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名付け親


 なんだか凄いスキルばかりだけど、その下にまだ何か文字が書いてあった。

 でも、その文字は霞んでしまっていて読むことができない。


 試しに人差し指で文字を触ってみると、≪獲得にはレベルが足りません≫と表示された。そういうものらしい。


 その後もスキルやらステータスを確認していると、子ドラゴンが戻ってきた。


『――みゃっ!』


 ドラゴンが咥えてきたのは大きな鳥だった。いやほんと大きいね? 持ち上げきれずに床を引きずっているほどだ。前世で言うとキジとかクジャクくらい?


 鳥。

 明らかに死んでいる。

 死骸。

 ここで普通の貴族令嬢なら叫んだり失神したりするのだろうけど……私は前世で慣れていた(・・・・・・・・)


「わぁ! すごいね!」


『みゃっ!』


 ドラゴンの頭を撫でると、ドラゴンは満足そうな顔をしてから鳥を床に落とし、そのまま私の方に押してきた。


「え? 私にくれるの?」


『みゃっ!』


「いいの?」


『みゃっ!』


 いいってことよ、みたいな顔をするドラゴンだった。なんか産まれたばかりなのにダンディだね? まだ性別も分からないけど。


 あ、そうだ。鑑定すれば名前と性別も分かるのでは?


「……ねぇ、鑑定してみてもいい?」


『みゃ!』


 何でもないことのように頷くドラゴンだった。やっぱり私の言葉を理解しているんじゃない?


「え~っと、じゃあ、鑑定眼(アプレイゼル)


 子ドラゴンのすぐ横にステータス画面が表示される。


 名前は――空欄。まだ名前はないってこと? まぁ産まれたばかりだから当然か。

 年齢ももちろん0歳。

 性別は♀(女性)か。

 職業その他は……なんだか、霞んで見えない。


 指先で触れてみると、『表示するには鑑定眼(アプレイゼル)のレベルが足りません』と出た。やはりそういうものみたい。


 ま、ドラゴンの職業はドラゴンなのだろうし、それはいいとして。


「名前、ないの?」


『みゃっ!』


 ぺしぺしと。前足で私を叩いてくる名無しのドラゴン。


「もしかして、私に名前を付けろってこと?」


『みゃっ!』


 その通りだとばかりに頷く子ドラゴン。


「名前、名前かぁ……」


 言っておくけど私にネーミングセンスはない。猫ならミーちゃんだし、犬ならポチだ。


「じゃあ、『ミャー』なんてどう?」


 ドラゴンの名前にしてはちょっと可愛すぎたかなと思ったけど。


『みゃーーーーーっ!』


 喜んでいた。

 めっちゃ喜んでいた。

 首はぐねぐねと動いているし、翼はパタパタと羽ばたいている。四本の足は軽快なステップを踏み、尻尾はブンブンと振られている。


 いやー、ここまで喜んでくれるとこっちが照れちゃうね。


≪――称号・名付け親を獲得しました≫


「おん?」


 なんかまた天から声が降ってきた。


≪特別な絆を獲得しました≫


『みゃっ!』


 え? ミャーにも聞こえているの?


≪スキル共有をONにしますか?≫


 今『ON』って言った? この世界にそんな言葉あるの?


『みゃっ!』


 右手をシュバッと上げるミャー。承認したってこと?


≪承認されましたので、以降稟質魔法(リタット)以外のスキルは共有できるようになります≫


 いや稟質魔法(リタット)って何?


≪獲得経験値共有をONにしますか?≫


『みゃっ!』


≪承認されましたので、これよりお互いの獲得する経験値は山分けとなります。子育て頑張ってくださいね≫


「え? あの、ちょっと?」


 色々聞きたいことはあったのに、天からの声は聞こえなくなってしまった。


 経験値を山分け。なんだかますますゲームっぽいね?


 要するに『名付け親』が獲得した経験値を『子供』に分け与えることで、子供の安全なレベリングをしましょうってこと? こう、親が獲ってきた獲物を子供に分け与えるように。


 つまりは私が名付け親として、ミャーを育てることになるのだけど……。


 …………。


 ちらり、と。ミャーの獲ってきた鳥を見る私。


 これ、どちらかというと私が育てられる側じゃない? 気のせい?




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