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三つ子のお喋り

作者: 雨風
掲載日:2026/06/04

またもや駄文。前よりほんのちょっとだけ長いけど、それでも軽い口当たり。

アカ、サルビアをお借りしました。

(ポーカーのルールをまるで知らないため、その辺はなあなあで読んでください)

私たち三つ子は、賭け事が好きだ。

でも、賭けるのは金や命なんて大層なものじゃない。夕飯の付け合わせとか、デザートのフルーツをもらうとか、そうゆう子供じみた報酬ばかりだ。

ただ、今は生憎夕飯後。食べ物を賭けることはできない。

だから、今日は違うものを賭けて勝負しよう、そう私が提案したのだ。

「何を賭けるというのだ?朝餉?余は朝早いのは苦手だから、元々抜くことが多い。無いな」

「気になる女中にアタックかけてこい!とかどう?スリルあって楽しそうじゃんか」

盛り上がる二人を前に、私は言った。

「なんでもいいから、自分の秘密をひとつ、打ち明けること」

場の空気が変わる。さっきまで気楽な顔をしていた二人はお互いの顔を見合わせた。

「はあ、秘密?」

「なんでまたそんなものを賭けるんだ?」

「最近、平和すぎて退屈していることでしょう。女遊びや喧嘩ばかりしてないで、たまには真面目に勝負事を楽しみたいと思ってね。それなら、大切なものを賭ける方が盛り上がるだろう」

私はそう言って片眉をつりあげてみせた。

「珍しいな、カイドウがそんな強気だなんて」

「よっぽど勝つ見込みがあんのかァ?」

「いや、ない」

ないのかよ、とでも言いたげなアカの顔。でも、こんな提案をしておいてなんだが、本当に勝つ見込みはなかった。イカサマなんて下卑た行為は私は絶対にしない。

「さて、勝負を始めよう」


***


勝負方法はポーカー。夜も遅いため、一回きりの勝負にしよう。そう提案したのだった。

「うえっ、マジ!?」

いい役が揃ったのだろうか。思わずアカが大きな声を挙げた。

「ストレートフラッシュきたァッ!」

スタァン!とカードを机上に叩きつける。サルビアがほお、と感心の声を漏らした。

「やるなアカ、余はフルハウス。カイドウは?」

「…ツーペア」

私の負けである。エースとジャックがこちらを見て、残念だったね。とでも言っているような心地になった。

「さて、約束だぜカイドウ!秘密を言ってみろよ」

提案した時はつれない顔をしていたアカが、ニヤつきながら私のそばに寄ってきた。

「カイドウの秘密か。なるほどこれは気になる」

二人の視線が私に向けられる。ひと息ついた後、私は何かの事件の容疑者にでもなったような口調で語り始めた。

「…エミリーっているでしょう」

「エミリーって…あ!お前が書斎に連れ込んでた女中だな?」

「その話なら余もアカから聞いた。一体何故そんなことを…」

興味が注がれている。秘密を打ち明けるには絶好のタイミングだった。

「あの娘に、私を縛り上げてくれないか、と提案したんですよ」

「…は?」

「なんだそれ。どうゆう意味だよ」

「そのままの意味じゃないですか」

何を言っているんだという二人のリアクションを他所に、私は淡々と続ける。

「私たち、幼い頃からそんなに喧嘩もしてこなかったから知らないんでしょうけど、私はね。…被虐趣味があるんですよ。あのかわいらしい女中に、好きにしてほしかった…と言い換えればわかりやすいかな」

狭い部屋がシン…と静まり返った。

しばらくしてその静寂を切り裂くように、サルビアが笑い始めた。

「あは、はははは!完全無欠に見えるきみにそんな大層な趣味があったとはね!!あははは!!」

「笑いすぎじゃない?」

「あはは、悪い悪い!真面目な顔で打ち明けることじゃなさすぎて…。いやはや意外だなあ、縛り上げてほしい、か!だいぶ大胆なことを頼んだんだな」

くつくつと笑うサルビアから目線を外すと、唖然とした表情のアカと目が合った。

「…お前、被虐趣味ってことは…痛いのが好きってことか?」

「そうですけど。悪い?」

僅かに顔を傾けた。いや、悪くはねえけどよ…。そう続けるアカの表情は曇っていた。

「俺からしたら、信じられねえってだけ…」

アカは顔の傷を撫で上げながら呟いた。

どちらかといえばマイノリティ側の嗜好なので、こうゆうリアクションをするのが正解なのかもしれない。高らかに笑ったサルビアの方がおかしいのだろうか。

「…お前さあ」

「はい?」

「俺と魔法の練習でもする?」

心底困惑の表情を浮かべたアカがそう提案した。

「爆発魔法なら、全身に痛みが走るだろうから…。俺はそれが嫌だから防御魔法を自分にかけるんだ。痛いのが好きなお前に、おあつらえ向きの魔法だと思うんだけど」

私は首をかしげ、少し考えた。

「うーん…痛いのが好き、と被虐趣味って少し違うような…。自らを痛めつけるのと、誰かに痛めつけてもらうのは、痛みの種類がまるで違っている」

「あー!もう、いいよ!」

私の発言を跳ね除けるように、アカは叫んだ。

「秘密を打ち明けてくれてありがとうな!まあ、俺には到底理解が及ばないことだったけどよ」

「いやはや、余は楽しかったぞ。このような大スクープを、余とアカでしか共有できないことが惜しいくらいだ」

「他の誰にも言わないでくださいよ?例えばルビィなんかに…。あの子にバレたら、大変なことになってしまいそうですからね」

そう言いつつ、本当にそうなったら。

と思考を巡らせた。

書類の山に判を押し、書斎に籠り本を読み漁り、食事をとって、寝る…。

そんな退屈な日々に終止符を打ってくれるのかもしれない、と。

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