違和感
ドアを開けて中を覗くと長い事務用の長いテーブルを挟んで椅子が数個並んでいるだけで他には何もなく、かなり寂しい雰囲気だった。(誰もいないし、座って待つか……)
「どうぞ、おかけになってください」
テーブルから目を逸らした瞬間、誰も居ないはずの部屋から急に声をかけられ驚きの余り声をあげてしまった。
「うわぁぁっ」
驚いて声の方を向くと、既にテーブルには3人の女性が座っていて、俺と目が合った。
(……どういう事だ?絶対おかしい?確かに誰もいなかったはずだけど)
「大きな声出してしまって、どうもすみません」
俺は慌てて一言謝った。
「いえいえ、こちらこそ驚かしてしまったようですね」
中央に座る黒髪のスーツ姿の女性が静かに答える。
向かって左にはとても美人な白衣姿の金髪の女性、中央は黒髪のスーツ姿の同い年くらいの女性、最後はジャージ姿のにこやかな女の子だ。最後の右の子以外は見た感じそんなに歳の離れた感じはしないが、右の子は本当に社会人なのか?と言うくらい幼く見える。
腰掛けて顔を上げるとニコニコしながら右の女の子が中央の黒髪に向かって何か耳打ちしている、仕草は可愛いのだが目の前で自分を見ながら耳打ちされるのは正直感じが悪い。
「改めて、当社アルバイトへの応募ありがとうございます」
「私は(株)さくら観光バス代表取締役の桜庭墨華です」
「あなたから見て左は当施設医師の板場先生、右は療養施設担当の鎌苅さんです」
「中々良い人が見つからずこちらも困っていたもので、お互い納得して契約できると良いのですが……」
「それでは、早速面接を始めたいのだけど良いかしら?」