く見つめた。

「森で、元気そうな少女に出会った。おまけに、草を抜いていたら可哀想だからやめろと怒られた。謝る代わりに穴を少し掘って植えたら、目を輝かせてすごいって言われた。不思議な事もあるんだな」

 女性が何も言わずに、顔を動かさないでいると「まあ、独り言だ」と捨てて青年は部屋へと去った。


 

 部屋につくなりベッドに横たわった青年は、すぐに夢へと落ちた。

 月は太陽の助けを受けられずに、ただ天で泣いていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ