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【受賞・書籍化】魔石喰らいの最強聖女 ~悲劇の運命は『力(パワー)』でなぎ倒します!~  作者: 九條葉月


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めっちゃこわい


 まぁ肖像画に関しては流れに任せるとして。


 私たちは食堂に到着したのだけど、ここで問題発覚。……私、食事の時の作法とかなーんにも知らないのだ。


 え? これ、どうするの? 前世でテーブルマナーは学んだけどよく覚えてないし。というか異世界の作法が前世と一緒のわけがない。


 私が戸惑っている間にもアリスはメイドさんに促され、上品な仕草で着席した。おぉ、アリスはすでにお貴族様のマナーを学んでいるみたい……軟禁されていた私はもちろん知識なし……姉より優れた妹……可愛い……。


「……おぉ、そうであったな。リーナはまだ何も学んでいなかったのか」


 お爺さまが渋い顔で発言し、


「そうね。事情があるのだからしょうがないわね」


 おばあ様は何でもないことのように答えた。


 くっ! 同情されている!

 このままではいけない! 幼女にだってプライドがあるのだ!


「――分かりました!」


 高らかに声を上げてから、部屋の隅で待機していたフィナさんの後ろに移動する私。そのままフィナさんを柱のようにして、顔だけ出して食卓を凝視する。


「? リーナよ、どうしたのだ?」


「同情不要!」


「うむ?」


「大丈夫! 見て覚えます! 気にせずどうぞお食事を!」


「いや、」

「そう言われてもねぇ?」

「リーナ、気にしなくていいんだよ?」


 お爺さま、おばあ様、お父様は困ったように顔を見合わせて、


『――みゃ!』


 一緒に来ていたミャーが飛び、食卓の椅子に乗る。


 そしてそのまま後ろ足で立ち、前足を器用に使ってナイフとフォークを操り、食事をするミャー。


 おぉおおお? なんか知らないけど座り姿が美しい? シュッとしているというか、人の手で造られた銅像のようというか。


「な、何と美しい所作……ミャーさん、中々やるわね……」


 礼儀作法にうるさそうなおばあ様が即座に認めていた。つまり私は生まれたばかりの0歳児に負けたのである。


『……みゃ』


 ふっ、雑魚め……。みたいな目で私を見るミャーだった。おのれぇええええええ。





 図書室で礼儀作法の本(イラスト付き)を借り、部屋に篭もって勉強をはじめた私である。ミャーに負けたままではいられないのである。


「頑固者っすねぇ」


『みゃ』


 全身全霊の応援を受けながら本を捲っていく。ほうほう? なるほど? なんか知らないけど前世のテーブルマナーそっくりだね?


 ちなみにおばあ様は手取り足取り教えてくれると提案してくれたけど、そんなわけにはいかないのである。まずは最低限勉強してから実践に移らなきゃいけないのである。


「頑張るお姉様、素敵ですわ……」


 アリスからうっとりとした顔で煽られてしまったので、ますますやる気アップな私である。


 そうして勉強に勉強を重ね、晩ご飯も部屋で食べ、すっかり眠る時間となったのだ。


「――よし、ちょっとダンジョンに潜ろうかな?」


 アリスのスキルを隠すために隠蔽工作(ブラエ)を獲得しなきゃいけないし。


 たしか隠蔽工作(ブラエ)は姿を隠せる犬(っぽい魔物)の魔石から入手できたはず。雑魚だからさっさと倒しちゃおうか。


 というわけで、迷宮王の指輪(アステロペイテス)を使って部屋の中にダンジョンへの入り口を出してみる。……おー、部屋の真ん中に木製のドアが。なんというか――どこで〇ドアっぽい感じ。


「わたくしも行きますわ!」


 と、元気いっぱいに手を上げるアリス。うん、まぁ今のアリスは強いから平気かな? いざとなれば私が守ればいいのだし。


「あ、じゃああたしも付いていくっすよ。保護者代わりってことで。……あと、あたしもステータス? が上がったんですよね? それを確かめてみたいですし」


 はーい、っと手を上げるフィナさんだった。

 正直、部屋に誰もいなくなるのもどうかなーっと思うのだけど……でも、フィナさんが気になる気持ちも分かるしなぁ……。


『みゃ』


 しょうがないから私が残るよ、みたいに前足を上げるミャーだった。じゃあお願いしようかな? 誰か来たら念話で教えてもらえばいいし。


 というわけで。

 私、アリス、フィナさんはダンジョンに足を踏み入れたのだった。





 初階層に降りると、さっそくコウモリの魔物を見つけた。あと数歩進むと襲いかかってくるのがいつものパターンだね。


「んじゃあ、さっそくあたしが」


 空間収納(ストレージ)の中から大振りのナイフを取り出すフィナさん。そういえばフィナさんが戦う場面を見るのは初めてだね。


 なんか凄そうな武器なので鑑定してみる。


 ……ほうほう? 柄の部分を『魔法の杖』と同じ素材で作ってあるので魔法発動のための補助魔導具として使えると? いいなぁ、便利そう。どこで作ったか今度教えてもらおうかな?


「――雷よ、轟け(トルス)!」


 フィナさんが初級攻撃魔法を発動したけど、コウモリに放つことなく――ナイフに乗せた(・・・・・・・)


 白刃が雷光を帯びて光り輝く。え? なに? そんな技があるの?


「でりゃあぁあああっ!」


 身体強化(ミュスクル)を使い、一番近くにいたコウモリと一気に距離を詰めたフィナさんはナイフを振るい、コウモリの喉を切り裂いた。おー、すごーい。


『ぎゃあ! ぎゃあ!』


 仲間をやられたコウモリたちが一斉に動き出したので、攻撃魔法で援護する。もちろんフィナさんに当たらないよう、フィナさんの周囲に結界を展開してね。


「――雷よ、轟け(トルス)!」


 私が初級攻撃魔法(フィナさんのよりだいぶ高威力)を放つと、


『ぎゃぎゃぎゃぎゃ!?』


 断末魔の叫び声を上げるコウモリたちと、


「うっぎゃあぁあああ!?」


 なぜか涙目で叫ぶフィナさんだった。なんで?


「お姉様、当然ですわ。フィナさん、思いっきり攻撃魔法に巻き込まれていますし……」


 アリスからちょっと呆れた目を向けられてしまった。えー? 結界で覆ったから平気なのにー?


 …………。


 ……あ、よく考えたら「結界で覆った」とは教えてなかったね。フィナさんに。正直すみませんでした。




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