空間収納
「……ふ~ん?」
教本で空間収納を習得したあと。
色々と試してみて分かったことと言えば……スキルと魔法では同じ技名(?)でも別物だということだ。
たとえば空間収納。
スキルの場合は何の呪文も唱えずとも中の物を取り出すことができる。けれど、まだスキルレベルが低いので収納力は限られている。逆に言えばレベルが上がれば収納力も上がっていくと。
対して魔法(魔術)の空間収納は、使用者の魔力に比例して収納力が増加するのでスキルの方とは比べものにならないほど多くのものを収めることができる。
けれど、物を出し入れするときに空間収納の呪文を唱えなきゃいけないし、取り出したい物の名前も一緒に唱えないといけない。
「つまり、一長一短ってことか」
これからしばらくはあのカンガルーみたいな魔物を狩って魔石を食べ、空間収納のスキルを鍛えようかな。
いやスキルの進化条件が同じ魔石を食べ続けることなのかどうかも分からないし、空間収納が進化してどんなものになるかも不明なんだけどね。どうせ魔物は倒してレベリングしなきゃいけないんだから、ついでにやってしまえばいい。
「よ~し! そうと決まればレベリングだね!」
『みゃっ!』
気合いを入れ直す私とミャーだった。
◇
『――みゃっ!』
がこん、と顎を開き、ドラゴン・ブレスを横薙ぎ。付近にいる魔物を殲滅してしまうミャーだった。わぁいレベルがドンドン上がっていくぞー。
「う~ん、ミャー。これじゃ私の練習にはならないかなー、なんて」
『みゃ?』
「ほら、レベリングも兼ねて上級攻撃魔法の練習もしないとだし」
『みゃみゃ』
そういうことならと私に譲ってくれるミャーだった。う~んそれは嬉しいんだけど、もう魔物はどこにもいないかなー、なんて。
とりあえず魔石を回収し、空間収納に突っ込んでいく。さすがにここで全部食べることはできないからね。
魔物もいないので前進すると、前の階層と同じように水晶が置いてあった。
「う~ん……」
下の階層にも興味がある。なにせ別の魔物がいれば新しいスキルをゲットするチャンスだし。
でもなぁ。あんまり深い階層まで行ってダンジョンボスと遭遇するのもなぁ。こういうのってボスと遭遇すると倒すまで逃げられないというのが定番だし。
『みゃ』
「え? 次の階層くらいなら大丈夫?」
『みゃみゃ』
ミャーがそう言うのなら、信じてみようかな。
というわけで。
次の階層に移動するため水晶に触れた私だった。