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【受賞・書籍化】魔石喰らいの最強聖女 ~悲劇の運命は『力(パワー)』でなぎ倒します!~  作者: 九條葉月


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合法

「接触禁止」


 お爺さまたちと会議していたというお父様がやってきて、無情な裁定をしたのだった。姉である私が! 弟であるルイナスに接触してはいけないとな!?


『みゃー』


 当たり前だアホ、みたいな反応をするミャーだった。なーぜーだー。


 不満不満していると、お父様が私の方にそっと手を置いた。


「いいかいリーナ。先ほどルイナスに触っても大丈夫だったのは原因不明なんだ。もしかしたらあのときだけ何らかの条件が重なって無事だっただけかもしれない。まずは教会でスキル鑑定。そして大丈夫だと分かってから仲良くなって欲しい」


「えー」


 不満たらたらな私を、お父様が真っ直ぐ見つめてくる。


「正直言って、ルイナスがリーナと触れ合えるなら私も喜ばしいと思う。ルイナスにはここ数年誰も触れてやることができていないからね」


「なら、」


「でもね、私はリーナのことも心配なんだ。ルイナスのためにリーナを犠牲にしようとは思わない。分かってくれないか?」


「……まぁ、そういうことでしたら」


 真っ正面から心配されることに慣れていない私はついつい頷いてしまうのだった。だってあの屋敷で味方だったセバスさんたちも影ながらの見守りだったし。





「おねーさまはー、ルイナスにずいぶんとお優しかったですわねー」


 部屋に戻ると、アリスが『ぷくー』っと頬を膨らませていた。


 これは!

 あれでは!?

 世に名高い!

 嫉妬というものでは!?


 いや~、まいったな~、とうとうアリスとも嫉妬し嫉妬されの関係になっちゃったか~! 照れちゃうね~!


『みゃー……』


 このクズ、どうしようもねぇな……。みたいな冷たい目を向けられてしまった。なんかすみません。


「リーナ様ってどんどんアホになってません?」


 とんでもない発言をするフィナさんだった。私のどこがアホだというのか。ちょっと妹愛と弟愛が深いだけだというのに。


「……まぁ、まともな家族愛を知らなかったっすからねぇ……」


 なぜが生温かい目を向けられてしまったでござる。





 さて。夜になったらダンジョンに潜り、隠蔽スキルの獲得を目指すとして。それまでは結構暇なんだよね。いや何日か後には地獄の令嬢教育が幕を開けそうだけど……。


 正直、令嬢教育がキツすぎるなら逃げちゃえばいいやと思っていたのだけど……。ルイナスを知ったあとだとなぁ。唯一触れる(かもしれない)私が出て行ったらまたひとりぼっちになってしまうし……。


 そんなことを考えていると、ドアがノックされた。誰かメイドさんでも来たかな? お昼まではまだ時間があるはずだけど。


 フィナさんがドアに近づき、廊下の向こうにいる誰かと小声でやり取りを始めた。たぶん誰なのかと確認しているのだと思う。機密性が低いのはこういうときのことも考えてなのかぁ。


「えーっと」


 ちょっと困ったような顔をしてこちらをチラッと見るフィナさん。どうしました?


「……ま、なるようになるっすか」


 そんなことを呟きながらフィナさんが扉を開ける。と、そこにいたのはプリティー☆マイブラザー☆ルイナスだった。


「あれ? ルイナス? どうしたの?」


「い、いえ、お姉様の体調が気になりまして」


「なんだー? そうだったのー? 大丈夫だよー元気だからー」


 もしかしたら時間が経って体調に問題が出てきたんじゃないかと不安になってしまったのかな? しかし安心したまえよルイナス。私には自動回復(イルズィオン)自動魔力回復(イルズィカーリオン)があるからね。致命傷じゃなければ何とかなるのだよ。


 これは安心させるためにもう一度抱きしめるべきなのでは?


「ステイ。リーナ様、ステイ」


 まるで犬に対するようなフィナさんだった。


 でも待って欲しい。確かに私はお父様と接触禁止と約束したけれど。ルイナスの方からやって来たのだから合法ではないだろうか?


「違法っすね。リーナ様の存在自体が」


 どういうことやねん……。


 私とフィナさんが牽制するように微笑ましく見つめ合っていると……アリスが私の腕に抱きついてきた。


「ルイナス、大丈夫ですわ。お姉様には実の妹であるわたくしがついていますので」


 ドヤ顔で胸を張るアリスだった。かわいい。


 あと私とアリスって父親が同じで母親は別だけど……こういうときも実の妹って言うんだっけ? くっ、この世界にはスマホがないから調べられない……。


 と、ルイナスの目元が少し潤んだ。


「そ、そうですよね……ボクなんかいても邪魔なだけですよね……」


「そんなことないよ! アリスもルイナスも大切な弟妹だよ!」


 気づくとルイナスを抱きしめていた私だった。いえー、ふにふにー、合法ー。


「くっ」


 なにやら悔しげな声を上げるアリスだった。どうしたの? アリスも抱きしめようか?


「ふっ」


 抱きしめた腕の中でルイナスが小さく声を発した。というか鼻を鳴らした? いや気のせいか。天使のようなルイナスがそんなことするはずないものね。


「ぎぎぎ……」


 え? アリス? アリスが歯ぎしりしてる? ほんとどうしたの? お腹痛い?


『……みゃー』


「にっぶ……年下殺し……」


 なぜかドン引きしているミャーとフィナさんだった。



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