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【受賞・書籍化】魔石喰らいの最強聖女 ~悲劇の運命は『力(パワー)』でなぎ倒します!~  作者: 九條葉月


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迷宮王の指輪


 アリスとフィナさんだけど、ミャーが転移魔法を使って地下室まで転移させてくれた。たぶんフィナさんが上手い具合にアリスを部屋まで連れて行ってくれるはず。その辺は心配していないのだけど、


「え? ミャー、転移魔法なんて使えたの?」


『みゃ!』


「いやいや、なら転移魔法であのドラゴンから逃げれば良かったじゃん」


『みゃみゃ~』


 やれやれと首を横に振られてしまった。えーっと、『あのドラゴンが邪魔をしていたから、倒さないと転移魔法も使えなかったんだよ』みたいな感じかな? まぁよくある展開だね。


 え? 転移魔法はスキル? じゃあ私にもスキル共有してもらってーっと。


 お、そうだ。食べきれなかった魔石は空間収納(ストレージ)にしまっておこうかな。魔石に手をかざして~っと。ドラゴンを倒して諸々レベルが上がったから結構入るんじゃないのかな?


「――お?」


 なんか、一気に消えた。

 ドラゴンの魔石だけじゃなく、ドラゴンの死体そのものまで。


「え? 消えた? まさか、空間収納(ストレージ)に収められたとか?」


 ステータス画面を呼び出して、空間収納(ストレージ)の中身を確認。……うん、収納されているね。しかも『もも肉』とか『ハラミ』みたいな感じで。焼き肉かな?


 私がツッコミしていると、天から声が振ってきた。


≪――スキル・解体(デスト)のレベルが上昇しました≫


 え? 空間収納(ストレージ)に入れるのって解体にカウントされるの? あるいは解体スキルを使ってバラバラにしてから空間収納(ストレージ)に収めたって感じ?


 私の疑問に答えることなく次々に天から声が振ってくる。


≪――スキル・解体(デスト)のレベルが上昇しました≫

≪――スキル・解体(デスト)のレベルが上昇しました≫

≪――スキル・解体(デスト)のレベルが上昇しました≫


≪――解体(デスト)の獲得経験値が一定値を超えました。スキル・構造破壊(デストラクチャー)に進化します≫


「なんかメッチャ物騒なスキルになったんだけど!?」


 7歳の幼女が持ってていいスキルじゃないよね!?


『みゃー』


 今さら過ぎるだろ、みたいな反応をされてしまった。なぜ?


 空間収納(ストレージ)の中にはお肉以外にも色々収められていたので、ステータス画面を下に移動しながら流し見していく。


「うっわー、お肉だけじゃなく骨やら牙やら血液までも分類されて――うん?」


 なんか、妙なのがあったな? ちょっと画面を戻して確認。


「――迷宮王の指輪(アステロペイテス)?」


 なんだそれ?

 指輪の画像が表示されていたので、指先で触れてみる。

 すると、画面が淡く光り輝いて――次の瞬間には、私の右手薬指に指輪が嵌まっていた。


 ちなみにこっちの世界でも左手薬指は結婚指輪を嵌める場所なので、右手で良かった――じゃなくて。


 ステータス表示しようとしただけなのに、なんで指に嵌まっているのだろう?

 試しに指から抜こうとしてみるけど……びくともしない。ははーん? 呪いの装備系かなー?


 指輪はどうにもならなそうなので、もう一度ステータス画面を確認。


 名称:迷宮王の指輪(アステロペイテス)


 所有資格者:ダンジョンマスター。


 効果:獲得したダンジョンの管理運営権。


 ……ダンジョンマスター?

 それって、前世の物語によく出てきたやつ? ダンジョンに引きこもってD.P.(ダンジョンポイント)をやりくりして魔物を生み出したりトラップを設置したりして、やって来る冒険者を迎え撃つとかスローライフするとか……。


 え? じゃああの黒いドラゴンはダンジョンボスだったの? で、ボスを倒したから迷宮王の指輪(アステロペイテス)を手に入れて、ダンジョンマスターの権利を得たと?


 …………。


 ……もう、ダンジョンに引きこもっていればいいんじゃないかな? たぶん自給自足できるし。


『みゃー……』


 ものすっごい呆れ顔をされてしまったのでそれは無期限延期するとして。せっかく異世界転生したのだから外の世界も見てみたいよね。やっぱり冒険者か……。


 身を守る術は十分ある。というかドラゴンまで倒せたし、倒したことで各種のステータスやらレベルやらが大幅アップしたもの。もう世界最強レベルと言っても過言じゃないのでは?


『みゃー……』


 調子に乗るな、みたいな目で見られてしまった。なんかすみません。




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