1/20
プロローグ
だいたいお話一つ400~700文字で区切ってます。
もうずっとずっと、泣いている。
__ある時から、この森は一秒も途切れる事なく雨が降り続けている。と歴史書は語る。
人は言う。
「あの森に入ってはいけない。入らずとも、あの雨に触れてはいけない」と。
ただ、理由を尋ねても皆口を揃えて
「それが私たちの町の掟。もし破れば……」
そこから先は語ろうとしない。
歴史書にも、肝心の理由らしきものは載っていない。
森には、白い人影がいくつもうろついていた。
それでも寂しそうに泣き続ける森。
そんな森の真ん中に、一本のとても大きな木があった。
怪しい程に書いて間もないような、それにがたがたの文字で『目が覚めたら起こしてね』と、その木に彫られていた。