表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/27

夕飯その10

 「ねぇねぇ準備できたよー?冷めちゃうから早く食べようよ〜 」


 たまみさんがみんなにスプーンを渡しながら困り顔で訴えている横で、既に板場先生は食べ始めている。


「あ〜、板ちゃん頂きます言ってないよ!」


「……んぃ…ままぎ……まゔ……」

 板場先生はもぐもぐと唸っている


「わーった、わーったよ。ほら新人もスミも頂きますして食おーぜ!」

 瑠美さんは俺たちにスプーンを渡し、手を合わせて食べ始めた。

「くぅーーっ、うめぇ!最高だな、たまのカレーは!」


「そうね、折角のたまちゃんのご飯だもの温かいうちに美味しく食べましょ!いっただっきまぁーーす!」

「んーーっ!美味しーい!とっても美味しいわよたまちゃん」

 

「じゃあ、俺も頂きます!」

(…………!!!美味いっ!)

 絶妙なスパイスの香り加えてトマトの酸味と鯖の風味が良く合う!そしてこれは水煮じゃなくて味噌煮缶だ!味噌煮のまろやかな甘さがカレーの辛さと絶妙なハーモニーを奏でてスプーンが止まらない、こんな美味しいカレーは久しぶりだ。

 

「凄く美味しいです!こんな美味しいカレー本当に久しぶりです、おかわり貰っても良いですか?」

「……こんな美味しいご飯毎日食べられたら幸せだろうなぁ」

 俺はもっと食べたい衝動に負けておかわりのお願いをしながら、ポロッと正直な気持ちが出てしまった。


「あら〜♡、ありがと〜!安成くんったら嬉しい事言ってくれるじゃない、また何か作ってあげるね!」

 たまみさんは嬉しそうにくねくねしながらおかわりをよそってくれたのだが、俺は自分で恥ずかしくなって赤くなってしまった……情けない。


「なんだヤス、お前たまみたいな女が好みのタイプなのか?」

 完全に部活の先輩に弄られる後輩ポジションの呼ばれ方である。

「そっかぁ、残念だったなぁスミ〜!新人君、たまに取られちまったなぁ、あっはっは」

 瑠美さんは大笑いしながら桜庭さんの方を向いて不意に固まる、俺の背筋に急に悪寒が走る。


「なんで、私がいちいちそんな事で残念がらなきゃいけないのよ……?意味わかんないんだけど…… 」


 猫島さんを睨みつける桜庭さんからはどす黒いオーラが立ち上っている。


「本気で◯にたいのかしら?アンタのその皮ひん剥いて三味線にするわよ?バカ猫!!!あんたの来月の給料見てなさいよ!ひと月煮干で生活させてやるわ!」


「アンタも鼻の下伸ばしてんじゃ無いわよ!変態!」

 (うわわわわ……怖わっ!見える……怒りのオーラが……逃げ出したいけど脚が動かない……)

 桜庭さんは小刻みにプルプル震えながらひきつった笑顔を俺に向けている……えぇ……なんで俺なの?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ