表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/10

あなたからMerry Christmas!!

ふと、時計を見ると日付はかわり0時半を過ぎていた。


「どれ……」

じいさんは立ち上がった。

「行くのか?」

俺はじいさんに聞く。

「駐留とはいえ一応サンタクロースだからな。トナとカイの面倒は最後までみてやらんとな。あの子たちがフィンランドへ旅立つのを見届けて、やっと今年のワシの役目は終るんじゃよ」

じいさんは誇らしそうに答えた。

「……そうか。最後に聞いて良いか?」

「うん?」

「トナとカイって名前つけたの、アンタ?」

「もちろん」

「それってやっぱり……」

「トナカイだからじゃ」

自信満々なじいさん。

「……そうかい」

なんか、もうどうでも良いや。


外に出ると、トナとカイの様子が変だった。そわそわしている。

「どうしたの?」

トナに聞いてみる。

「……。」

そっぽを向いて教えてくれない。

「カイ?」

「もう、どうでもええやろ!」

照れくさそうなカイ。


「来年は子どもも連れてくるのかのう?」

後ろからじいさんの声。

すると、2頭のそわそわはさっきよりも大きくなった。


……ん……?それってまさか……?


「さっ、さてはお前ら、俺がじいさんと話してる間にイチャイチャ&ラブラブしてたのか?」


「……まあな」

ボソッと言うカイ。


……おい……。これだとホントに恋人たちのクリスマスだよ……。


「でも、仕事上のパートナーって……」

トナに詰め寄る俺。

「……カイに……さっき……」

恥ずかしいのか、話し方にいつものキレが無い。

「告ったのか?!カイ!」

「……おう」

遠い目のカイ。


マジかよ。まさかトナカイに先越されるとは思ってなかったよ。


「……結局、俺の収穫は何にも無かったのか……」

がっくりと肩を落とし、うなだれる俺。


「いや、そんなことあらへんよ」

カイが明るく言う。

「えっ?何?なんかくれんの?」

パッと顔が明るくなる俺。

「雅ちゃんにはこれをあげよう」

じいさんが横から何かを差し出した。


それには"駐留サンタ公認カード"とあった。

「何?コレ?」

「読んで字のごとく。来年から正式に頼むぞ」

満面の笑みのじいさん。

「はっ?」


ちょっと待て、話が違うよ!嫌な予感がするよ!


「おめでとう、雅ちゃん!君もワシらの仲間じゃ!」


    お――――い!!


「嘘だろ……?冗談だろ……?」

「雅ちゃん、手を組んだ時点でもう逃げられないよ」

怪しい笑みのじいさん。

にんまり笑うカイとトナ。


「でも、各都道府県にサンタは1人だろ?」

「そんなんで成り立つわけあらへんやろ。安心せぇ、サンタの助手ってカタチでならざっと30人はいるさかい、雅耶もその仲間やな」


俺は、気が遠くなった。

……つまり、来年も今日みたく無償でプレゼントをばらまけと?


「ま、詳しい話はまた来年の今の時期さ。また会おう、達者でなぁ!」

じいさんはそう言うと、家まで送ってもらうためにトナとカイのソリに乗り、空高く飛んでいった。


今の心境を説明するなら、詐欺にあったけどナゼかワクワクするカンジ。騙された!と思いつつ、来年のクリスマスが待ち遠しい俺がいた……。



そして一年後……


「本当にあってんのかい、雅耶!」

カイより一回りちかく小さめなオスのトナカイが聞いてくる。

「知らねぇよ!っていうか、お前らソリ引いてるなら調べとけよっ!」

「オレもクリスもはじめてなんや!そんな事まで気が回るかい!」

威勢のいい反論。

「ったく、そんなんでトナカイって言えるのかよ!マス!」

俺も負けじと反論。

「あの〜……」

か細い声で隣のメスのトナカイが話しかける。

こちらもトナよりひとまわり程小さかった。

「何?クリス?」

「あの……道、間違ってますよ……多分500メートル程行き過ぎです……」


「え゛っ……」


一時停止。

しばらく沈黙。


「マズイんじゃない?」

「マズイな!」

「マズイと思います……」


「よしっ、回れ右で引き返そう!マス、クリス、ヨロシク!」

「分かっとるわ!クリス、行くでっ!」

「ハイ……」


一年後、カイとトナの子供・双子のマスとクリスが俺のパートナーになり、俺はサンタの助手としてプレゼントを配っていた。ま、なんだかんだ言っても楽しいから良いけど。



マスとクリスの名前の由来?

そりゃあモチロン、『クリスマス』だから!




どうも、快丈です。遂に終わりました。ラストはなんとなく定番です(苦笑)

初めてコメディーを書きましたが、いい経験になりました。次はもっと勉強して今回以上に面白い話が書きたいです。

それでは皆様、またお会い出来る日を楽しみにしてます。ここまで読んで下さって本当にありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ