謎のまもり神娘ちゃん
(……やるとはいったものの、一体どうすれば良いのかしら。男と仕事以外で接した事ほとんどないし……)
(仕方ないわよね…… 、私ここに来てから私以外に他の娘知らないもの。とりあえず、相手と肌を合わせて一つになるイメージで……)
静かに寝息を立てる男に墨華はそっと手を伸ばし、指が触れ合った瞬間……
「ーーーーーーーっ痛っ!!」
激しい閃光とショートした様な衝撃で墨華はその場にへたり込んでしまう。
「ちょっと……何なのよこれ」
「……ふーむ」
「オイオイどうした?」
「あららぁ……」
四人とも目の前で起きた事に驚き、戸惑いを隠せない様だったが、板場がへたり込んだ墨華の指を見ながら話し出す。
「恐らくは、彼に対する守護のまじない、魔除けの類だろうな、発動の条件は…… 、猫島君と鎌苅君も触れて見てもらえるかな?」
「オイオイ大丈夫なのか?さっき迄なんとも無かったじゃねえか、電気ビリビリは勘弁だぜ?」
「ええぇ、私もやるのぉ…… 」
「まぁ……墨華君の様子を見る限り、我々への攻撃や呪いの類では無さそうではあるが、まじないの主は今の反応を見るに中々手強そうだな」
恐る恐る二人が安成の指に手を伸ばす。猫島に至っては完全に腰が引けて触るか触らないかのところで出したり引っ込めたりを繰り返している。しかし二人が指に触れても先ほどの様な事は起こらなかった。
「では、私も試してみるか…… 」
板場が彼に触れた瞬間、先程よりも強く大きな衝撃が起こり彼女も腕を弾かれたが、吹き飛ばされる程の衝撃では無い。
そして彼の声とは違う別の声が聞こえる、明らかに怒りの感情が含む女の声である。
「……お主ら… 許さぬぞ、この者に害成す異界の住人め…… 、私がいる限り絶対に触れさせぬ!絶対にだ」
声に対し冷静に板場は切り返す。
「ほぅ面白い事を言うね、キミも我々と同じ様な存在だろう?それに我々には彼に対する害意はないのだが、何故私達はダメなんだい?それに、そこの二人は平気だったではないか」
声の主は更に威圧感と怒りを露わにする。
「お前達二人はこの世の理の外の力を使いこの男から糧を得ようとした!そこの猫女と死神は現世の理の中で触っただけじゃ、咎める理由はない……」
板場は暫く考え込む様子を見せ、一つため息を付いた後静かに追い詰める様に切り出した。
「成程、ではキミは存在を維持するために彼から糧を得てはいないのかい?」
痛い所を突かれたのか、声に動揺の色が濃くなる。
「何を言うっ!わっ、わ……私は良いのじゃっ!こやつと私は遠い昔に契りを交わした深い仲じゃ!何人たりとも邪魔はさせぬのじゃ!」
声からは明らかに動揺と焦りが感じられる。
「特にそこのお前!その黒髪の女子よ、再びこの者の寝込みを襲う様な事が有れば容赦はせぬぞ、肝に銘じるが良い!」
その言葉を聞いて桜庭の中の反撃スイッチがオンになり、機関銃の様に捲し立て反撃に転じる。
「ハァ、何言ってくれちゃってんのよ!どこの誰だか知らないけどアタシはコイツに高っかいバイト代と三食住む所まで出してやってんのよ?アタシが雇わなかったらコイツ今日から橋の下で寝泊まりする羽目になってんだからね、少しは感謝してよね!」
「ほらっ、何とか言って見なさいよ!何だか知らないけどアンタの大事なコイツの事を助けてやったんだから、感謝の一言も無い訳?ほら!ありがとうって言いなさいよ!感謝の言葉は?ほらっ!早く言いなさいよっ!」
彼女からの手痛い反撃を受け、声の主から勢いがなくなる。最早、立場が逆転と言っても良いくらいである。
「うぐ…… 、ぐぬぬ……貴様、よくもぬけぬけと……だが今日の所は勘弁してやるのじゃ、覚えておくのじゃ、ワシはお前は許さんからなっ!」
そう言い残し声は主は何処かへ消えた。




