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【受賞・書籍化】魔石喰らいの最強聖女 ~悲劇の運命は『力(パワー)』でなぎ倒します!~  作者: 九條葉月


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真似

 ――悪は滅んだ。


「ま~った派手にやったっすねぇ……」


 呆れた様子で大絶賛してくれるフィナさんだった。照れるね。


「よし、じゃあさっそく魔石を……魔石を……」


 うーん、魔物とはいえ、サルを解体するの? それはなぁ、何だかなぁ。いやまぁそれが命をいただくってことなんだけど……うーん……。


『みゃ』


 敵なんだからそんなこと気にするなよ、みたいな感じにため息をついてから、ミャーがガコンとアゴを開き、火炎放射。サルの集団を焼き払った。――森ごと。


「ちょっとミャー!? やりすぎだよぉ!?」


 慌てて水魔法を使って水をぶっかける。けど、火の勢いが強すぎて中々消えそうにない。


 しょうがないので次善策。風魔法で周辺の木を薙ぎ払い、同じく風魔法で吹き飛ばして火の手から遠ざける。……ぬぉおおお! 風魔法で大木を吹き飛ばすのって非効率ぅう! こなくそぉおおおぉおおおぉお……。





 なんとか消火に成功した私だった。頑張ったよ私。


 うーん、しかし、なんというかパワーが足りないね私たち。いや身体強化(ミュスクル)で何とかなると言えばなるのだけど、今回みたいに大量の物を一気に移動させるとなると……。なにか別の労働力みたいのが欲しいなぁ。


 異世界ものの定番で行くと――ゴーレムとか?


 でも魔法の教本にゴーレム魔法なんてなかったよなぁ。どこかで習えるものなんだろうか? お爺さまは魔法が使えるのだから聞いてみて……いや公爵令嬢がゴーレム魔法を知りたがるのが怪しすぎるかな?


 まぁ、それはあとで検討するとして……今はサルの魔物の魔石かな?


 どれどれー、っということで試しに一つ食べてみる。ころころ、舐め舐め、じゅーしー。


≪――スキル・猿真似(パクリ)を獲得しました≫


 いや名前よ。猿真似って。パクリって。もうちょっとネーミング何とかなりませんでした?


 まぁいいや。まずは効果を確認してーっと。……ほうほう? 相手の動きを分析して、トレースすることができるのか。前世のマンガでそういうキャラがいたような。まったく同じ技を繰り出して……。結局はオリジナルには勝てないという展開だったけど。


 む? 待てよ? 相手の動きを分析して、トレース?


 これは、猿真似すれば完璧な礼儀作法が手に入るのでは? テーブルマナーとか、ダンスとか。


 ふふふ、これはいける! いきなり完璧だと怪しまれるから、まずはアリスの動きを猿真似して、その後は少しずつおばあ様たちの動きをトレースしてしまえば! パーフェクトな公爵令嬢が誕生するって寸法ですよ!


『ミャー……』


 なーんか『手抜きするなよ』みたいな声を出されてしまった。いいじゃん今まで何も教わってこなかったのだから。







   閑話 勘違い



 翌朝。

 リーナの祖母であるセレスは驚きを隠せなかった。朝食の場にやって来たリーナがテーブルマナーを身につけていたためだ。


 完璧ではない。

 むしろ粗が目立つ。

 けれど、貴族令嬢としての教育を受けてこなかったという事情を考えれば、驚くほどに達者な作法であった。


 その作法は、伯爵家式――つまり、アリスのものによく似ていた。瓜二つと言ってもいいだろう。


(なるほど)


 リーナとアリスの作法を見比べながら、内心で頷くセレス。昨夜、自らのマナーのなさを実感したリースは、アリスに教えを請うてマナーを身につけたに違いないと。


 妹とはいえ、元庶民である継母の連れ子。

 当然ながら自分より年下。

 さらに言えば、自らはもうすでに公爵令嬢という地位を手に入れた。……今までの復讐を兼ねてアリスを虐げてもいいはずなのに、なおも教えを請うことができるとは。7歳とは思えない器の大きさである。


 さらにはたった一晩でこれほどまでのマナーを身につけるとは……。一体何時間、どれだけ集中して練習したのだろうか? そしてその練習に付き合ったであろうアリスもまた素晴らしい。


 低く見積もっていたつもりはなかったが、それでもリーナとアリスという人間を評価し切れていなかった自分の未熟さを恥じるセレスであった。


 ……もちろん、リーナ本人はスキルで楽々習得しただけなので、セレスの勘違いでしかないのだが。





「まだ未熟ですが、素晴らしいマナーでした」


 リースとアリスが部屋に戻ったあと、絶賛するセレスであった。表情こそいつもの澄まし顔だが、心の中では喜んでいることをガーランド()ガルナ(息子)は理解していた。


「二人とも。夕食後に二人の部屋へは行かないように」


 そう釘を刺すセレス。だが、リーナとアリスと水入らずの時間を過ごすなら仕事から帰ったあとになってしまうガーランドとしては不満を抱いてしまう。


 そんな彼に対し、セレスは優しく微笑みながら事情を説明した。


「子供たちが大人に努力する姿を見せず、頑張ろうとしているのです。邪魔をしてはいけないでしょう?」


「む、それは、そうか……」


 少し寂しいが、納得するしかないガーランドであった。



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