2話目「犯罪はいけません やめましょう」
・・・友人に言われました。
「遅い」
はい、ごもっともです。
未だに読んでくれる方がいると思いながらこっそり更新します。
「・・・と、言う訳で、部活の入部届は明日までに出すように。以上」
帰りのHRでの先生からの連絡はそれだけだった。
日直の号令とクラス内全員の挨拶で今日の学校時間は終わった。
「待てよちかげ!」
帰ろうと教室から出ようとした所を呼び止められる。
「なんだ、太郎か;」
太郎は入学式(当日の終了後)から知り合いとなった友人である。
左目が眼帯だがかなりのイケメンで勉強もできる。ただし、親から授かった“太郎”という名前が見た目とまったく合わない事から女性にモテそうでモテない残念な奴である。体育会系的な元気っ子。見た目は長身でちょい細め
「なんだとはなんだよ; 一緒に帰ろうぜ! いつも1人でとっとと帰りやがって」
「・・・別にいいけど、おまえさんは自分の家とは反対方向に行くのか?」
「え!? おまえの家って反対方向だっけ!?」
「入学式の当日に言ったろうが!;」
こんなやつが勉強できるって信じたくない;
「じゃあ仕方ないか; また明日な」
「おう、また明日」
―●―
帰路の途中、俺は入部届とにらみ合いしながら歩いていた。
なぜならば、未だに入りたい部が決まっていないのだ。
あの学校、カード部以外にもゲー○ボーイ部とかマリ○パーティー部なんてあるんだぜ?; 俺の心直撃すぎて決められないんだよ;
ついでに言うとゲー○ボーイ部では白黒だけでなくカラーもある。そこでできるソフトはメダ○ットやポ○モンやド○クエ(テ○ーのワ○ダーランド)等の対戦ができるソフト限定ではあるが、部費で買えてしまうという夢のような部活である。
え? 体動かせって? いや譲れないね! どれもこれも無くしたり壊れたりしてしまったゲームばかりなんだ!
と、まあ、こんな理由で決められないのだ。
悩んでる最中、いつも見るコンビニを見つけた。
スルメ買って帰ろうと思い扉を潜る。
店員さんの「いらっしゃいませ」を聞きながら・・・
「おいてめえ! 動くんじゃねえ!」
聞けなかった。
野太い青年男性の声と銃口が若い女性の店員さんに向けられていた。
「い、いいか! おとなしく金をよこせ!; さ、さ、じゃなきゃ撃つぞ!」
・・・思考が止まっていた。なにせ、人生で初となる強盗現場目撃となってしまったのだから。
いや、まさかこんな身近で見ることになろうとは;
「おめえらも動くんじゃねえぞ!」
・・・抗うか? いや、銃口による恐怖は予想以上のものだった。
少しでも怒りを買おうものなら、すぐにあの世行きと思えてしまう。
俺を含め、店内にいる強盗以外の人間はおとなしく店内で固まった。
・・・俺が立っている所入口だからなんか変な気分;
と、そこへ・・・。
「あのう、どいてもらえませんか? 入れないんですけど」
後ろから、今店に入ろうとする客・・・改め強盗のエサが現れた。
注意しようと思ったが、強盗も気づいたらしい。
「だ、誰だ! 顔見せろ!」
と、銃口を向けて来る。
え、待ってください!; 俺の後ろに新しい客人がいて、それを狙おうとして銃を向けるのはわかるんです。その間に居る俺はどうなるんです?;
「え? 何? 強盗!? じゃあやだよ。狙われたくないし」
やめてください; 私が死んでしまいます;
「おい! 出てこい! じゃなきゃ撃つぞ!」
俺が死ぬ――――――――――――!!!!!;;;;;
このままでは俺が殺されてしまう、ならばと思い話そうとするが・・・。
「ちょっとまってくれよ! 俺じゃなくて後ろの人を・・・」
「喋るなー!」 ドン ガシャン(窓ガラスが割れる音)
(どうしろってんだーーーーー!;)
照準が見事に外れていたおかげで俺は一命を取り留めた。
全身が硬直し、力が抜ける感覚で頭は真っ白だった。ほんとに危なかった。・・・泣きたい;
と、心の中で泣いていると、後ろにいた人が前に出てきた。
「まったく、他人に迷惑をかけるとはけしからんな;」
(あんたが言うか;)
これまた心の中でつっこみながらその人を見る。
(声からして女性だったのはわかってたけど・・・小学生?;)ぐらいの身長。
「誰が小学生だ!」
ッガ!
脛を蹴られた。
「いたああああああああああ!;;;;;;; ・・・ッ;」
流石に耐えきれず蹴られた脛をさするために蹲った。
てか心読まれた;
「な、え?; ・・・っ! 動くんじゃねえ;」
強盗もいきなりの事態に呆気をとられたのだろう。見事に混乱している。
同業者とでも思ってしまったのか?
「おい、そこのおまえ!」
小学・・・ごほん、女性は強盗に言った。
「強盗するなら社会の窓ぐらい閉じろ!」
・・・へ?
強盗を含め、店内にいる人たちが強盗の股間に注目する。
・・・開いてはなかった。
「ウソだよ」
「!?;」
その一瞬で、女性は強盗の目の前まで移動していた。
驚いた強盗は銃を女性に向け、引き金を絞った。
ッダン! ッピ チュン
「!!!!!」
女性は撃たれる直前に強盗の腕を弾いた。その結果、銃の弾は女性には当たらなかった。
俺の頬を掠めた。
!!?====> (°Д゜;)―
本日2度目の死にかけ。
女性はその体制から強盗の社会の窓に目がけて蹴りのひとつをお見舞いした。
・・・店内にいた男性全員が嫌な顔をしながら強盗は倒れた。
「店員さん、警察に電話してください」
「は、はい!」
女性はそう言った後、強盗が持っていた銃を蹴った。
銃は客のところにとんで行ったのか、「うわあああ!;」なんて声が聞こえた。
その時、初めて女性の顔が見えた。先輩だった。
俺を2度の危機から助け、地獄への切符を渡そうとした先輩だった。
俺は立ち上がり先輩に駆け寄った。
お礼を言うため・・・ではなく、
「先輩!;」
「ん? なんだ君か。どうした?」
「どうしたじゃないですよ! 先輩のおかげで死にかけたんですよ!; ほらこれ!:」
そういって左の頬を見せる。
強盗が撃った(先輩が撃たせた)銃の弾が掠った痕、見事に血が流れていた。
「もうすこしずれてたら死んでたかもしれんですよ!;」
「・・・でも死んでないからいいじゃないか♪」
笑顔で言って来たよこの人;
「まったく・・・。男だったら怪我の一つや二つでわめくな」
そう言いながら先輩はハンカチで俺の頬を叩いた。
「綺麗だから安心しろ。ほれ、自分のハンカチで抑えな」
そう言いながら自身のハンカチをしまって鞄をあさっていた。
(え? ハンカチを貸してくれるとかじゃないの?; 行動が分からん:)
しぶしぶポケットからハンカチを出して自分の頬を抑える。
先輩は鞄から何かを取り出していた。・・・鉄パイプ?;
「握れ」
・・・? よくわからないが、言われた通りに差し出された鉄パイプを握った。
「離せ」
ちょっとムカついたが言われた通りに離す。
先輩はその鉄パイプをしまい。
「じゃあな」
近くにあった店の商品を取り、レジに代金を置いて店から出て行った。
途中で何か紙みたいなのを拾っていった。
・・・最後まで先輩の行動がわからなかった。
―●―
翌日の帰りのHR後
「昨日は散々だった;」
先輩のおかげで左頬を縫う羽目になった。医者曰く、痕は残らないそうだ。
(・・・入部届;)
あの騒動で入部届もなくなってしまい、この後、職員室に取りに行こうとしていた。
「よう、ちかげ」
「ああ、太郎か。どしたの?」
「おまえどこの部活に入った?」
「ゲーム○ーイ部に入ろうと思う」
「運動部じゃないのかよ;」
「これは譲れない」
そんなやり取りの最中、突然教室のドアが乱暴に開かれた。
「ちかげはいるか!」
それは先輩だった。
そしてなぜか、教室内でざわめきが起きた。
「か、花楓先輩!?」
「うそ!」
「なんでこんなクラスに!?」
「てか今、誰か名指ししてなかったか?;」
・・・なにこの騒ぎ?
「ば、馬鹿な、この学校で1、2を争う美女がなぜうちのクラスに・・・;」
それは太郎のセリフだった。
「あれ? 太郎しってるの?」
「馬鹿野郎!; 花楓先輩はモデル雑誌の表紙にもなったほどの美人であり、勉強運動なんでもござれのこの学校の花だぞ!;」
「・・・そこまですごかったのか;」
(美人ねえ・・・。確かに綺麗だわな。・・・小さいけど。)
「誰がちんちくりんだあ!#」
「ヒデフッ!;(また心読まれましたか;)」
先輩のハイキックを食らいながら倒れる俺。てかいつ目の前まできたの?;
「ちかげ、部活にいくぞ」
「え?; 部活って風紀部?;」
「いや、俺はゲーム○ーイ部に・・・」
「これを見ろ」
俺の話など聞かずにいきなり紙を見せて来る。内容は
―氏名:ちかげ 以下の部活に入部します。『風紀部』 (血判)―
俺の入部届だった。
「まてまて待て!; なんで俺の入部届持ってるんですか! しかも書いた事のない文字と血判まであるし!;」
そう言ったら、先輩は俺に近づいて耳打ちする。
(鉄パイプから指紋、ハンカチから血、文字は私、入部届は拾った。 以上)
・・・とんでもない人だった。
「ほら行くぞ」
頭が真っ白になった俺を引きずりながら先輩は歩いて行く。
父さん、母さん。俺、今日死ぬかもしれない;
昨日に続いて3度目の死の危険だった。
こっそり更新終了。