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再会

従姉妹である魔法少女(四姉妹)と同棲生活を送ることになった男子高校生の苦悩の日々を綴ったものです。

ラブコメ+ファンタジー+アドベンチャーがコンセプト。

基本的になかなか終わりがこない(永遠に終わらないかも)系の物語ですが、イベント盛りだくさんで飽きられないように書いていきます。

基本コメディなので、気楽に読めるかと思います。

俺の名前は楠虎之助くすのき とらのすけ。時代劇にでてきそうな名前だが、現代社会に生きる高校二年生だ。中肉中背。地味な外見。完全に名前負けである。

……。

それはともかく、幼い時に母を失い、ひと月前に病気で父を失った俺は親戚に預けられることになった。

     ・

俺に与えられたのは、1K風呂付きの一室である。若草荘という名前がついていることから想像できるように、デザイナーズマンションである。というのはもちろん嘘で、古い木造アパートだった。

大きなリュックを背負ってそのアパートの前に立った時、あまりのボロさに「必ずここから駅前の高層マンション最上階に住めるような男になってやる!」と誓った。

ニューヨークの高層ビルのペントハウス、とは思わなかった。俺は英語が苦手である。

……。

ところで、俺に割り当てられたのは2ー1という部屋だ。部屋を貸してくれたおじはここには住んでいない。いくつも不動産を持っているのだ。

錆びた外階段を登り、二階へ。扉が二つあるがどっちが2ー1かわからない……。

まあ、鍵が合う方が2ー1であろう。階段を登ったところにある扉に鍵を差し込む。

回してみる。回った! 階段に近い方が俺の部屋か。ドアノブを回し、引く。扉が開く。そこは、黴臭い和室……、ではなくきれいに整頓された洋室だった。

そして、下着姿の女の子がいた……。目が合うその子と俺。

「きゃーーーー!」という悲鳴と共に何か投げられた。

辞書? 箱に入っている。堅い。顔面に直撃した。

俺、生まれて初めて気絶した。

     ・

「ちょっと、あんた起きなさいよ!」

女の子の声、俺、瞼を開ける。

額が痛い。手でさすろうと思ったけれど、俺の手は後ろに回されていて自由にならない。どうやら縛られているらしい。

女の子、先ほどの下着姿の子だった。今は、服を着ている。髪の長いなかなかの美少女だ。

俺達がいるのは、二階の玄関出たところ。俺は座った状態で鉄柵に手だけでなく、体も紐で縛られているようである。

「あんた、泥棒? なんで、私の部屋の鍵、持ってんのよ?」と女の子。

なんでって……、彼女、もしかして従姉妹か? 他の部屋に俺の従姉妹が住んでいるとおじから聞いていた。

「俺の名前は、楠虎之助。今日からこのアパートに住むことになった」と俺。

「はあ? 意味がわかんないんだけど?」と女の子、怪訝な顔。

え? 話聞いてないの?

「俺のおじの名前は、藤村慶治」

「それは、たしかに私の父だけど」

やはり、俺の従姉妹だ。おじさん頼むよ。話、しといてよ。

「俺、君の従兄弟。両親が亡くなったので、ここに住まわせてもらえることになった」

この子、見た目、俺と同じ年齢っぽいな。ということはうららか?

藤村家には小学校にあがる前に何度か遊びに来たことがある。うっすらとだが、その時の記憶はある。

「君、麗……ちゃん?」

10年以上会ってないので、なんと呼べばいいのかわからない。

しかし、名前は合っていたみたいだ。女の子の眉がピクッと動いた。

女の子、立ち上がり、携帯電話を取り出す。おじさんに電話をかけているみたいだ。

「ちょっと、父さん、なんか男の子が訪ねてきたんだけど……、え? そういうのは早く言ってよ。だって、部屋4部屋とも埋まっているし。なんでって、こないだ言ったじゃない。えにしが自分の部屋持ちたいって言うから私2ー1に引っ越したって。……、そうだったっけじゃなくて、え? どうにかしろ? どうにかって、どうすんのよ。あ、ちょっと、切らないでよ、こら! バカおやじ!」

電話、切られたらしい。察するに俺の部屋、ないのか? 女の子、かけなおしている。

おじさん、でないらしい。電話を諦める女の子、俺を見る。

「他に行き場所、ない?」と聞いてくる女の子。

「ない、です」と俺。

あったら、そっち行っているから。

「麗、何してんの?」と隣の扉が開き、女性がハブラシ片手に顔を見せる。露出高めの部屋着。かなり胸が大きい。ムッチリした太ももがまぶしい。

麗と呼ばれたということは、やはり、この女の子が麗だったか。

いつき、私たちの従兄弟って人が訪ねてきて」と麗。

「ああ、今日だったか」と女性。樹らしい。確か次女だった気が……。

「知ってたなら教えてよ!」憤慨する麗。

「だって、部屋、2ー1だって言うし。私、2ー2だから」と樹。

「いやいや、2ー1は私が住んでいるじゃない!」

「一緒に住めばいいじゃない。私、寝るから」

言うと樹、扉を閉める。鍵の音。鎖の鍵もかけられた音がする。

「あ、こら、逃げるな!」

麗、扉を叩くが反応なし。逃げられたな。部屋、ないのか。どうしよう、俺。

「ちょ、ちょっと待っててね」

麗、階段を小走りで降りていく。いいかげん、紐ほどけよ。

空を見上げる。空気がすごく澄んでいる。気持ちよさそうだな。散歩日よりだな。なんで俺、鉄柵に縛り付けられているんだろ……。

麗、下で誰かと話している。階段を登ってくる二人分の足音。

「あらほんとだ、虎君だ」

女の人の声。俺、顔を向ける。麗よりもかなり年上に見える清楚な感じのお姉さん。

あかねだけど、覚えてる?」とお姉さん。

俺、記憶を検索する。うーむ、思い出せない。俺、首を横に振る。

「10年くらい前だからわからないか。私も10歳だし」とお姉さん。たぶん茜さん。

「焼き芋一緒に焼いたりしてたんだけど」と茜さん。

あ、思い出した。

「焼き芋で火傷した?」と俺。

そうそう、とうなずく茜さん。

小さい頃、庭でたき火して焼き芋を作ったのだが、取り出すときに茜さん(10歳)がアルミホイルに包まれた熱々の芋を素手でつかんでおおごとになったのだ。

さすがに10年分成長するとかなり違う。特に、胸……。

「で、なんで縛られてるの?」と茜さん、首を傾げる。

俺が知りたいです……。

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