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聖魔法


「――鑑定眼(アプレイゼル)! 鑑定眼(アプレイゼル)! 鑑定眼(アプレイゼル)!」


 鑑定眼(アプレイゼル)獲得後、調子に乗って鑑定しまくる私だった。本棚の本を一冊ずつとか、魔法陣の詳しい説明とか。目に付くものをことごとく。


「おー、すっごい! おもしろーい!」


 まるで幼女のようにはしゃぐ私。いや肉体的には完全に幼女なんだけどね。


 肉体年齢と精神年齢の乖離とはともかくとして。鑑定を繰り返したおかげで経験値が溜まったのか、


≪――スキル・鑑定眼(アプレイゼル)のレベルが上昇しました≫


 そんな声が天から降ってきた。使うだけでレベルアップとか、レベリングがメッチャ楽じゃない?


鑑定眼(アプレイゼル)の補助スキルとして、ステータス確認が可能となりました≫


 お? ほんとに?

 じゃあ異世界転生の定番、『ステータス!』って叫ぶのができちゃうの? これはやってみるしかないよね。


「す、ステータス!」


 いざやるとなると恥ずかしくなってしまう私だった。頬が熱い。


 と、目の前に四角い液晶画面みたいなものが浮かんだ。


 ほうほう? 私の名前はリーナ・ルクトベルク……ルクトベルク?


 はて? 私ってランテス伯爵家の娘じゃないのかな?

 ルクトベルクについては以前フィナさんが教えてくれたことがある。私の母親の実家だったはずだ。公爵家なので、貴族の中ではトップクラスに偉い、はず。


 ちなみに偉さの順番としては王>>>公爵>侯爵>辺境伯>伯爵>子爵>男爵>騎士爵って感じだ。


「あー、別邸に軟禁されたから親子関係も断絶したとか? で、母親の実家の名字が表示されたと」


 まぁあの父親との縁を否定してくれるならそれはそれで。


 名前の横には年齢とレベルが表示されていた。レベル……なんだかゲームっぽいね?


 年齢は7歳。これは肉体年齢が表示される感じか。そして私のレベルは5。高いのか低いのか……。


 それらの下には二つのゲージが表示されていた。上のゲージがHP(体力)で、下のゲージがMP(魔力)と。


 体力はMAXで100程度。やはり高いのか低いのかは分からない。

 少なくとも、屋敷の二階に上るだけで息切れする程度の体力であるはずだ。


 空腹なのでかなりゲージは減っているんじゃないのかなと思ったけど、体力は満タン。空腹を抜きにしても今日は二階への階段の上り下りだけでかなり体力が削られたはずなのに。


「あ、でもよく考えれば、肉体的な疲れはないかも?」


 時間が経ったから回復したのかな?


 MPの方は、MAXで2,500ほど。体力に比べればかなり多いけど、そもそも体力とは基準が違うだろうからこちらも多いのか少ないのか分からない。


 やはり先ほど魔力を根こそぎ吸い取られたのか、MPはほとんど空っぽで、ゲージも赤く染まっていた。危険水準ってことなのかな?


 他のステータスも順番に確認していく。


 種族は当然人間。


 職業 / 称号欄は『ドラゴンの親代わり』と、『転生者』、そして『悪役幼女』か。……悪役幼女?


 悪役っていうと、前世で人気だった悪役貴族とか、悪役令嬢? まぁそれ自体は逆転大勝利なストーリーも多かったからまだいいとして……。幼女で悪役って、どうなのさ? 威厳とか威圧感とか。


「……むしろ被害者だと思うんですけど、そこのところどうなんです?」


 ステータスに話しかけるけど、無反応。さっきみたいに頭の中に声が響くこともない。


 あとはスキルか。鑑定眼(アプレイゼル)に……自動回復(イルズィオン)と、自動魔力回復(イルズィカーリオン)


 そういえば、魔力欠乏症で倒れたときにそんな感じの発言を聞いた覚えが……。


 自動回復(イルズィオン)自動魔力回復(イルズィカーリオン)。字面の意味をそのまま受け取るなら体力と魔力を自動で回復してくれるのだろうけど。


 そんなことを考えながら、なんとなくステータス画面に触れてみるとスキルの詳細が表示された。


 ・自動回復(イルズィオン)

 ケガや病気などを自動的に回復。回復量は1分につき1×レベル分。


 ・自動魔力回復(イルズィカーリオン)

 1分につき1×レベル分魔力を回復。


 え? チートじゃない?

 レベルに従って回復量が増えるなら、レベル1なら1分間に1しか回復しないけど、レベル100になれば1分で100も回復するじゃん。今の私の体力なら1分で完全回復だ。


 でも、ケガや病気などが自動で回復? なんだか自覚ないけど……。よく考えてみれば風邪で寝込んだことはないかも?


(あ、そういえば)


 自分の頭に触れてみる。昨夜、父親が投げてきたコップが当たり、出血した場所だ。朝起きたら痛みもなかったし、よく考えてみれば早いうちから血が滴り落ちなくなっていたけど……。


「傷が消えたのかな?」


 何度も指で触れてみるけど、傷口っぽいものはないし、痛みもない。


 つまり、スキルのおかげで回復したのだろうか?


 以前の私は……どうだったっけ? あまり活動的じゃなかったというか、自室でも軟禁されていたのでケガをするような無茶はしなかったからなぁ。


 まぁでも、重要なのはこれからか。


「とりあえず、回復魔法は覚えなくてもよさそうかな? ……いや」


 私は大丈夫でも、誰かがケガをするかもしれないからね。私は伯爵家専属の回復術士とは違うので、回復魔法を習得したら差別することなく誰でも回復すると誓いましょう。……自分が魔力欠乏症で死なない範囲で。


 なぁんて、誰に聞かせるでもない誓いを立てていると、


≪――スキル・聖魔法を獲得しました≫


「へ?」


≪特殊条件。人種や身分で差別をした場合、聖魔法は使用できなくなります≫


「…………」


 もしかして聞いてた? 人の心を読んだ?


 プライバシーって概念がないのかという思いと、しかし聖魔法って便利そうだよねという思い。二つが対立してツッコミができない私だった。


 ちなみに聖魔法とは『聖女や聖者が使用できる、回復魔法の上位互換』であると魔法の教本に書いてあった。あれでもそれって魔法だよね? 私のはスキルなんだけど……。どう違うのだろう?




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