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サンタ界の仕組み


それから、驚くほど早く作業は進んだ。

色分けされたプレゼントは、てっきり配達地域別だと思っていたが種類別で、さっきの緑のは人形・ぬいぐるみ類だと判明した。


それから30分後……。俺は全てのプレゼントを配り……いや、放り投げ終わった。


「ホントにすぐ終わったよ……」

「いやぁ、ご苦労さんやなぁ!」

さっきよりもテンションが高めなカイ。

「でもさ、サンタのおじいさん、いくら体調が悪いからってあれぐらいなら出来たような気が……」

「年寄りは根性無いうえに訴え多いからなぁ……ちっとも能率が上がらんかったんや」

「もともとあの人が駐留サンタである事自体に疑問を持ちます」

「駐留サンタ?」

「あ、話してませんでしたね。サンタには正サンタと駐留サンタの2種類います。正サンタはフィンランドにある本部で働くサンタで、駐留サンタは各国の地域別にふり分けられたクリスマス期間限定のサンタです」

「期間限定?」

「そうです。日本なら北海道から沖縄まで各都道府県47名のサンタが12月の24〜25日限定でプレゼントを配ります」

「じゃあ、駐留サンタはそれ以外の日って何やってるの?」

「一般市民です。ちなみに雅耶さんの部屋にいるサンタは酒屋の主人です」


酒屋のじいさんがプレゼント配ってたの?……夢があるんだか、無いんだか……。


「ま、あのじいさんは23日にあった全国駐留サンタ出発式でハメ外したんやけどな……」

カイが補足説明。


……出発式というよりも、それじゃあ宴会だよ……。


「でもガッカリだなぁ……。てっきりフィンランドのサンタがプレゼント配ってくれてると思ってたんだけどな……」

「あのな、それじゃあ配りきれるわけないやろ」

呆れたようなカイ。

「プレゼントが自ら持ち主の所へ行くと言っても、その地域へ赴かないといけません……。作り主がフィンランドのサンタ……という事だけでも良いじゃないですか!」

トナも言う。


……まあね……。居ないって思ってたぐらいだし、居ただけでも良いか……。


「でも、親とかは気づかないの?用意していた個数と違うから気づくんじゃない?」

「大抵の人は"多く買っていた"と思い込みます。気づく方もおられますが、サンタのせいだとは思いませんよ」


確かに……。


「本部のサンタは何やってるの?」

「大きく分けておもちゃを作る係、トナカイの世話をする係、事務的な仕事をする係、フィンランドでのプレゼント配布係の4つがあります。ちなみにクリスマス期間だけでなく、1年中働いてます」


「……もしかして、君達は……フィンランドのトナカイ?」

「ご名答!配るもんはドコの国でもええけど、トナカイだけは本場なんや!」

「フィンランドのトナカイはこうして空を飛べるんです。本部では世界各国でトナカイが必要な為、何千頭ものトナカイを飼育しています。ちなみに正サンタに飼われている私たちはオス・メスとも角があります。本来はこの時期オスの角は無くなるのですが、子どものイメージを考慮して生やしています。ちなみにこれも一種の魔法です」



うわぁ……こんなところだけ子どもの夢を尊重かよ……。それ以外は完全無視のクセに……。


俺は複雑な心境になったが、カイは気にせずお気楽に話を続けた。

「わしらはその中でもココの担当なんやけどな!」

「……そうなんだ。でも、プレゼントも配ったし、もう帰るんだろ?」

「まあな……」


「また来年まで来れませんから寂しいですがね」

「来年来ても分からないだろうな……。プレゼント、俺には配ってないだろ?」

「ですね……。雅耶さんは子どもではないですよね。基本的には12歳以下の子どもに配ってるんです」

「ま、縁があれば来年も会えるやろ」

明るい声で言うカイ。

「……そうだね」


なぜか、また来年もプレゼントが配りたくなった俺だった。

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